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海のように深く  作者: 心雨
第8章
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この世も捨てたものじゃない

その翌日、保健所の先生は立ち入り検査に来ました。時間は午後の5時ごろ、丁度回診が終わり、カルテの記入も完了していた頃でした。保健所の先生は親切でした、クリニックの環境を見て、静香にはいくつの質問をしました。感染の管理や看護婦さんの注意事項などもいろいろ助言しました。空気消毒だけは足りないかもしれず、接触した物件もすべて拭き消毒したほうがいいと助言しました。30分ぐらいの立ち入り検査が終わり、保健所の先生が行った後、静香はすぐに看護婦さんたちに拭き消毒徹底するようと指示しました。事務長たちの努力もむなしく、感染は完全に封じ込めず、やはり消毒はまだ徹底的ではないと静香は考えています、例えば患者さんいつも触っている靴箱、スリーパー底、コンソールの表面など、拭き消毒をさらに徹底すれば、ウイルスの感染を封じ込めるかもしれません。

夜、静香は家に帰り、健は新聞の一面を見せました、小さい文面で一つニュースがありました。「横浜市内の透析クリニックでクラスターが発生しました」静香は苦笑いしかありませんでした。


緊張した空気の中に、1週間を過ぎました。やはり拭き消毒は奏功したか、感染者はようやく減りました。

1週間後、高橋先生から一通のメールが来ました。

「陳様

まだ感染対応でお忙しいかと思いますが、こちらのゼミの報告です。

亮君とのゼミはいつも通りに終わりましたが、途中の休憩で私が大学のオンラインテストの話をしていたら、亮君から、お母様のクリニックでの感染についての話しがありました。もちろん、私は先日にお母様からクリニックの状況を伺っていましたが、そのことについて私は何も言わないでおいて、亮からお話しを聞きました。亮君はお母様の状況について、自発的に私に話をしてくれたということは、お母様のことを思いやる自分(亮君)を他人である私に共有したということですので、少し精神的余裕ができたのではないかと感じました。

こうやってすこしずつすこしずつ完全回復に向かって行くと思いますので、亮君と楽しいゼミを続けて参ります。」

これを見ると、静香はすぐ返事をしました

「高橋先生

忙しいのに、いつもメールをください、ありがとうございました。

 この1週間もコロナと戦う1週間でした。看護婦さん、技師さん、事務長たちも自分感染されるリスクがあるのに、頑張りました。バイトに来る大学の先生たちも防護服持参して、仕事に来てくださいました。また基幹病院の先生たちもよくうちの患者を受け入れて、懸命に治療しています、本当に感謝の気持ちいっぱいです。

 幸い、感染の勢いは止めるそう見えました。私は家に帰り、よくご飯の時に病院のこといろいろ話をしましたので、亮も心配していました。先生にお話しするのは、先生を信頼している証拠です。私は最近あまり亮を構える余裕がありません。

亮に病院のことを話す目的はただ一つ、彼に知ってほしいです、この世も捨てったものじゃなくて、暖かい人がいっぱいいます。

どうしても感染の連鎖を断ち切りたいです、来週全員もう一度PCRする予定です。」

2日後中川先生から電話が来ました。

「陳先生、一つお知らせします、先生のところからうちに入院した太田さんは亡くなられました。」

「え?」心の準備ができていますが、静香はやはりびっくりしました。太田さんはあの電話で泣きながら頑張ると言った患者さんでした。あまりの速さでした。

「太田さんはARDSになり、人工呼吸器を繋がりましたが、最初は良かったですが、その後カフの空気漏れがあり、挿管チューブを入れなおした時、換気不良になり、陽圧換気を試しましたが、肺がガチガチで全然酸素が入れなくて、結局亡くなりました。」

「そうですか・・・」静香は言葉が失いました、これは肺の線維化ですか、肺が硬くなり、膨らむことができなくなりました。コロナ、とても怖い病気でした。

「あとの二人の患者さんはどうですか?」静香は心配で聞きました。

「あと二人はステロイド投与後改善して、解熱しました」

「よかった」静香は長い一息を出しました。

「陳先生のクリニックは最近どうですか?感染の方は?」

「先生が心配してくれてありがとうございました。幸い最近感染がコントロールされつつでした」

「それは良かったですね」

「先生の所もコロナ感染の患者がいっぱいいって、先生も感染に注意してください」

「陳先生も気を付けてください、また何かあれば連絡してください」

「分かりました」



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