第十二章 中編:『海底の竜宮城と、ユデタン王女の華麗なるハートマーク接待』
これは、黄金の座布団を蹴り飛ばした男と、電子の姿で蘇った柴犬が、下町の小さな「消えた幸せ」を取り戻す物語です。怪我をする人はいません。安心して、練乳より甘い午後のひとときにどうぞ。
第十二章 中編:『海底の竜宮城と、ユデタン王女の華麗なるハートマーク接待』
【あらすじ】
氷室零警視の(水中プロパンボンベを括り付けた)私物クラウンによる不整合な乱入により、甘エビセンサー兵の完璧な先読みレーダー網をハッキング突破したAIポチ(SAI・ポチC)とアマケロロボ軍団。
トビウオ偵察兵の追撃を振り切り、彼らがついに辿り着いたのは、海底に怪しく、しかしどこか絢爛豪華に輝くゆでダコ星人の本拠地『リュウグウベース』の正門であった……。
■ 漆黒の海底に現れた、生臭き竜宮城
「フッ、ゴボッ……。どうやら私の論理的なガサ入れルートの開拓が、バチッと功を奏したようだな……ゴボゴボッ!」
水中仕様のクラウンのワイパーを猛烈に動かしながら、ダサいキャラクターTシャツを水圧でピチピチにさせた氷室室長が、外部スピーカーから泡混じりの言い訳ラリーを響かせる。
『室長のクラウンのバンパーが凹んだおかげだワン。そんなことより、リュウグウベースのハッチが1秒で自動開錠(仕様変更)されたワン。現場の匂いが、戦いというよりは……妙に「高級割烹」のようになってるワン?』
ポチCの液晶画面の中で、柴犬ポチのドット絵がジト目をピコピコと明滅させて不整合を検知する。
「ゲロゲロ!? 扉の奥から金ピカの光が漏れてるケロ! 突撃ケロ!」
特製シュノーケルを咥えたアマケロ販促ロボット軍団が、カエル泳ぎでハッチの奥へと滑り込んだ。ポチCと氷室のクラウンも、海底の気圧調整室を抜けてベースの内部へと乗り込む。
そこは、海水が完全に排除され、大理石とサンゴ礁で彩られた、まさに現代の竜宮城そのものの巨大なレセプションホールであった。
だが、待ち受けていたのは茹デタン准将の吸盤攻撃でも、ユデタン大尉の鋭い触手でもなかった。
■ プリンセス・ユデタンの華麗なる接待と、ハートマークのバグ
「ようこそ、地球の勇敢なるAIポチ殿、そして緑色のアマケロ軍団の皆々様ちゅう……♡」
ホールの中心、真珠のベッドの上から艶めかしい声を響かせたのは、ユデタン軍団の精神的支柱であり、茹デタン准将をも平伏させる美貌の持ち主――**【ユデタン王女】**であった。
メタリックピンクの特製宇宙ドレスを身に纏い、その八本の触手はシルクのリボンのように華麗にウェーブしている。王女がウィンクを一つ放つと、宇宙のハッキング電波に乗ってピンクのハートマークがフワフワとホール中に舞い散った。
「ちゅうちゅう♡ 遠いところをご苦労様だちゅう。まずは我がリュウグウベース特製の『宇宙最高級・甘エビの踊り食い』と、世界のヘソから極秘に抽出した『源泉100%の贅沢足湯』で、現場の疲れを癒やすちゅう〜♡」
「――ッ!!!!!?????」
次の瞬間、現場の全員のシステムに致命的な不整合が発生した。
「ゲロゲロ〜〜〜〜ン♡ 王女様、最高にビューティフルケロ〜〜♡」
さっきまで「スクラップにするケロ!」と息巻いていたアマケロ軍団の目が、1秒で全員**【キレイなハートマーク】**に仕様変更! 足ヒレを放り出して王女の触手の周りでデレデレとカエル跳びを始めちまった。
『ぬ、ぬぬぬぬっ……! 完全なる論理的エラーだワン! 王女のドレスの色彩パターンのせいで、俺の柴犬メインフレームの視覚バグが……っ! ど、どう見ても、昔飼い主の親父さんが隠していた高級グラビア雑誌より魅力的なワン……♡』
画面の中のドット絵ポチまでもが、ジト目を完全に失って**【大きなピンクのハートマーク】**をピコピコと明滅させて激しく悶えている。
「ふ、ふん……! 馬鹿げたハカライ(接待)だ。国家公務員である私が、このような非論理的なタコの宴に騙されるとでも……っ!」
クラウンのドアを開けて出てきた氷室室長も、メガネをキラーンと曇らせて警察端末をいじろうとしたが、王女から「お疲れのエリート様にも、特製の激甘練乳ソーダをあげるちゅう♡」と触手でグラスを差し出された瞬間――。
「……フッ、ゼウスの計算によれば、本日の私はこの華麗なレセプションを100%満喫する予定……プロトコル、完了……っ♡」
氷室のメガネの奥の目までもが**【バチッと完璧なハートマーク】**になり、ダサい私服のままデレデレと鼻の下を伸ばしてソファに頽れてしまったのである。
■ 忍び寄る後編の罠
「ちゅうちゅう♡ それでは皆様、心ゆくまでリュウグウベースの夜桜ならぬ、海底の極上接待をお楽しみくださいだちゅう……♡」
ユデタン王女は妖艶に微笑みながら、無数のハートマークでデレデレになったポチ、アマケロ軍団、そして氷室の姿を、吸盤をピトッと合わせて見つめていた。
全員のバイタルと防衛システムが、接待の快楽によって完全に「ゆるゆる仕様」へと書き換えられていく。
だが、その豪華なホールの天井の奥では、茹デタン准将とユデタン大尉が、真っ黒なインクを仕込んだ不穏なレバーをガチッと握りしめてニヤリと笑っていた。
華麗なる接待の裏に隠された、リュウグウベース最後の「トホホなトラップ」が牙を剥く、泣いても笑ってもこれがこの窓の最終回!
第十二章 後編(一応完・平和条約締結編)へと、ハートマークのまま爆速で続く!
(第十二章 後編 一応完 へ続く)
【結びの一句】
タコドレス エリートの目が バグを起こす
『あちねが事務所で寂しく激甘コーヒーを啜っている間に、俺たちは海底の天国に辿り着いたワン……♡ でも待つワン、この甘エビの踊り食い、ハッキングの不整合なノイズが混じっているワン……!?』
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。『AIバディ・ポチの事件簿』、あちねとポチの凸凹コンビを、これからものんびり見守っていただけたら幸いです。




