野鳥119番 1992年7月17日号掲載
新浜だより(行徳新聞再録) 1992年(平成4年)7月17日号掲載
野鳥119番
「もしもし、あのう、うちの猫がスズメの子を持ってきてしまって」
「えーっと、大きさはどのくらいでしょう。羽はだいたいそろっていますか?けがはしていますか?」
「はい、^しっぽまで入れて6,7センチくらい。羽はだいたいスズメの色で、しっぽは2センチちょっとくらいです。見たところけがはなく、血も出てません。翼や足もちゃんとしてて、元気はいいみたいです。飛ぼうとするんですけど、ストンと落ちるより少しましな程度で、まだほとんど飛べません」
「そのくらいのヒナですと、今日かきのう巣立ちしたばかりでしょう。親は間違いなく近くにいます。今日はちゃんと飛べなくても、1日か2日のうちに、親について行けるはずです。けががないようでしたら、まず何かお弁当がわりに食べさせてやってから、自転車のかごとか洗たくかごみたいな、外からヒナが見えるものに入れて、安全なところに出してやると、親が様子を見にきます。親が外からヒナに餌がやれるようなものがいいんです。ヒナが部屋のはしからはしまで飛べるようでしたら、親について行くことができますから」
「家のまわり、猫が多いんですよね。それに今はほとんど飛べないみたいですけど、こんなのでも出してやっていいんでしょうか」
「軒下とか、ベランダとか、屋根の上でもいいんですけど、猫が入らないところが探せないでしょうか。スズメのヒナは卵からかえってほとんど赤裸のものが、半月ちょっとで飛べるように育ちます。毎日毎日の成長の勢いがすごいんです。ですから、ほんの1日、2日でぐんぐん羽がのびるし、力もつきます。ただ、親がヒナを見つけてちゃんと餌をやるまで、餌の補いをしてやる必要があります。ひとりでは食べないので、口をあけて無理に食べさせます。最初の一口をやるのは、ヒナも人間もお互い不慣れでたいへんですけど、当面の間に合わせには、たとえばキャットフードやドッグフードを水に浸したものでもいいです」
数時間後、猫に襲われたショックからもすっかり回復したのか、このスズメのヒナは、何度も様子を見にきた親鳥の後を追って元気に飛んで行ったとのこと。何回もの電話のやりとりが続いたが、保護された方も私もほっとした。
飛べないヒナ(小鳥類)を見つけたら、けがや回避できない危険(猫、カラス、車など)がない限り、親鳥に返すのがいちばん。羽が生えそろっているものは、近くの安全な場所(木の枝など)に上げてやるのが最善の場合が多い。みなさま、どうぞよろしく。




