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海のように深く  作者: 心雨
第7章
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息子はまた不安定になった

5月はすぐ過ぎて行きました。ようやく政府から通知が届きました。基礎疾患がある透析患者さんの優先的ワクチン予防接種が始まろうとして、静香は忙しくなり、少しの間亮には構えなくなりました。5月の末頃、高橋先生から1通のメールが届きました。

「陳様

本日も、亮君と本読みのゼミを行いました。もうすぐ第二章が終わり、第三章に入りますが、280ページ中、やっと90ページぐらいまで進んだ状態で、いつ終わるのかと言う感じですが、満足できるところまで行ったら終わってもいいし、ずっと読み続けてもいいですよねと、二人で決めています。

緊急事態宣言が延長となりましたが、実は、このゼミを大学に行って研究室にやろうかとも考えており、亮君にも本日その話をしました。亮君が外に出る機会の一つになればと思います。宣言のせいでまだオンラインですが、そのような予定であるということをお知らせいたします」

 

患者さんのワクチン予防注射の準備があり、静香は空き時間がないため、このメールは見たが、2日後ようやく返事をしました。

「高橋先生

 お久しぶりです。返事が遅れて大変申し訳ございません。先生は亮を外に連れ出すのは大変感謝しています、いろいろ考えてくれてありがとうございました。

 私たちは元気です。亮もワールドの作りに励んでいます。この前、大学から院生合格の連絡が来て、私たちもホッとしました。

 私は先生がどんな態度であろうでも、先生に対して誠実に対応していこうと決めています。先生と縁がないのは分かりました。もし私が独身でいれば、先生が結婚してもしなくても、多分構わないでしょう。でも、私も自由な身ではないです、主人もいるし、亮もいます、自分の大事なひとには傷つきたくないです。今のままだと、多分一番いい選択です。

 割と私は落ち込んでいませんでした。先生の気持ちが分かりましたし、尊重します。先生と出会えることには後悔はありません。

 さって、亮は先生に言われて、いつ重いお尻を上げて、出かけていくでしょう」

 でも、静香は楽観視過ぎでした、何の原因は分からないが、亮の精神状態はまた悪くなりました。夜間には不眠になり、夜中に起きってしまい、暗闇の中に一人ひっそり立っていました。それに伴い、静香も不安定になりました。自分の息子はまたうつ病が再発じゃないですかと彼女は考えれば考え程怖くなり、静香も夜間不眠になりました。亮は起きていれば、彼女も寝ないで亮の傍にいって、二人一緒に朝を迎えることになりました。

 そんなことが続くと、静香は我慢の限界を越えて、ついに彼女はまた高橋先生に助けを求めました。

 「高橋先生

 亮は近日精神状態が不安定になりました。原因ははっきりしませんが、5月28日のゼミの後からやはりおかしいと感じました。6月3日ゼミの前日夜も眠れず、夜中起きってしまいました。悪い予感をして、亮の傍にずっといましたが、6月4日に先生とのゼミを休みました。その後さらに悪くなって、イライラして、昔うつ病発作起こしている時と同じでした。どんなことが原因か全然分からなくて、亮が自分で乗り越えられるかと思いましたが、全然だめでした。先生の言った通り、亮は精神的に弱くて、少しの挫折も耐えられません。そんな状態はどうやって社会に出るだろう。多分6月11日にもゼミに出られないだろう。もうそのまま様子を見ていた方がいいですか?亮に自身で判断したほうがいいですか?」

 その後、高橋先生からすぐメールが返されました。

「陳様

大変ご心配のことと思います。私も亮君からお休みの連絡をいただいたので、何も言わずに、「了解しました、来週いつも通りに」と伝えてあります。まずは、次の金曜日まで亮君の状態が保てるなら、オンラインのゼミの中で様子を見たいと思います。

 何か思い当たることはないかと考えました。前回の時に、緊急事態宣言が終わったら大学に出て一緒にゼミをしようかと言ったこと、また、修論をやるためにも、少しずつ慣れたほうがいいねと言ったこと。これが原因でしたら、何とか次の金曜まで保たないだろうかと期待しています。様子をみて、私の方で亮君の心がやすまる対応ができるかもしれません。

 お母様と私が大学でお会いした後で、亮君にそのことをお母様から言われましたか?そして、もし言われたとしたらそれはいつの頃で、彼の反応はどうだったでしょうか?実は、私の方からは亮君にそのことを伝えておりません。もしお母様がごく最近にそのことを亮君に伝えたとしたら、私が何も言わないのは、私が亮君に黙っていたことがあると言うになるので、彼が気に病むかと思いました。

まずはここまでで一旦メールします」

 静香はこのメールを見ると、さっそく返事しました。

「高橋先生

 いろいろ大変お騒ぎしてしまい、先生にも迷惑をかけしました。

 先生と学校で会ったことは主人にも、亮にも言いませんでした。これは原因ではありません。先生とは時々連絡を取っているのは主人が知っていますが、亮には内緒にしています。

 どうしてこうなったが、まったく原因が分かりません。でも、先生の見解は正しかったです、多分私がずっと一生亮の面倒を見なければなりません。

 パーニックになってすみません」

 高橋先生から返事のメールもすぐ来ました。

「陳様

 学校で会ったことをおっしゃらなかったのは、よかったと思います。

 そうだとしますと、おそらく私が先のこと少し触れてそれに悩んだか、あるいは、無関係な別のことかと思います。お母様には大変心労のことと思いますが、もう少し様子を見て、次のゼミまでお待ちいただけますか。

お母様に置かれましては、これまででよくなった部分をお考え下さるようお願いします。大学に全く出られなくなった状態から、私とゼミができるようになり、学部の卒業もできました。最近のゼミで少し笑いが出るようになっています。今から就職活動まで1年半から2年、修士卒業まで3年弱の時間の余裕が生まれました、行ったり来たりの状態ですが、段々とよい方向に向かっていて、いつか臨界点を越えてくれればと期待しています、ただし、それにはまだ時間がかかると思っています」

 静香はこのメールを見って、今まで亮の状態は高橋先生の言った通り、最悪の状態に比べるとよくなっていること、高橋先生はまだ亮の状態は一進一退のことで、それほど心配がないということで、彼女も少し納得して、様子見としました。そしで、彼女は高橋先生の助けに対して感謝の意を表すため、また10万円の寄付をしました。彼女の心の中に、亮のことはとにかく一番で、どんな対償を払っていても亮のことは諦めないと決めました。


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