メジロの子は保父さん志望 1992年10月9日号掲載
新浜だより(行徳新聞再録) 1992年(平成4年)10月9日号掲載
メジロの子は保父さん志望
五月に低温が続いたせいか、今年は鳥たちの子育てがいつまでも尾を引いている。八月下旬になっても、小さいヒナの入院が続く。
江東区有明からふ化後間もないスズメのヒナ三羽が持ち込まれたのは八月二十日のこと。気象庁の観測船の雨量計の中にスズメが巣を作ってしまい、一ヶ月ほどの停泊を終えた観測船は南方へ出航。スズメつきで船出するわけには行かず、やむなく巣ごと入院という事態になった。ふ化当日らしい一番小さなヒナは助からなかったが、2日令ほどの二羽はどうやら順調に育ち、今では室内を飛んでは遊び半分に餌を探している。
スズメたちの入院後間もない八月二十二日。今度は銀座通りにいたというメジロのヒナが持ち込まれた。たぶん日比谷公園で育ったヒナで、巣立ち当日ではないかと思われたが、銀座のまん中では親鳥を探すわけにも行かず、入院鳥の仲間入り。なかなか愛敬のあるかわいいヒナで、すぐに人の手から餌をもらうようになった。ひまな時はまわりで聞こえる鳥の鳴き声をおりまぜて、さえずりの練習をしているので、どうやら雄らしい。当初から緑の羽毛が美しかったが、九月に入ると目のまわりの白い羽毛が開き、いかにもメジロらしい姿になってきた。
九月三日のこと。室内を上手に飛ぶようになったメジロのヒナに餌のミルワーム(生きた虫)を渡すと、自分で食べるかわりになんとくわえたままスズメの子のところへ飛んで行き、大きく開けた口の中へ入れてやった。スズメは大喜び。二羽のスズメにそれぞれ二回ほど運んでやってから、ようやく自分も食べた。
最初はくわえ方や渡し方、スズメ側の受け取り方がへたで、虫を何度も落していたが、二、三日でメジロの保父さんぶりはすっかり板についてきた。朝一番にもらう餌、自分もお腹がぺこぺこのはずなのに、ともかくまずスズメの子に運ぶ。観測船生まれの二羽ばかりでなく、他のスズメたちのことも気にして、室内をあっちに行ったりこっちに来たり。忙しく何度か往復してからようやく自分も食べる。自分が食べた後は、虫を見せても知らん顔で、かごの上に止まってひと寝入りする。
メジロもスズメもやがて放鳥にこぎつける予定だ。野外に戻った後、メジロがスズメに求愛したりしないかと少々心配。それでも保父さんを追って飛びあるくおかげで、スズメの子の飛び方はずいぶんじょうずになった。メジロ君、もうしばらくよろしくね。




