↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『AIバディ・ポチの事件簿 〜エリートを捨てた男と柴犬ポチ、AIキャロルの優しい正義〜』3話or4話のオムニバス SFコメディファンタジー  作者: 曲木 六円


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
21/65

番外編 後編 全4話 完 『AIバディ・ポチの事件簿 〜エリートを捨てた男と柴犬ポチ、AIキャロルのドブ板正義〜』

【まえがき:なろう読者の皆さまへ】


某議会のお偉いさんへ痛烈な一撃!

陰惨な流血は一切なし、スカッと笑える

痛快ハッキング・コントミステリー!


――今回の見どころコマーシャル――

★【悪党の往生際】2000万で議長職を

買う強欲県議。「AIの偽動画だ!」

と大悪あがきする裏金を暴け!


★【高速後ずさり】緊迫感のなか、

中腰のまま魚のようにトトトッと

後ろへ消える、あちねの伝統ギャグ!


★【カエル砲炸裂】エリートの愛車を

蛍光ピンクの肉球マークまみれにする、

下町の拠点「アマケロ網」の逆襲!


★【7分間の大富豪】報酬をアテに

1泊12万の高級旅館へ行くも、わずか

「7分」で家出を断念したワケとは?


サクッと読めて脳が痺れる全4話。

どうぞ最後までお楽しみください!


番外編『AIバディ・ポチの事件簿』

後編 全4話 完「世界一短い家出と、いつもの味」完


福まる食堂、翌日の昼下がり。


テレビのニュースキャスターが、晴れ

やかな声で報じている。

「議長職買収の音声が市内全域に流れた

腹画黒造県議ですが、本日午前、

言い訳を二転三転させたのちに完全失脚

となりました」


画面の隅には、洗車場へ逃げ帰る

ピンクの肉球マークまみれのクラウンと、

顔を真っ赤にした氷室警視の姿も

映っている。


「ざまあみやがれ、でやんす」

あちねは激甘コーヒーをすすりながら、

鼻を高くした。


そこへ寝太郎が懐封筒を持って現れる。

「あちねさん! 桃福の親父さんと町内

会からの大感謝の報奨金です! これで

例の一泊十二万の高級旅館、

行ってきなよ!」


「お、待ってました!」

あちねの目が輝いた。


     *


高級旅館『深海御殿』、極上スイート。

畳の香り、床の間の掛け軸、窓の外には

手入れの行き届いた日本庭園。


ポチは液晶からスマホに同期し、

専用のふかふか座布団の上に陣取る。

「ふかふかワン……これが贅沢の味ワン……」


キャロルが旅行ガイドのように

淡々と説明する。

「本日の夕食は懐石十二品でございます。

あちね様の胃袋の許容量を鑑みますと、

完食は困難と予測されます」


「うるせえ、来た以上は全部食う!

くはは、これが大富豪の暮らしだ」


あちねは畳に大の字になって笑った。

が、カッコつけて寝返りをうった瞬間、

仲居さんが置いていった床拭き用の

洗車バケツに足を突っ込んだ。

ガシャン!


「痛っ! ひぎゃあ! なんでこんな

ところにバケツがぁ!?」

ケンケンで部屋を跳ね回る貴公子。


その拍子に、キャロルの画面に

恐ろしい現実がポップアップした。

「あちね様、追加のサービス料、およ

び明日の朝食オプションを含めた

会計の最終確認をお願いします」


画面に表示された桁違いの総額を見て、

あちねの顔がみるみる土気色に変わる。


「……これ、本当に一泊の値段か?」

「はい。加えて、この金額を支払うと

来月のポチ様のドッグフードは全て

もやしに強制変更となります」


ポチが座布団から跳ね起きる。

「クゥーン……もやしだけはやめて

ほしいワン! 贅沢のせいで飢え死にする

のは御免ワン!」


あちねの背中に、冷や汗がドバドバと

流れる。ここまで贅沢を謳っていた

勢いが、急速にしぼんでいく。


あちねはがたがた震えながら、

深呼吸して静かに言った。

「キャロル……即座に、キャンセルで」

「かしこまりました。滞在時間、

わずか七分でございます」


ポチが畳に崩れ落ちる。

「世界一短い家出、記録更新ワン……」


     *


福まる食堂。

引き戸を開けて戻ってきた三人を、

トメさんが目を丸くして迎える。

「あら、早かったねえ」


「おい、チャーハンできたぞ!」

カウンターの奥から桃福の親父が、

湯気の立つ皿を差し出した。


あちねは何も言わず、いつもの席に座る。

レンゲでチャーハンを一口食べ、

いつもの激甘コーヒーで流し込んだ。


そして、深いため息と共に、小さく

笑う。

「……高い懐石より、いつもの飯が

世界一だな。この甘さだけは裏切らねえ」


キャロルが淡々と告げる。

「あちね様の幸福指数、百二十%。

完全にリセットされました」


ポチがいつもの座布団に丸くなりながら、

ジト目でつぶやいた。

「悪党にも大富豪にもなれないワン」


あちねは手帳を取り出し、綺麗にまと

めたつもりの、センスのない一句を

したためた。


結びの一句

家出して 財布を見れば 家がいい


ポチがすかさず鋭いツッコミを入れる。

「最初から分かってたワン。カメムシの

臭いもまだ取れてないから、さっさと

帰って二回シャンプーしてください」


始まり、始まり、の、全4話終わり。


後書き

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

『AIバディ・ポチの事件簿』、あちねとポチの凸凹コンビを、これからものんびり見守っていただけたら幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。