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『AIバディ・ポチの事件簿 〜エリートを捨てた男と柴犬ポチ、AIキャロルの優しい正義〜』3話or4話のオムニバス SFコメディファンタジー  作者: 曲木 六円


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第八章 後編 完:『弱きを助け悪を憎め! 銀河(?)の更生大団円』

これは、黄金の座布団を蹴り飛ばした男と、電子の姿で蘇った柴犬が、下町の小さな「消えた幸せ」を取り戻す物語です。怪我をする人はいません。安心して、練乳より甘い午後のひとときにどうぞ。


【あらすじ】

一族は政財界に名を連ねる名家。亜那(あだ)あちねはエリートの座を蹴り飛ばし、自らドブ板の便利屋へと落とした。

相棒は、亡き愛犬の魂が宿る愛車、SAI・ポチC(ポチキャロル)。

高級香水『エゴイスト』を纏いながら、脳が痺れるほどの練乳を愛し、下町の涙を拾う男。

「理屈じゃねえんだよ。……現場の意地、見せてやる!」


本文

怒涛のクラブ殴り込み

体育館裏で世界の兄貴分を「真空投げ」で沈めたあちねの快進撃は、それで終わりではなかった。

学校を覆ういじめの根っこを根こそぎ引き抜くため、最強の用務員あちねは、竹箒を担いだまま校内の名門運動部へ次々と殴り込み(体験入部)を開始したのだ!

ガラッ! 「おい、卓球部! 現場のラリーってやつを教えてやる!」

バシィィィン!!! 箒を持たせたら天下一品のあちねの手首のスナップが炸裂。放たれたピンポン玉は凄まじいドライブ回転を帯び、いじめに加担していた特待生のラケットを次々と空中へ弾き飛ばした。

ドカッ! 「次はバスケ部だ!」

長身を活かした驚異的なフットワークで、特待生たちのパスをすべてカット。さらにバレー部ではどんな強烈なアタックも完璧にレシーブし、空手・柔道部では警察官上がりの本物の武道テクニックで、世界クラスのガキどもを赤子の手をひねるように畳へ転がした。

「ひえぇぇ! なんだあのおっさんは!? 化け物か!?」

各部のエースたちが次々と床にひれ伏していく。バドミントンとテニス、剣道以外のスポーツなら、あちねは文字通り「無敵」だった。

特別コーチ懇願と、涙の諭し

「お、お願いです……! オレたちの特別コーチになってください!!」

放課後の体育館。あちねの圧倒的な強さと、泥臭くも抜群に格好いい姿にすっかり心を奪われた体育特待生と中学生の兄貴分たちは、全員が床に頭をこすりつけ、涙を流して懇願していた。

あちねは作業着の袖で真っ赤な鼻をこすり、首筋から『エゴイスト』の香りを漂わせながら、彼らを見下ろしてポロリと大粒の男泣きの涙をこぼした。

「お前らのなぁ……その血の滲むような努力で鍛え上げた立派な体は、自分より弱い仲間をいじめるためにあるんじゃねえ! 現場の力ってやつはなぁ、弱きを助け、悪を憎むために使うもんだ! 自分の拳の重さを、もう一度よく考えやがれッ!」

「ううっ、すいませんでしたぁぁ!!」

あちねの魂の説教に、悪ガキどもは声を上げて号泣した。彼らもまた、名門のプレッシャーや勝ち負けの世界で心が歪んでいたのだ。あちねの涙が、彼らの歪んだ根性を綺麗に洗い流していく。

アマケロルームの大団円

その頃、地下の『アマケロルーム(秘密の相談室)』では、ポチとアマケロ支店長が、涙を拭いた依頼人の少年やブルジョワな子供たちを優しく迎えていた。

校内を駆け回っていた大量の『アマケロルンバ型』たちが、健気に「ケロケロ〜」と鳴きながら子供たちの足元を掃除し、張り詰めていた空気を和ませていく。

「もう心配いりません。体育特待生の皆さんの行動ログ(更生の誓い)はすべて記録しました」

ポチのドット絵が、液晶画面の中で花束を持ったグラフィックに切り替わる。

「これより、私立ノーベルノグチ小学校は、本当の意味で誰も傷つかない『スマート人情校』へとアップデートされます。論理的なハッピーエンドです」

「あちね殿、本当にお疲れ様ケロ。でもやっぱり、探偵より用務員の方が……」と、アマケロ支店長がまたニヤニヤとからかう。

「うるせえやい! オイラは探偵(便利屋)なんだよ!」とあちねが照れくさそうに叫び、一同にドッと笑い声が響いた。

いじめの闇は消え去り、悪いガキどもも全員「笑顔でおかえり(更生)」となったノーベルノグチ小学校。

仕事を終えたあちねは、夕暮れの深海市を下町の相棒、ポチキャロルと共に走り抜ける。練乳コーヒーの甘さが、戦いを終えたあちねの体に、じんわりと優しく染み渡っていった。

(第八章・完)

【結びの一句】

弱きをば 助くる拳 春の暮



最後まで読んでいただき、ありがとうございます。


『AIバディ・ポチの事件簿』、あちねとポチの凸凹コンビを、これからものんびり見守っていただけたら幸いです。

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