表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
海のように深く  作者: 心雨
第10章
60/78

息子は変わり始めた

5月初旬、亮はさらに良くなっていました。一人出かけるようになりました。静香はクリニックにいる時、健から嬉しい電話をかけてきました「息子はただいま出かけました。どこに行くか分からないが・・・」

「え?よかったね!」静香もうれしい声を上げました。今回の外出は15分ほどで帰りましたが、次の日に亮はまた外出をしました。今回は30分ぐらいで戻っていました。目的は分からないですが、静香と健はとても喜びました。さらに、亮は自分の部屋に掃除機をかけました、これは2年間の中に初めて亮は自分の部屋を掃除しました。掃除機の騒音のなかに、静香の心は嬉しさでいっぱいでした。

この日、高橋先生からメールが届きました。

「陳様

明日からしばらく遠出をするもので、大変夜分に申し訳ございません。

亮君が外出されたり、掃除をしたりと言うこと、お喜びであるとともに、変化でもあり、ご不安な気持ちもお察しします。

そのことと直接関係あるかは分かりませんが、最近感じたことをご報告します。それにはちょっと説明が必要です。

まず、亮君の修士テーマは、3次元のコンピュータ・グラフィックスが関係する数学の問題にしようと二人で大体決めております。当面の課題は、その数学問題と解くためのコンピュータプログラムの作成と、3次元のグラフィックスを仮想空間で見るための機械の選定です。

4月22日のゼミでも、この二つが話題になり、機械の方は亮君が慣れていて、3Dを見るためのゴーグルと高性能パソコンを選定してくれるものになりました。そのパソコンですが、自作パソコンというもので、だいたいの部品を買って自分で組み立てるというものです(ご自宅の亮君のパソコンもそうらしいです)そして、そのパソコンを研究室に置くにあたって、亮君が研究室で組み立てる、と言ってくださっています。最終的にどうなるかは分かりませんが、もしそうだとすると亮君が大学にいらっしゃるチャンスが生まれることでもあり、私はそのことには直接触れずにどうもありがとうとだけ伝えてあります。(がっかりさせないように先回りしますが、その時に一回大学にいらしても、その後の研究は在宅になるかもしれません)

また、プログラムの方が上記のゼミで、数字的に正しいかどうかが議論になり、決着はつきませんでした。ところは、昨日に詳細な議論と検証記録をメールで送ってくださり、それはすべて正しくまた同時に機械の見積もりも添付してくれました。

彼がこのように自発的に私にはっきりとした行動を取ってくれたことは、おそらく初めてであって、私もとても喜びです。お母様が感じられた通り、彼は少しずつ変わり始めていると思います。

でも、ちょっとしたことで元に戻ることもありうると思います。ただ、もしそうなってもまだまだチャンスはやってくると思っています。少々のことでがっかりしたりせず、辛抱強くそれを待とうと私は心に決めております。そうすれば、どこかのチャンスで、フッと浮上してくれるのではと期待しております。

お母様、お父様におかれましては、ご心配には変わりなく、精神的にもお辛いかと思います、でも、どうか不安を飲み込んで今までと変わらない形で、彼に暖かく接してあげていただければと思っています」

これを見ると、静香は嬉しくて、すぐ返事をしました。

「高橋先生

ありがとうございます、そんな遅くまでもメールをくださいました。

このメールを見られるのは、多分先生が帰ってくるときでしょう。でも、私はありがとうと言いたいです。

もう2年ですね、先生とはじめて会ってから、先生とだんだん親しくなって、いまは先生をとても信頼しています。そのまま今の関係を続けたいです。先生さえ迷惑と感じなければ。

亮もお願いします」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ