せかせか、ひろびろ 1991年6月7日号掲載
新浜だより(行徳新聞再録) 1991年(平成3年)6月7日号掲載
せかせか、ひろびろ
ジャーン!ついにできました。傷病鳥救護棟でーす。
なんのかんのと言われながら、傷ついた鳥の救護にあたること十五年。とうとう千葉県行徳野鳥観察舎の施設の一環として、治療・リハビリ用の建物が完成した。広さ約四十坪。プールつきの禽舎、治療室、飼料室、干し草置き場などを備えた本格的なものだ。
これまで視聴覚室や仮設禽舎に仮住まいしていた鳥たちの大部分は、新しい禽舎へ移動した。五月二十三日現在、二十八種五十羽あまりが新居に落ち着いたことになる。刈りたての干草を敷いた雑居禽舎はひろびろとして、なかなかいごこちがよさそうだ。
小鳥類やハト類はまだ仮設禽舎にいるので、目下のところ入院鳥は三十三種八十羽ほど。丸浜川に放し飼いのアヒルなどを含めると、世話をしている患者さんは百羽をこす。
新居に移って大喜びしたのは、なんといっても水鳥たち。仮設禽舎にはプールがなく、水道栓から五十メートルも離れていたため、満足に水浴びをさせてやれなかった。セグロカモメやカワウなど、新居に移って以来、日に何度となくプールに飛び込んでは、泳ぎながら気持ちよさそうに羽づくろいをしている。ちょうど繁殖のシーズンをむかえたウミネコやユリカモメは、声を張りあげて求愛のディスプレーをするようになり、足や翼が不自由なカモたちも、プールでのびのびと泳いだり潜ったりしている。どの鳥も、気のせいか羽がきれいになったようだ。
一方、タカの一種のノスリくんは引っ越しで大恐慌。まわりを囲った小さなケージに入れられていたのが、急に広い個室に移され、人にのぞかれたり、外が見えたりするのに動転したらしい。めちゃくちゃにあばれてくちばしにけがをし、続いてハンストをはじめた。毎日毎日、まったく手をつけていない餌をカラスにまわしてやりながら、餓死してしまうのえはないかと気が気でなかった。ノスリが再び餌を食べ始めたのは、なんと十日もたってからだった。
すきまをふさいだり、外から中が見やすいように金網を黒く塗ったり、個別禽舎の戸を世話しやすいように改造したり、と、やることはまだまだいっぱい残っている。できれば絵入りの名札を出して、鳥の種類がわかるようにしたい。止まり木や隠れ場をうまく作って、一羽一羽が落ちつけるようにもしたい。
そろそろヒナの巣立ちの時期を迎え、入院患者や問い合わせが毎日のようにふえてきた。人間がばたばた、せかせかとかけまわる日々は当分続きそうだ。でも鳥さんたちのひろびろ、のびのびした様子は見ていて楽しい。どうぞ、見にいらしてください。




