↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
46歳おっさんの形意拳が、異世界でチートになった 〜魔法も剣も届かない究極の拳法で、第二の人生を無双する〜  作者: 九条竜二


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

125/216

第125話:MG倶楽部



翌朝、リュウジィは机に向かっていた。


羊皮紙を一枚広げて、ペンを持った。


女性専用武具屋の宣伝ビラを作るためだった。

何度か書き直して、こうなった。


女性専門武具屋 MG倶楽部

近日開店

女性剣士や冒険者の皆さん、ドワーフに認められし最高の職人が作る、女性専用の武具のお店が開店します。是非手に取って見て下さい。装飾、重さ、使いやすさ。貴女が求める最高の武具が見つかる事を、お約束します。


読み返した。悪くない。

ビラを何枚か作り、アイテムボックスに詰めた。


最初に向かったのは「ふろむ・えー」だった。

扉を開けると、いつもの殺伐とした空気があった。低ランクの冒険者たちが掲示板を眺めたり、壁際で暇そうにしていた。

受付の男に声をかけた。


「掲示板に貼らせてもらえるかな」


男はビラを一瞥した。


「女性専用の武具屋ですか。まあ、空いてるスペースに貼っていただければ」


リュウジィは掲示板の目立つ場所にビラを一枚貼った。


店を出て、乗り合い馬車に乗って次は王宮へ向かった。


門番の近衛兵にリブルへの取り次ぎを頼むと、暫くして中庭に通して貰った。


リブルが待っていた。

腕を組んで立っていた。不機嫌そうな顔だった。


「何の用だ。気軽に来ていい場所じゃないんだよ」


リュウジィはビラを一枚差し出した。


「女性専用の武具屋を開くんだ。宣伝してほしい」


リブルはビラを受け取り、眉をひそめた。


「そんな事のために王宮に来たのか?しかも何で俺が」


リブルは怪訝そうな顔をした。


「俺、遭難して大変だったなぁ」


リュウジィはのんびりと言った。


「どっかの団長さんの、頼みを聞いたばかりに、魔族の船に襲われるしさ」


リブルの眉間のしわが深くなった。しばらく黙っていた。


「ぐっ……わかった」


「ありがとう。助かるよ」


「一回だぞ」


「十分だよ」


そこへ中庭の入口から足音が聞こえた。


「団長、こちらにいらっしゃいましたか」


現れたのは女性だった。騎士団の制服を着ていたが、腰に細身のレイピアを下げていた。黒髪を後ろで束ね、背筋がまっすぐに伸びていた。


「セレスティア、何の用だ」


リブルが振り返った。


「噂のリュウジィ殿が来てると伺いまして」


女はリュウジィを射抜くような目で見た。


「調査兵団副団長、セレスティア・バロアと申します」


「どうも、初めましてリュウジィです」


「団長とのお手合わせの話は聞いております。よろしければ、私とも是非一度お相手して頂けませんか?」


リブルが面倒くさそうに言った。


「やめとけ、お前じゃ無理だ」


「やらせて下さい団長」


「無理だと言っている」


セレスティアはリブルを見た。それからリュウジィを見た。引く気配がなかった。


リュウジィは少し考えた。


「じゃあ、こうしよう。俺が勝ったら、今度開く店でレイピアを注文してくれ」


セレスティアの目が動いた。


「女性専用の武具屋です」


リュウジィはビラを一枚渡した。セレスティアはビラに目を通した。


「……ドワーフに認められた職人が作るのですか」


「そうだよ」


セレスティアはビラをたたんで懐にしまった。


「わかりました。お受けします」


リブルが小さく息を吐いた。

二人は中庭の中央で対峙した。

セレスティアはレイピアを抜いた。切っ先が陽光を弾いた。構えは無駄がなかった。場数を踏んできた者の構えだった。


リュウジィは中段の構えをとった。


「いつでもどうぞ」


セレスティアが踏み込んできた。速かった。レイピアの突きが連続して繰り出される。


だがリュウジィの身体はすでにそこにいなかった。


内功盤根の円の動きで軌道をいなし、一瞬でセレスティアの上体のバランスを崩した。


セレスティアが踏み止まって、上体を立て直し距離を取ろうとした瞬間、リュウジィの掌が腹部を打った。


スパッ!


ただ軽く触れたように見えた。

それでもセレスティアの身体が大きく後方へ弾け、中庭の石畳に膝をついた。


レイピアが手から離れ、カランと音を立てた。


しばらく沈黙があった。

セレスティアは膝をついたまま、石畳を見ていた。


「大丈夫かな?怪我してないよね」


セレスティアはゆっくりと立ち上がり、レイピアを拾った。それからリュウジィを見た。


「注文させていただきます。レイピアを一本」


「ありがとう。グラニータが喜ぶよ。店が開店したら来てよ。材質、長さ、重さ、好みのデザインとかあると思うからさ」

リブルが腕を組んだまま言った。


「言っただろう」


セレスティアは団長を一瞥して、それからリュウジィに向き直った。


「開店を楽しみにしております」


深く頭を下げて、その場を立ち去った。


リュウジィはその背中を見送った。


「リブル!いや……リブルさんも王宮の女性剣士の皆さんに宣伝、宜しくお願いしますね」


そう言って、リュウジィは王宮を後にした。


これは中々流行りそうな店になりそうだ。


お読みいただきありがとうございました。

もし気に入っていただけましたら、作品のブックマークや、下の星(☆☆☆☆☆)で応援をお願いします!次の更新の大きなエネルギーになります!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。