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第2章.部員集結

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17.決意

 桜が散り始め、一年生の新入生気分も薄れ始める。春になったばかりなのに高い気温が続いたため、あちらこちらの桜が葉を覗かせ始めた。

 

 あれから学は風邪を引いたわけでもないのに、体全体が鈍っている気がしていた。心も同様に鈍っている気がする。


 同じような毎日がしばらく続いた。心に何も去来しない、打てども響かない。どことなく西田や岬とも疎遠になっていた。


 夕闇が迫り、学はいつものように下校しようとする。今日も気温は高く、各教室の窓のほとんどが開け放たれていた。けれども学の中では全てが閉ざされているような気分だった。何となく、別の教室に西田や岬を探したが、二人とも下校した後だった。


 さっさと帰ろう。下駄箱で靴を履き替え、外に出た時だった。


 懐かしい音が聞こえる。学は音の出所を探った。


〝主よ、人の望みの喜びよ〟


 エントランスを出てすぐ目の前にある校舎。その二階、開け放たれた窓の向こうで、レイラがハンドベルの練習をしていた。入学式を思い出し、学はそちらへそろそろと近付いた。


 レイラはしばらく演奏していたが、ふとベルを置いた。何かじっと考えている。真剣な眼差し。またベルを手に取る。動かすが、音はまた止まる。しかし、腕を休める暇はない。何度も何度も繰り返す。


「私、男はイヤ」


 あの声がよみがえり、学は首を振った。


(俺は何を考えているんだ)


 振り切って下校しようと思った。が、足が動かない。


 学は観念したように、そろそろと近くのベンチに腰を下ろした。窓の向こうでは、彼女が何度もトライエラーを繰り返している。学はじっと考えた。


(藤咲さんはなぜ、あんな目に遭ってもこの学校にいるんだろう)


 学の心には疑問ばかり渦巻いている。


(それどころか、あんなに真剣に部活動まで)


 段々、学はレイラが羨ましくなって来た。西日を浴びてベルがちらちらと光る。何てキレイなんだろう、と思った時、学はふいに立ち上がっていた。

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