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Tricky Duo + 1  作者: 薄桜
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11/12

2011年4月7日

高校の入学式って今年は大体何日なんでしょううね?

とりあえず、私が高校の時と同じ日で行ってみました。


では、どうぞ。

紺色に青いラインの入ったセーラーみたいな真新しい制服に袖を通して、ボタンを留めて、下は前後に2つずつプリーツのあるスカートを履いて、鏡の前で確認する。うん、やっぱりこの制服ちょっとかわいい。

髪は・・・少し後ろで結ぼうかな? サイドから櫛で後ろでまとめて、制服に合わせた青いゴムで留めた。

入学祝いにってお願いして、4日前に買ってもらったばかりの携帯電話を手にすると、キラキラした『M』のストラップが揺れて思わず顔が弛む。

下から「準備できた?」ってお母さんの声がしたから、返事をしながらポケットに仕舞った。


「真優ちゃん写真撮ろう!」

校門の所で真優を待ってて、姿が見えたから、驚かす気80%くらい、残りの20%はハイテンションの勢いで飛びついた。

「のぞみ!?」

コケそうになりかけたけど、さっすが真優ちゃん!見事に耐えたよ!?

「ねぇねぇ、ビックリした?」

「・・・した。でも無茶しないでよ、いきなり制服破れちゃうでしょ?」

「多分破れてないから平気だよ。それより写真~。ね、一緒に撮ろうよ?」


側の桜もキレイだし、天気も良いし、今日は最高の入学式日和だね!



二人で門の所に列んで真優ちゃんのお母さんに撮ってもらった後、張り出されていた紙でクラスを確認すると二人とも同じクラスで、やったラッキーって喜んだ。

他にも二人同じ学校の人がいたし、ちょっと安心。

側の見取り図で教室の場所を確認して、二人でそこに向かって校舎内を歩いた。

ものすごく古くもないけど、そんなに新しくも無い感じだね。入試の時はこっちの棟じゃなくって、もうちょっと古かったし。

早くに来てる人達がそれぞれの教室で騒いでる。きっとまだ学校ごとに固まって話してるんだろうなって、何となく教室を覗きながら歩いて・・・

「なっ、ちょちょっと、すっごいカッコイイ人いるよ!隣の人も!何このクラス!?」

「ん?そうだね、」

真優ちゃんも教室を覗きこんだものの、その反応は素っ気無い。

「そうだねって・・・真優ちゃんはテンション上がったりしないの!?」

「何で?」

・・・ダメだ。真優ちゃんは功くん以外アウトオブ眼中だ・・・。

功くんをからかうのは楽しいけど、真優ちゃんは本気?・・・なんだよね~。分かんないな~その気持ち。

確かに真優ちゃんは、ちっちゃい頃から功くんにやたら懐いてて、いつも一緒に遊んでたけどさ~。現在見た目イマイチだし、勉強も運動も、見た目を裏切らない程度のはずだし、PCは詳しいけど・・・そういうのは『オタク』って感じでしょ?


やっぱり真優ちゃん分かんない。


「ねえ真優ちゃん、あぁいう人達をカッコイイって言うんだよ!分かる!?」

「何いきなり? 廊下で騒ぐの恥ずかしいし、人を指差すの良くないよ?」

なーっ! ま、真顔で正論返された。

確かに何人かの人がこっちを見ていて、すごく気まずい気がした。

「う、うん、そうだね・・・って、ちょっとこっち来て。」

だから真優ちゃんを捕まえて、ほんの少しだけ移動した。

「ねぇ、そろそろハッキリ言ってもいいかな?」

「何を?」

・・・ふっふ~ん、そんなに余裕なのも今のうちだよ?

「何で真優ちゃんは、功くん何かがいいの?」

一瞬間があって、次の瞬間に真優は真っ赤に染まった。

「こ、こんな所でそんな事聞かないでよ!」

って、裏返りそうな声でまた正論を返され、再び注目を集めた。



「起きろ笹野!いつまで寝ている!?」

理不尽に布団を剥ぎ取られ、急激な温度の変化に無意識に体を丸め・・・違和感を覚えて意識が覚醒した。

よく知る声だが、家で・・・しかも、寝起きに聞くことは絶対に有り得ない。

「高井戸っ!?」

その有り得ない事態に慌てて起き上がると、ぐらりと視界が歪んで気持ち悪かった。

「大丈夫か? お前低血圧だったのか?」

セットの横田も当然のようにいて、的外れな気遣いをみせる。

「違う!立ち眩みみたいなもんだよ!それより何でここにいるんだ!?」

側面が男二人に塞がれており、壁に囲まれたような圧迫感を感じて気分が萎える。そもそも、朝一番に見たのがこいつらってとこから腹が立つ。

「迎えに来たに決まってるだろ?学校行くぞ。」

「笹野の母さん、まだ寝てるからどうぞ起こしてやってくれって、歓迎されたぞ?」

はっ? 何言ってんだこいつら。

母さんは母さんで、いつもいつも軽々しく上げないで欲しい・・・。

「今日は入学式で休みだろう?」

「入学式だから行くんじゃないか。」

・・・いや、だからそれ、わけが分からないんだって。



校門や体育館前に紙花で飾られた看板が置かれ、正面玄関にはいつもより豪勢な花が生けられ、すれ違う先生もいつもよりピシッとした格好で、見知った場所が微妙に違って妙な気がする。

でも去年の今頃は、自分もこんな中で入学式に参加していたはずなんだが、さっぱり記憶に無い。慣れない環境に、それ所じゃなかったんだろうな。


「・・・あのな、俺そんな理由なら俺帰るぞ?」

さも大事な用事があるような言い方をされて、連れ出されたものの、いざ学校まで来てみれば・・・。

「よーし、早速可愛い新入生のチェックだ!」

おい横田、何だその理由は?そんな事に俺を巻き込むな!

「そういうのは勝手にやってくれ。」

「待て待て、これが心の潤いだろう?」

背を向けて帰ろうとしたが、高井戸に肩を掴まれた。

「一緒にすんな。」

手を振り払って一歩離れて睨むと、ざわついた声が聞こえた。式が終わったのかも知れない。

「つれないなぁ、笹野は。意中の人でもいるのかい?」

わざとらしく払われた手をさすりながら、意外な事を言い出した。

「は?」

ざわつく声は増し、保護者が体育館からワラワラと出て来はじめた。

「そうでなければ、女性に興味が無いという事になるが、笹野に限ってそんな事は有り得ない。」

自信満々にそんな事を力説されても・・・無論男色の気は無いが、俺が女性に興味があるという、高井戸の中での根拠が非常に気になる。

だが同時に、それを聞くと間違い無く後悔する事が解かりきっているので、わざわざ確認なんかしない。

「ほらほら、あれ見てみろ。」

横田に無理やり首を体育館の方に向けられると、新入生達が外に出始めていた。

「ほほぉ・・・あの二人はこの間まで中学生だったとは思えないレベルだな。」

「あ・・・」

おそらく、あの二人とは、あの二人の事で・・・

「間違いなくチェックだな。」

「あぁ、早急にクラスと名前を調査だな。」

「こ、こら、止めろ。」

あ、まずい・・・思わず口から余計な言葉が出た。

「何だ笹野?知ってるのか?」

「あ、いや・・・あの・・・。」

思いっきり墓穴を掘った。不審の目を向けられ、言い訳を探して頭をフル回転させ・・・

って、何で隠したいんだ俺?

いや、でもこいつらの目に晒されるのは何か嫌だ。向こうが俺の趣味を知っているように、俺だってこいつらの趣味を知っている。

ああ、そうだ、理由なんてそんなものだよなと、自分をそう納得させかけた所でのぞみの声が響いた。

「あ、功くんだ! ほら真優ちゃん、あそこ功くんいるよ!」

気付くなのぞみ!!・・・何であいつはこんなにタイミング悪く、しかもデカイ声で呼ぶんだ???

・・・手を振る二人に、引きつった顔で手を振り返すと肩に痛みが走った。

「なるほど・・・仲が良いんだねぇ、功くんは。」

横田にガッチリ肩を掴まれ・・・作り笑いの顔を近付けるのは止めろ!

「ねぇねぇ~功くん、終わるの待っててくれない?」

「うん、待たせとくから安心していいよー。」

「何で高井戸が返事するんだ!?」

笑顔でのぞみに手を振る高井戸を見ると、目で制された。

その目は『黙れ』と、簡潔にそう語っていた。


のぞみと真優が教室に戻って行ってから、約1時間。俺は羽交い締めにされ・・・散々くすぐられたが、幼なじみである事以外は吐かなかった。本当にそれだけだし。

が、二人は、足跡、バレンタイン、ホワイトデーと、芋蔓式に繋げたようで、勝手にダメージを負って、八つ当たりを仕掛けてくる。

「何でお前ばかりいい思いをしてるんだ!?」

待て横田、俺がいついい思いをした!?現に今不幸な目に遭ってるし、のぞみと真優にも振り回されてばっかだぞ!?

「ぐるじぃ・・・がら、やべろ。」

首絞めんな、息ができねー!

「あ、いたいた。って何してんの?」

「・・・功ちゃん、どうしたの?」

後ろから二人の声がして、

「あぁ、お二人ともご心配なく。我々はじゃれてるだけですよ。」

どこがだ高井戸!?

「いーかげん、放せっ!」

横田の足を適当に蹴って引き剥がすと、急に空気が入ってきて咳き込んだ。

くそっ、あいつら覚えてろよ・・・

「功ちゃん、大丈夫?」

のどを押さえたまま、体を折って呼吸を整えていると、真優が覗き込んできた。つか近けーよ!!腕触られてて、心配そうな顔してて、後ろで少し留めてある残りの髪が、肩から流れてシャンプーだか整髪料かの匂いがして・・・違う意味で呼吸が乱れる。

「・・・真優、平気だから・・・あの、少し離れてくれない?」

何で赤くなるんだ俺!?こいつはこないだまで中学生で・・・制服か? 制服のせいか!?だから、こんなに・・・

「・・・あ、ごめん。」

真優はそう言いながら、どこか悲しそうな顔を見せて離れ、その様子に俺は、ものすごく悪い事をしたような気分に苛まれるが、理由がよく分からない。

・・・まさか、俺が離れてって言ったからか? 

「いや、そうじゃなくて・・・。」

誤解を解こうとして言葉を捜して逡巡してると、のぞみの盛大な溜息が響いた。

そして、その後に信じられない言葉が続く。

「もう見てらんないなぁ・・・ねぇ、何で真優ちゃんは功くんなんかが好きなの?」

きっとその時、その場の時間が止まった。

真優は真っ赤になって、俺は理解できずに思考が停止し、横田も高井戸も何も言わない。時間を止めた本人だけが自由に動けるらしく、盛大に笑い出した。

「あーっ、おっかしぃー、みんなとまった・・・、」

息も絶え絶えといった感じで、腹を抱えて大笑いを始めた事で再び時間が動きだした。

「の、のぞみ、何、それ今言う事!?」

「今言わなくていつ言うってのよー、だって今の二人見てると、すっごいくすぐったいんだよ?」

抗議する真優をのぞみはばっさり切り捨てる。

ちょ、待て待て、どういう事だ?

「功くんもさー、いいかげん認めようよ?」

「何をだ?」

「私達も高校生になったんだし・・・そもそも1コしか違わないのに、変に我慢しなくていいんだよ?」

我慢って何だよ!?そういう使われ方は明らかに誤解を招くだろう?

「真優ちゃんは真優ちゃんで、普段サバサバしてるくせに、功くんの事になると、乙女になるんだから。」

「そんな事言われても・・・。」

真優も困った様子で、それ以上言葉が続かなかった。

「あーもう、ハッキリしないなぁ。真優ちゃんは功くんが好きって事でいいとしてぇ。じゃあ、功くんはどうなの?」

「どうって・・・」

何がどうなんだ? 俺この展開について行けないぞ。

「好き?」

「いや、それは・・・」

「じゃあ嫌い?」

「いや、嫌いって事はないけど・・・。」

「はい、じゃあ成立!」

「・・・は?何が?」

のぞみの剣幕に押されまくりの、引きずられっぱなしだが、この会話おかしくないか?そもそもニ択って無理があるだろう?

「強引な理論だな。」

あの高井戸も呆れているらしく、半分笑ったような声が聞こえた。

「でも幸せならいいんじゃないか?」

その言葉とは裏腹に、苦々しそうな声を出す横田・・・って、何が幸せ何だ?

渦中にあるらしいはずの俺が、さっぱり状況が分からない。

「・・・あのさ、何? どういう事? 今、何が成立したんだ?」

回りを見回しながらそうつぶやくと、俺に視線が集中した。

真優以外の皆が、一様に呆れかえっているらしく、溜め息まで聞こえる。

「もー功くん頭悪い!察し悪過ぎ!!」

「だな。」

「あのな、この真優ちゃんとお前は、今この時から恋人同士。彼氏彼女の関係。・・・分かるか?」

「・・・は?」

待て、横田・・・何でそうなる?

告白も返事も無し。強引かつ意味不明に話が勝手に進められて・・・これどう考えてもおかしいだろ!?



真優と二人っきりで放置されて、しばらく会話も無く時間が過ぎた。

つーか、真優は親と帰るんじゃないのか?

真優は俯いたまま固まったままで・・・やっぱ俺が何か言わないと駄目なんだよな。

「・・・あ、真優?」

「・・・何?」

って、ここ何言えばいいんだ?俺にそんなスキルは無いぞ。

「妙な事になったな・・・。」

「そだね。」

会話終了。

だーっ無理無理、でも頑張れ俺!!

「のぞみのヤツ無茶苦茶だよな・・・。」

「うん、ビックリさせられて、どうしていいか分かんないけど・・・でも、まあいいかなって。」

・・・いいのか?

真優を見ると、こっちを向いて笑ってた。

「だって、功ちゃんの事好きなの本当だもん。」


・・・くそっ、顔が火照って熱いな。


可愛いのは、ずっと前から知ってたさ。

のぞみの言ったように、中学生だからって意識の外に置いてたのは事実だ。頭の中で色々言い訳して意識しないようにしてきて・・・けど、あのバレンタインのチョコに期待しちまったし・・・だからお返しもあれだけ悩んだんだ。

あーもう、その笑顔は反則だ!


・・・これ、どう考えても絶対俺の負け・・・ってやつだよな?

何の勝ち負けなのかは、よくわからないけど・・・完敗なのは認める。

えへへ、のぞみ大暴走。

そしてもう一話、10日に掲載です。

これで終わり。


ちなみにこの日は、私の誕生日です。

この日になるとまた一つ年をとります。(ちなみにこれ書いてる日は3/31)

楽しみな反面、もう増えていく事が嬉しくないなーって、そんな感じ。


高校の入学式と誕生日が重なった日、貴重な体験をしました。

余計な気を利かせた担任が、「今日が誕生日のラッキーガールがいます。」

と立たされ、4/5くらい知らない人達から「へー」くらいの拍手を頂きました。

今思えば忘れられない思い出話ですが、その時は非常に恥ずかしかった。

ちなみに英語教師だったので、ラッキーガールという表現だったんでしょうね。

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