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海のように深く  作者: 心雨
第11章
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自身で息子を治療する

神戸から帰った後、静香はようやく決心して、自分は亮を治療します。静香は自分が医者ですが、でも専門が違うし、また一度もうつ病の患者を治療したことがないので、自分の大事な息子に精神科の薬を投与することは彼女がとても怖いと思って、なかなか治療と言うことが思いつきませんでした。

でも、亮の状態はだんだん悪化していて、八方ふさがりの状態の中、彼女はようやく決心がつきました。自分で亮を治療する!彼女はうつ病治療ガイドラインと認知行動療法の本を買って、自分で勉強しました。亮の所にも何回か説得して、ようやく亮の同意を貰って試してサインバルタを再開しました。また亮はずっと不安な気持ちを抱いていたので、抗不安剤も処方しました。

その中に、静香はまた高橋先生にメールを送りました。

「高橋先生

今日は亮と一緒に少しゲームをしました、亮とはまだまともの話ができないが、私がゲームをしている間、亮はそばで寝ていました、眠剤もいらず、多分安心していたでしょう。

また、私達はサインバルタの治療が開始しました。私は精神科ではないですが、でも亮のために勉強します、とりあえず明日から、サインバルタを飲み始まります。この薬は亮が飲んだことがあって、効きましたので、また再開します。私は毎日亮の様子を見ながら、薬を出しますので、5分間診療の精神科医よりいいと思います。うつ病診療ガイドラインの本を買ったし、また認知行動療法の本も買いました。自分で勉強して亮を治療します。亮の様子を見ながら治療していく予定です。前処方された残薬がいっぱい残っています。

今日亮はゼミを参加しなかったですが、彼の本心はまだはっきり分かりませんでした。亮は先生にメールさえ知らせしなかったですね、すみませんでした。彼はそんな余裕はなかったと思います。

もっと早く亮を助ければよかったです、自分が医者なのに、精神科の薬を出すのは怖かったです、でも今は決心して、亮と一緒に戦います」

静香はサインバルタを最初に半量を投与しました、状態を観察しながら、副作用を確認して、問題はない場合、1週間後全量の2錠に増量します。静香は慎重でした、亮は薬を飲んでくれたのは、一つは彼も病気を治したかったです、もう一つは彼が静香を信頼しているからです。自分の手の中に息子の命が関わっていますので、静香も慎重に亮の精神状態の変化を観察していました。

2錠に増量した後、高橋先生から連絡のメールが来ました。

「陳様

昨日のゼミは亮君が普通に参加されておられました。ご家庭のケアが効いているのだなと思いました。

ゼミに参加するかどうかは、ご本人の希望、あるいは、御両親の考えに従えます。

研究室としては、迷惑と言うことは全くありませんし、亮君は他の学生と同様に話を大人しく聞いておられます。あと、2回で夏休みとなります。

こちらのことは考えずに、ご判断いただいで構いません」

この時期の静香はもう大学院がどうでもいいことと考えていました。ただ、亮はまだ学業に諦めたくなくて、彼の気持ちを汲むと、静香もそばで支えなければなりません。大学に通い続けることは亮にとって精神的なストレスだし、でもいざ休学するとなると、また亮とっては受け難い現実です。彼女は八方塞ぎ込まれました。

サインバルタを2錠に増量した後、亮には変化が表れました。彼はすごくイライラになってきて、様子がおかしくなりました。この日、静香は仕事から家に帰り、亮はリビングルームでぐるぐる歩き回っていました。表情は何かに追い詰められていて、とても焦燥していました。

「亮、どうしたの?」静香は心配して近づいて聞きました。

でも、亮はすぐ彼女の手を退け払って、キッチンに走りました。キッチンの棚の中に包丁がありました。亮は棚のドアを開けて、手が包丁に伸ばしました。一瞬、何をするかは静香が何も分からなかったですが、ただ幸いその後、亮の手が止まり、彼は何か突然目が覚めたかのように、すぐ2階自分の部屋に行きました。

亮は自分を殺そうとしている!静香はゾッとしました。すぐ調べると、これは抗うつ薬増量の時にまれに見る副作用で名前はアクチベーション症候と言うものです。不安と焦燥感は増大して、自殺の可能性も増大すると言う症候群です。治療するには薬を減量するしかありません。静香の治療は失敗に終わりました。


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