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Tricky Duo + 1  作者: 薄桜
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2/12

そんなきっかけで

「笹野功一の受難」の前の話です。

何故二人が訪れたのか?

・・・の部分です。

「はい、じゃあ来週は、皆さんが赤ちゃんの頃に着ていた服を持ってきて下さい。取ってある人だけで良いですよ。皆さんがどんなにちっちゃかったか、どんなに大きくなったかを比べてみたいと思います。」


家庭科の先生がそう言ってたので、帰ってからお母さんに聞いてみたら、

「あ~たぶん物置の箱にあると思うよー。まあ探してみて。」

って軽く言われた。

だから、階段途中の引き戸を開けて物置に入り、色々箱を開けてみていたら・・・こんな物が出てきた。

20cm×15cmくらいで、DVDのトールケースをもっと大きくしたようなプラスチック製の箱で、パッケージの絵は剣を構えた男二人とバックにおっきく女の子。

RPGゲームっぽい? タイトルもそれっぽい感じだし。

裏返して、落としそうになった。

あっは~んって感じの女の子の絵がたくさんあって、それにはモザイクがかかってるし。背には18禁ってシールが貼ってある。

えーと、何でこんな物がここにあるのかな? かわいい絵だしちょっと興味もあって、ついじーっと見ちゃう。

うーん、物から考えるとお父さんのものかな? でも、ダンボール箱の他の物は母さんの物っぽい?

PC9801/9821版ってのはよくわかんないからパス。箱を開けてみると、黒くて薄い四角い物が10枚、輪ゴムで5枚づつまとめられていた。後は取り扱い説明書らしい物と1枚の紙が入っていた。

この黒くて薄いのは何だろう? FDDって書いてあってそれぞれに貼られたラベルには、タイトルとAからJまでのアルファベットが順番に振られている。

「のぞみあった?」

「はいっ!?」

お母さんが様子を見に来たみたいで、突然声がかかって驚いた。

「んー? 何持ってんの?」

「あ~いやぁ~、これは・・・」

もしこれがお父さんが隠し持ってた物で、もしこれが原因で喧嘩になっちゃったりとか、そんな事になっちゃったら嫌~っ!

だから急いで隠そうとしたら・・・ガンって落とした。

あぁ、私のバカ~っ!!

「何?」

母が覗き込んで、拾い上げる。

ああ、駄目っ!

最悪の事まで、色々考えてしまったのに、

「あら懐かしい。こんな所に入れてたんだ~。」

はい? 今何て言ったの?

「え? ・・・これ、お母さんの?」

「うん、そうよ。」

私の気苦労は、一体何だったの?

「…それ何?」

「見ての通り、18歳未満お断りの品。」

そう言いながら、お母さんはニヤリと笑う。

「ま、それはいいから、服見つかった?」

「ううん、まだ」


「って事があったの。」

「はぁ、」

真優は呆れた気のない返事を返すだけで、私としては気に入らない。

「何かこうもっと無いのー? 何で母親のなのー? とか、どんな絵だったのー? とか、PC98何とかって何ぃー?とか、FDDって何ぃー? とかさ。」

「それ全部あんたの疑問でしょ?」

読みかけの本を手にしたまま、冷たく言い放たれる。

「うん、そーなんだけどさー。」

もう少し、こっちに興味を向けて欲しいな~。真優ちゃんは、昨日出たばかりの最新刊を休憩時間の度に出しては読み耽っている。

「FDDは知ってるよ。うちいっぱいあるし。」

「そうなの?」

「フロッピーディスク。容量小さいから最近あんまり使われないけど、店で普通に売ってるよ?」

『鬱陶しい』眉毛がそう物語っている。

「そうなの? 私初めて見たよー。」

「あんたが知らないだけ。」

突き刺さるように言う。邪魔してるのは重々承知なんだけどさ、ちょっときついよ?

使わないものなんか知らないんだもん、仕方ないじゃない。

「ねえじゃあPC98何とかって知らない?」

気を取り直して次の質問をしてみるも、いい返事は返って来なかった。

「それは知らない。お母さんに聞いてみたら?」

「それは嫌!」

間髪入れずに返すと、やっと私を見てくれた。

「何で? 絶対知ってるじゃん。聞いてみるくらい良いんじゃない?」

「・・・やだよ、絶対からかわれるもん」

「じゃあ調べるか。」

真優は溜息をついて、諦めたように本を閉じた。

「今度の休みにうちおいで、調べてみよう。」



「何これー? ハードディスク無いの? どうやって動いてんの?」

古いパソコンのスペック表を見てのぞみが笑う。

「今のパソコンもどうやって動いてるか知らないでしょう?」

「まーそうなんだけどさ」

私もこのスペック表はよく分からない。

PCM音源とか、FM音源とか、Cバスとか何それって感じだ。

「ゲームも調べたいんだけど、タイトル覚えてる?」

「ああ、えーっとね『*******』」

言われた通りの文字を打ち込み検索ボタンを押すと、ずらりと結果が表示される。とりあえず一番興味を惹かれた動画サイトを選ぶ。

「はい、これ見てみよ。」

「動画?」

「オープニングムービーの動画だって。」


「何か、前やってたアニメに絵似てない?」

「んーそうだね。じゃあそれも調べてみようか。」

こういう時wikiは本当に便利だ。見ず知らずの情報提供者に全く感謝だ。

「あ、ゲームのキャラデザの人、あのアニメのキャラデザと一緒だよ。」

「へ~、そんな事あるんだねー。」

語尾に音符が付きそうなほど、声が弾んでいる。

「やってみたくなったとか?」

「うん、やってみたい!」

「でも、古いパソコンだから難しくない?」


ついでに中古PCの価格も調べてみた。

1万台、2万台、3万台・・・型番によって値段も違うが、型番の差というか、違いもよく分からない。そこまでいちいち調べるのは面倒だ。

「どっちにしろ高いよね。」

別に欲しくない物に払える値段ではない。

「どれがどうなんだろうね? 私よくわかんないや。」

私と同じく、のぞみも投げ出した感じだ。

「パソコンってさー普段何となく使って、何となく使えてるけど、詳しくは知らないよねー。」

「それは、テレビとかレコーダーだってそうじゃない?」

「んー、そう言われればそうなんだけどさ、パソコンは何か違わない?」

そうだ、詳しい人に聞いてみればいいんだ。

「功ちゃんだ。」

「ん? 功くんがどしたの?」

しばらく会ってないけど、小学校の頃はよく一緒に遊んだ、1コ上の幼馴染の男の子だ。

「功ちゃんは、こういうの詳しかったよね?」

ちっちゃい頃からパソコンやってて、私たちもよく遊ばせてもらった。だからこういうの詳しいかもしれない。

「そっか、そうだね、久しぶりに行ってみようか?」

のぞみも笑顔になり、更に面白い事を言い出した。

「クリスマスも近いし、24日にケーキ持って押しかけてみようよ。」

「それいいね、じゃあそれまでにそのゲーム見つけといてよ?」

「うん、そろそろ元の場所に戻ってると思うから、任せといて。」

顔を見合わせて大笑いした後、功ちゃんと一緒に遊んでいた頃の話をして懐かしんだ。


こっちが先に思い付いた話です。

次は、お正月あたりで・・・

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