土曜日の透析当番、お邪魔した
その中、静香は中川先生に電話を掛けました。中川先生は静香の元上司です。今のクリニックの仕事も中川先生の紹介で得られました。中川先生はとても優しい先生でした。患者にも優しくていい先生ですし、部下に対してもとても優しく、立派な上司でした。静香は中川先生の下で2年間仕事しかしませんでしたが、でも中川先生に対してとても尊敬な気持ちを抱いていて、なんでも相談できる先生と位置付けしました。それもあり、静香は以前の病院を離れても、時々中川先生を会いに行きました。今回も半年ぶりに中川先生に連絡を取りました。先生の都合を聞いて、土曜日に中川先生が病院で透析当番をしている日に会いに行きました。
毎回静香は中川先生に会いに行くとき、いつも手土産を持って行きますので、今回も同じく中華街で買った上海の特色点心、肉月餅を持って訪ねました。土曜日の病院は人影も見えず、シーンとしてとても静かでした。静香は救急外来の入り口から入り、大きな総合受付のホールに入りました。外来はなく、診療の窓口はすべて閉まって、上に行くエスカレーターもすべて止まりました。静香は大きなホールの真ん中に立って、8年間も働いていたこの病院を見て、懐かしい感情が湧き上げました。この病院で彼女が3年目の研修医の時から入り、多忙な仕事、大変な当直、生と死の場面をいくつも出加えて、頑張りつづけ、ようやく何にも分からない研修医から一人前の医者に成長しました。この8年間、どれぐらい努力して、またどれぐらいほかの先生の助けを貰ったのか、今は思い出すと、涙と笑みが混じり合って、苦みと甘みとも舐めていました。人生にこんな貴重な8年間はもう二度と来ないでしょう。静香は胸の中に熱くなりました。
透析室は1階でした、入り口からちょっと遠いので、静香は記憶に辿って、軽快な足で行きました。透析室のドアをくぐると、すぐに診察室がありました、中川先生もすでに中で待っていました。
「先生、お久しぶりです」静香は嬉しく、言いました。
中川先生の視線はコンピューターの画面から移り、すぐ笑みを浮かびました「陳先生、お久しぶりです」
診療室には椅子が一つしかなく、静香は診察ベッドの上に腰を掛けました。すぐ中川先生に向かって聞きました「先生、最近は仕事が忙しいですか?」
中川先生笑って言いました「すごく忙しいです。今は腎臓内科がこの病院の中で一番入院患者が多い科でした」
「すごいですね!」静香もうれしく言いました。彼女は中川先生をよく知っています。中川先生は仕事が忙しくなればなるほど楽しくなる先生ですから、ほとんど救急を断れず、どんな患者も受け入れて、昔静香も大変忙しかったです。
「これ、これ」中川先生が嬉しそうに電子カルテを開いて、静香に患者の一覧を見せました。
静香も画面を確認しながら、口の中に賞賛の言葉を思わず出ました「先生、すごいですね」
中川先生はまるで小学生が先生に褒められるように笑って言いました「そうでしょう、だから毎日すごく大変ですよ」
静香はさらに聞きました「先生の病院、1年間腎生検は何件ですか?」
中川先生考えながら言いました「多分20件から30件の間です」
「すごいですね、普通の総合病院なら、これぐらいの腎生検の数、先生はよく頑張りましたね」
中川先生頭をぽりぽり搔きながら、すこし恥ずかしそうに言いました「皆は頑張りました」
「先生は今部下が何人ですか?」静香は聞きました。
「私を入れて5人です」
「増えましたね、腎臓内科は大きくなりましたね!」静香はすぐ言いました。自分はこの病院にいる時のことが思い出しました。あの時腎臓内科は中川先生を入れても3人でした。今は5人に増えて、医局員の増加は腎臓内科がこの病院での立場の強さの証明です。
「陳先生はどうですか?」中川先生聞きました。
「私も順調ですよ。クリニックも患者が増え、大きくなりました」
「コロナで大丈夫ですか?」中川先生は心配そうに聞きました。
「一人陽性患者が出ましたが、幸いほかの患者さんには感染しなかったです」
「陽性患者が出たら、遠慮なくこっちに紹介して、受け入れますから」
「ありがとうございます」静香は頭を下がって感謝を述べました、中川先生の話は彼女に安心を与えました。
二人はまた少し診療の話をしましたが、その後ほかの先生の話に話題が変わりました。
「森田先生に会いましたか?」中川先生が聞きました。森田先生は中川先生がこの病院に来る前の腎臓内科の部長先生ですので、中川先生とも知り合いでした。
「7月に会いました」静香は答えました「森田先生はアフリカに行ってしまいました」
「え?」中川先生もびっくりしました、彼も初耳でした。
「なぜ森田先生は突然アフリカに行くのが本当に分からなくて、お子さんはまだ小さいですね」静香は言いました。
「森田先生は言わなかったですか?彼はつい最近離婚しました」中川先生言いました。
「え?森田先生は言わなかったです」静香は目を大きく開きました、ようやく森田先生はなぜすべてを捨ててアフリカに行くのは分かりました。森田先生は離婚のショックでいや気がさして、すべて捨てて、遠いアフリカに行きました。
「そうですか、森田先生も相当ショックですね」静香は残念そうに言いました。「森田先生の能力、日本に残れば、たくさんの命が救えたのに」
「そうですね」中川先生も賛同しました。「彼は優秀な医者ですが、でもアフリカで現地の医療に貢献するでしょう」
静香は頷きました。二人はまたいろいろな世間話をして、静香は長くいると中川先生の仕事に邪魔になると考え、少し話をしたら、別れを言って、病院を出ました。
帰る道、静香はまた森田先生のことを考えました。一人で遠いアフリカに行き、寂しいだろう、時々連絡しようと彼女は思いました。




