表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
46歳おっさんの形意拳が、異世界でチートになった 〜魔法も剣も届かない究極の拳法で、第二の人生を無双する〜  作者: 九条竜二


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

19/117

第19話 回転する運命と、スカウトの誤算




ようやく店を動かす準備が整った。一番の課題は、ここで働いてくれる女の子たちを集めることだ。

 

前世で長く水商売の現場にいた俺にとって、スタッフを確保するのは基本中の基本。求人広告を出し、面接をして、適材適所に配置する。


そんな一連の作業をこなすことは、朝飯前だと思っていた。だが、この世界にその感覚を持ち込んだのは間違いだったらしい。


店を構えるために確保した場所は、王都の裏通りにある古びた二階建ての建物だ。内装を整え、必要な備品を買い揃えるだけでもかなりの労力と資金を注ぎ込んだ。後は看板娘さえ揃えば、この店は確実に軌道に乗る。


自信を持って街へ繰り出したものの、いざスカウトを始めると、現実は甘くなかった。

「……ちょっといいかな。今、仕事とか探してたりする?」


俺なりに丁寧に、落ち着いて声をかけてみる。


だけど、こっちの女の子たちは俺を胡散臭い目で見ると、無言でそそくさと歩調を速めて離れていってしまう。

 

……おかしい。前世じゃこのやり方で、何度も店を軌道に乗せてきたんだけどな。


夕暮れ時。内装がまだ仕上がっていない店に戻ると、意外な光景が目に入った。


「兄貴! また五人ほど働きたいって子が集まりましたよ!」


バッドが、何やら興奮した様子で女の子たちを連れて帰ってきた。


(……何だあいつ。何か特殊なスキルでもあるのか?)


俺は内心の動揺を抑えて、翌日、カエデさんと一緒にこっそりバッドの尾行をしてみた。


王都の大通り。ターゲットを見つけたバッドの動きは、俺の想像を遥かに超えていた。


歩いている女の子の前で、バッドがいきなり側転をブチかましたんだ。

 

キレキレの動きで着地すると、フラつく芝居をしながら女の子に寄りかかる。


「……あまりに可愛いから、目が回っちゃった。……うっ、ちょっと待って、クラクラする。ヤバいかも……君が話を聞いてくれないと、俺、倒れるかも……」


「えっ!? ちょっと、大丈夫なの!?」


女の子が慌ててバッドを支える。……一瞬で相手の懐に入り込んだ。

 

そこからのバッドは速かった。


パッと顔を上げ、両手で指鉄砲を作って女の子に向ける。


「バーン。……見つけた。君を探してたんだ。今日は、運命の出会いだよ」


「……ぷっ、あはは! 何それ!」

 

女の子が吹き出した。


バッドは現世で言うなら、すっきりした韓国風のイケメンだ。そんな恵まれた見た目の男が、あえておどけたような愛嬌を振りまく。そのギャップが、警戒している女の子たちの心の壁を一瞬で壊していく。


影から見ていた俺は、思わず額を押さえた。


「……カエデさん。あれ、どう思います?」


「オーナー。対象の隙を突いて、心理的な効果を……いえ」


カエデさんが眼鏡の奥の瞳でバッドを見つめ、淡々と付け加えた。


「あれは、理屈じゃありません。断られても全然動じない、圧倒的な回数が生んだ力です。……ある意味、技術の極致かもしれませんね」

 

バッドを見て、前世の店にいたスカウトマンを思い出した。

 

その頃の俺は、そいつを馬鹿にしていた。


仕事はもっとスマートにやるべきだ。そいつは出っ歯で、ダサい髪型で、あんな三流のやり方なんて……。


だけど、格好をつけていた俺の理屈は一蹴されて、あの馬鹿の一つ覚えみたいな熱量に、女たちが次々と心を開いていった。


……そうか。ここは王都だ。綺麗な言葉より、目の前で体を張る熱さの方が、よっぽど信用されるってことか。


俺は天を仰いで、深く溜息をついた。


「……馬鹿も使いよう、どころか……俺の方が馬鹿だったな」


前世のプライドを捨てて、この世界の現実に合わせる。


やれる事は全部やる、前世でも異世界でも、それは変らない。


この世界で初めてのキャバクラを作るために、何でもやる。




お読みいただきありがとうございました。もし気に入っていただけましたら、作品のブックマークや、下の星(☆☆☆☆☆)で応援をお願いします!次の更新の大きなエネルギーになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ