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Tricky Duo + 1  作者: 薄桜
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12/12

2011年4月10日

最終話です。


ではどうぞ。

まだ新しい携帯をポケットから出すと、友達とお揃いの『N』のキラキラしたストラップが揺れて光った。

そして私は、一番新しい履歴を呼び出し、その友達に電話をかけると、3度のコール音の後で、聞き慣れた声が聞こえた。

「あ、のぞみどしたの?」

「あぁ真優(まゆ)ちゃん? ねぇ、これから一緒に功くんとこ行かない?」

これはお詫び。

入学式の日に無理やり二人をくっつけちゃったから。

心の準備も何もさせないまま、強引に事を運んじゃっただけだから、きっと二人は戸惑ってるだけだよね? だから、もうちょっと私が後押ししてあ・げ・る。

・・・って、思ってたんだけど、真優ちゃんの答えは意外だった。

「あ、ごめん、・・・行けない。」

弱々しい返事に、私はとっても不安になる。

「え、何で?」

私が無茶しちゃったから、逆に気まずくなっちゃったのかなって、もしそうなら、ますます私が間に入って二人の仲を進展させなきゃ! って、さっきよりももっと使命感を(たぎ)らせていた。

「えーっとね、・・・今、もう功ちゃんの家の前まで来てて・・・。」

は? あーなるほど、そういう事ですか。

・・・なんだ、やるじゃん真優ちゃん。

「そっか、うん分かった。じゃぁ頑張ってね。」


励ましを送って電話を切った後、気付いた事がある。

今、私の心の中には、予想を裏切って自分で行動している真優ちゃんの事を喜んでいる以上に、違う感情が渦巻いていた。

私は一瞬だけ考えて、もう1件別の人に電話をかけた。



ま、間が持たない。

真優がうちに来て・・・来るのはこれ迄にもよくあった事だけど、あの日からはこれが始めてで・・・どうすりゃいいんだ俺は?

母さんが機を利かせて出してくれたジュースは全部飲んで無くなったし、いかにも甘そうなフィナンシェには手を出す気がしない。

あのチョコフォンデュ以来、甘い物が苦手になった。

のぞみのシュガードーナッツ+チョコレートを思い出して、シャリシャリする食感を想像してしまい、拒絶反応・・・ってのかな、胸焼けがするようになってしまった。


真優は床に重ねてあったマンガを手にして、とりあえずそっちの世界に逃げている・・・んだよな? 来てみたものの、どうしていいか分かんないから、マンガ読んでんだよな?

けど、それに甘えてずっとこのまま・・・ってわけにはいかねーよな。

・・・まさか真優とこんな事になるなんて思わなかった。

あのチロルやアポロは本命だったのかと、驚いた反面・・・やっぱり嬉しかったし。

まったくもって、単純だなー俺。

でも、何で俺なんかがいいんだ?


そうだよ、何で俺なんだ?

自分で言うのも何だが、俺に魅力があるとは思えない。

見た目も普通・・・以下だよな、やっぱ。

特に秀でた所があるわけでなし、目立つ存在でもねーし、どっちかっつーと目立ちたくない。

そんな箸にも棒にも掛からないような俺の、一体どこがいいんだ?


「なぁ真優、ちょっと聞きたいんだけど。」

「何?」

真優は本から顔を上げて、俺の方を向いた。

俺が呼んだんだから当然なんだが・・・見慣れたはずの顔をまともに見て、俺の方が顔を背けたくなった。

「・・・あ、いや、えーとな、」

「どしたの、変なの?」

ぬぁーっ、ち、ちょっと待って待って、そんな近付かないでお願い。俺、本当にどうしていいか分かんないから!!

本を元の場所に戻して、ベットの上で胡坐を掻いていた俺のすぐ左側に座り込んできた。こいつが来る前みたいに床に座ってればよかったのに・・・下手に距離を取ろうとして、完全に裏目に出た。

「あ、あのですね・・・。」

不思議そうに俺を見る真優は、布団の上にぺたんって感じに座ってて、ショートパンツからは白い足が覗いてて、途中からは長いソックスで隠れてる・・・っていうか俺、そんな属性持ってないはずなんだが・・・。

「ま、真優は・・・何で、俺なんかが良いのかなーって・・・は、ははっ。」

内心の動揺を抑え込めるわけもなく、しどろもどろになって何とかそれだけ言うと、真優は可愛らしくにこりと笑った。

「功ちゃんはね、とっても優しいの。無茶な事でも、困った顔で文句言いながらでも、結局仕方ないなーって、面倒見てくれるの。」

・・・え、そこ?

「自分が傷つくって分かってても、いつも助けてくれたの。冬に久しぶりに会って・・・でも功ちゃんはそのまんまで、私嬉しくて。・・・だから、私、ずーっとちっちゃい時から功ちゃんの事好きだったんだよ?」

後半は恥ずかしそうに小声になりながらも、真優は俺の腕にくっついてきて・・・真優の温かく柔らかい感触に、俺の頭は一瞬完全に停止した。


そして、再び動き出した時には方向がおかしかった。

上は白い大き目のブラウスに、黒のリボンが結ばれてて・・・そういう服は確かに好きだが・・・って、本当に何でそんなに積極的なの!?

誘ってんのか? 俺誘われてんのか? 真優はプレゼントなのか!?

あーもう、どうすりゃいいんだ???

本能のスイッチ入るな、踏ん張れ理性!

真優を見ても本当にすぐ側で微笑んでくれるから、まともになんか見れないし、目がいくのは唇だし・・・これ、手を出さなきゃいけないとこなのか? 俺頑張らなきゃいけないとこ? つーか、頑張っていいとこなのか?

-もう、俺パンクする。


その時、突然部屋の戸が開き、いつもなら何故ここにいるのかと問い質したい所だが、今の俺にはその人物が救世主に見えた。



「おっじゃましまぁーす・・・って、本当に邪魔しちゃった?」

邪魔する気があったわけじゃないけど、布団の上で二人はくっついてて・・・それにしても展開早過ぎない?

「そんな事無い!」

功くんは、ほっとしたような顔を見せた。

「あ、のぞみどしたの?」

真優はごく普通に、何でもないように話し、恥ずかしがって功くんから離れる・・・なんて様子は一切無くて。

・・・あの、真優ちゃん? なんか人格変わってない???

功くんは予想通り。とっても戸惑ってて真っ赤でおかしい。

うん、何か必死に救いを求めようとしてるよね?

何か妙な感じだよね・・・。


「あぁ、うん。ちょっと面白そうなゲーム借りてきたから、ここでやらしてもらおうと思って・・・。」

私がもう少し手を出せると思ってたんだけどな・・・真優ちゃんが功くんの家に行っても、どうせ二人ともガチガチで固まってるだろうから、私が意地でも手伝ってあげる!!

・・・って思ってたのに、真優ちゃんには肩透かしをくらわされてばかりだ。

自分でちゃんと功くんの家に来てるし、今はくっついたまま離れようとしないし、何か進展が・・・あったようには見えないんだよなぁ、功くんには。


「・・・ゲームって何?」

功くんが真優を気にしながらも、かなり嫌そうな表情を見せた。

「今日はねぇ、新しいゲーム。昔のマシンじゃなくってもそっちのメインのマシンで動くよ。」

紙の袋から、相変わらず大きくて可愛らしい女の子がたくさん並んでるパッケージを引っ張り出した。

たくさんあったうちから、好みの絵のものを選んできたんだ。

しかも、攻略キャラは幼馴染設定って好都合なものだったから、喜んで借りてきたのに、真優ちゃんの様子を見てると、こんなもの必要なかったかもしれない。

でも、それが何か悔しいから、やっぱりここでやっちゃうもん!

「だから・・・一々うちにエロゲーなんか持ってくんなよ。最近のマシンでできるなら家で勝手にやってくれよ・・・。」

功くんが、情け無さそうに不満を口にする・・・けど、無茶言わないでよ。

「無理。家族の前でこんな物できるわけないじゃん。功くんみたいに自分の部屋にある訳じゃないんだからね。でも、ここでなら自由にできるんだもーん。」

「その発想に疑問を持っていいか? ここはお前のセカンドハウスでも隠れ家でも無いぞ? つーか、そんな新しいのどこで借りてきたんだ?」

もー細かい事言うなぁ・・・でも、もっともな疑問かな? 今までは、家で発掘した古いのばっか持ってきてたけど、今回は新しいもんね。

「これはね、高井戸くんから借りてきたの。」

功くん驚くだろうなー、驚かすためにわざわざ彼から借りたんだから。



「んなっ!? 何で高井戸???」

何でここでヤツの名前が出てくるんだ?! あのゲームのセレクトはやつの差し金か?

「こないだ、二人っきりにしてあげた間に仲良くなったの。あの二人、変わってて面白いよねー。」

思い出し笑いをしながら話すのぞみを見て、俺はすごく心配な気分になった。

俺、お前の感覚が分からない。

「・・・変わってるのは認めるけど、面白いってとこは賛同できない。」

控えめにそう言ったが、のぞみは一向に意に介さず、勝手にPCの電源を入れていた。


そう、こいつは救世主では無かった。

きっとこいつはラスボス倒したと思ったら、まだその後ろに控えてる真のラスボスだ。

ラスボスすら倒してないけど、何故か一緒に出てきたって感じか?

つーか、この場合倒すってどうやんだ? 文字通り倒しちゃ駄目だし、俺どうやったらこの状況から抜け出せるんだ?


今迄は、離れた所で適当に相槌打って、見ないようにしてればそれで良かった。音もせいぜいBGMや効果音くらいだ。

だからお願い。のぞみ・・・頼むから、フルボイスの設定はOFFにしといてくれ。

本当誰だよ、こんな余計な機能考えたヤツ? CD-ROMやDVDで容量増えたからって、音声データで埋めなくたっていいだろう?

それと真優、いい加減離れて・・・って事は、傷つけないようにってのはどう言ったらいいんだ?

考えろ、考えろ俺。


「あの、ま、真優? さすがにもう離れない? のぞみもいるしさ。」

「えー、私は気にしないよ?」

黙れ、のぞみ。

「やだ。功ちゃんにくっついてたいもん。」

真優、お前そんなに我が侭っ子だったか!?

のぞみが攻略してしまうまでに、あーんなシーンに進めるまでにどうにかしないと。

・・・あぁ、もう、何で俺こいつらに引っ掻き回されてんだ?

思春期まっだだ中の純情少年からかって、そんなに楽しいか!?

とくにのぞみ!!

「・・・真優?」

「何?」

見上げる姿に心が揺らぐが、そんな所で揺らいでたら俺きっと立ち直れなくなる。

「頼む、本当に今は離れて・・・だからそんな顔しないで、嫌いだからじゃなくて、これは・・・うん、男の意地? プライド! うん、そんな感じだから!!」

俺の必死の剣幕に、不思議そうにしながらも何とか離れてくれた。よーし良い子だ。

「のぞみこんな時に、んなゲームすんな! 絶対悪意を持ってやってんだろお前!?」

「えーそんな事ないよ。助け舟のつもりなのにぃ。」

「それのどこに、助けられる部分があるんだ? 俺は確実に追い込まれてるっての。」

「えーじゃぁ、さっきまでみたいに真優ちゃんと二人っきりがいい?」


・・・それも勘弁して欲しい。俺の心の準備が何もできてない。

つーか、どこまで準備していいの?


「のぞみはとりあえず帰ってくれ。」

きっとそれが一番いい。

不貞腐れたのぞみを確認して、隣の真優に向き合った。

「真優も。今日は帰ろうな? 」

「やだ。」

即答か。まぁ・・・そうかもな。

「じゃぁ、せめて5分時間をくれ。」

それならと、首を縦に振るのを確認して、文句を言うのぞみを引っ張って部屋の外に連れ出した。


『真優どうしたんだ、あれ?』

しっかりドアを閉めてから、廊下でのぞみにひそひそと話しかけた。

こいつなら何か分かるんじゃないかって、それほど今日の真優は別人な感じで、俺にはちょっとよく分からなくて、翻弄されまくっている。

『うん変だよね、でもよっぽど嬉しかったんじゃないの? で、舞い上がってると。』

『うれしい?』

『だって、真優ちゃんは呆れるほど功くんの事好きだしさ、功くんももっとしっかりしなよ。くっつかれたくらいでそんなに動揺してちゃダメだよ?』

『・・・そう言われても、お前がいきなりくっつけるから、心の準備ってものがだな、』

『そういえば、功くんはちゃんと好きだって言ってあげた?』

・・・そういえば、真優からは何度か言われたが、俺からは何も言ってない。

『い、いや・・・。』

『はぁ~っ? 何やってんの? しっかりしてよね、もう!』

呆れたのか怒ったのか、あるいはその両方か、相変わらず小声のままで声を荒げるのぞみに叱られ、思わず目を逸らした。

・・・やっぱ、それはまずい・・・っつーか、ひどいよな。

『そう言われても・・・。』

『あーもう、情けないなぁ。男らしくキスくらいしておいでよねっ!』



のぞみに押されてつんのめった功ちゃんは、テーブルに手を着いて何とか止まった。

廊下にいるのぞみはすこしにやけてて、私に手を振ってから、きちんとドアを閉めた。

「くそっ、のぞみのヤツ偉そうに。」

少し機嫌が悪そうな功ちゃんに

「おかえり。」

って言ったら、

「あ、あぁ・・・。」

って、その場に座ると、また黙り込んだ。

やっぱり迷惑だったかな?

嬉しくて、恥ずかしくて、でもちょっと自分を抑えきれなくて・・・。

側にいるのが心地よくて、でも不安で・・・。

今みたいに黙り込まれてしまうと、やっぱり辛い。

「・・・あのさ、真優?」

ベットのすぐ下に座り直した功ちゃんは、かなり真面目な顔しててドキッとした。

「俺、ちゃんと言ってなかったかなって・・・。」

苦笑する功ちゃんに、胸がぎゅっとなった。ひょっとして期待してる言葉が聞けるのかなって、功ちゃんをじっと見つめた。

「俺もさ、久しぶりにお前らが来て・・・すごく、か、かわいくなっててビックリした。初詣で怒らせて、すごく悪い事した気になって・・・そっからすごく気になって・・・。チョコはかなり迷うとこだったけど、嬉しかったし・・・。どっからかはよくわかんねーけど、俺も真優の事好きだ。」

・・・ホッとした。

ホッとして、嬉しくて、何だか熱いものが込み上げてきた。



「・・・嬉しい。」

そう一言こぼした真優は、その目からも涙をこぼした。

ひょっとして感極まって・・・って、やつか?

俺なんかで本当にいいのかなって思いは拭いきれないけど、泣くほど嬉しいって思われるのは悪い気がしなかった。

が、泣いた真優をどうすればいいのかは別問題だ。

とりあえず側に座って、頭を撫でながら声をかけた。

「あんまり泣くな、俺どうしていいか分かんないから。」

って、正直過ぎるな、これは・・・。

「うん・・・でも嬉しくて。」

って事はやっぱ、安心してって事で、その前には不安があって・・・。

慌てて涙を拭こうとする真優より早く、その手を取って抱き寄せた。


もう言い訳は止めだ。

真優は可愛くて、俺は真優が好きで、真優は泣いてくれるほど俺が好きで、俺は何の文句があるってんだ?

さすがにこれ以上あたふたするのは、真優に申し訳ない。

「服で拭いてくれていいから。」

俺の覚悟があまりにも足りなくて、すごく不安にさせてたのかと思うと、いくら謝っても謝りきれないくらいの罪悪感を感じる。


・・・けど、今はキスまではできねーよ。


『もうっ! キスするなら今でしょ? もう、まったく意気地がないんだから・・・。』

『そうよねー、わが息子ながら本当に情けないわねぇ。』


・・・小声がしっかり聞こえてるっての。

ギャラリー有りで、そこまでできるかってんだ。

のぞみは案の定残ってたし、母さんまで何やってんだ?

一緒になって覗く事はないだろう?


真優の華奢な背中を撫でて、落ち着かせてやりながらながら、

やっぱ俺不幸なんじゃねーか?

って、自嘲気味な笑みが浮かんできた。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


正直、齟齬がないかどうか自信が無いです。

もしあったらご免なさい。

単発を調子に乗って連載してしまったので・・・しかも、話毎に暴走してるし。


功一くんは開き直ってくれるまでに、非常に時間がかかりました。

本当に、どう終わるんだこれ?

って、間に違う話をいっぱい書きました。

ただでさえ、書いてて恥ずかしいのに・・・。


最近のエロゲーは知らないんですよ。

だから、何となく検索して見つけたものだったんですが・・・

もう既にタイトルとかメーカーとか忘れてて、辿り着けませんでした。

本当に、何てゲームを参考にしたんだろう?


ネタ思いついたら単発やる?・・・なんて事は、今の所考えてません。

今、本気でネタが無くて。


でも私は気まぐれなのでわかんないです。(^^;

もし更新されてたら、その時はまたよろしくお願いします。

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