今年のセイタカシギ 1989年(平成元年)7月21日号掲載
新浜だより(行徳新聞再録) 1989年(平成元年)7月21日号掲載
今年のセイタカシギ
7月9日の夜おそく、遠くからセイタカシギの声が聞こえtきた。ケレッ、ケレッという声が近づいてくると、ピピ、ピピピという若鳥の声がまじるのがわかった。親は少なくとも2羽、若鳥も複数。6月5日に保護区の新池でかえったヒナが、親と一緒に飛んでいるのだろう。5月なかばに見たきちんと並んだ3個の卵や、6月のよちよち歩きのヒナの姿を思い出しながら、まっくらな夜空を飛ぶ親子の姿を想像してみた。
今年のセイタカシギは、5月はじめまで30羽以上も残っていたのに、いつまでたっても巣作りを始めなかった。2月11日と3月21日、みんなで大小12カ所も新しく島を作って繁殖を待っていたのだが、いっこうに産卵の様子がなく、やきもきするばかり。そのうちに群れはどこかに消えてしまい、残りはほんの数羽。
5月10日になって、ようやく上池の島に卵が1個、むぞうさにころがっているのが見つかった。巣らしい様子もなく、どうなることかと思ったのも束の間、12日にはくさった葉や土くれできっちり巣の形ができた中に、肩を寄せあうように2個の卵が並んでいた。13日に3個目が産まれ、6月5日、2羽のヒナがふ化。
同じころにできた4卵の巣は、ふ化直前になって卵がなくなった。また青大将くんのしわざだろうか。
5月末近くになって、下池に第3の巣が作られた。若鳥のつがいで、特に雌は昨年生まれらしかった。岸から卵が丸見えで心配したものの、3個の卵は6月21日に全部ふ化した。ヒナたちは何日か巣のまわりですごし、やがて浅い上池の方に移動した。アシが深いため、その後ヒナの姿は見られていないが、親のしつこい警戒の様子から見て、無事に育っているようだ。
あと1つがい、やはりごく若いペアがいた。このつがいはこともあろうに、5月27日、観察舎のまん前のうらぎく湿地の干潟に卵を産んだ。満潮になれば確実に潮をかぶる場所なのに、堂々と巣材を運んだり、卵の上に座ったりしている。あきれて見ていたが、翌日には早くも姿を消した。夜の間に卵も巣も流されてしまったのだろう。
今年繁殖したセイタカシギは、ほとんどが若い鳥のつがいらしく、去年よりずっと数も少なかった。おとなの鳥たちは、渡り去ったというより、新しい場所を開拓するために分散して行ったように思われる。少しさみしいけれど、あちこちであのきれいな姿が見られているのだろうと思うと、なんとなく楽しみがふえたような気がする。
行徳野鳥観察舎は改修工事のため8月1日から10月31日まで長期休館させていただきます。せっかくの夏休みや秋の遠足シーズンにかかり、申しわけございません。カモやカモメのくるころに新装オープンたしますのでお楽しみに。




