丸浜川は緑色 1989年(平成元年)6月23日号掲載
新浜だより(行徳新聞再録) 1989(平成元年)年6月23日号掲載
丸浜川は緑色
六月七日のこと、いつものように餌場におりて給餌用の餌入れを洗いながら、ふと目を上げると、尾つながりになったギンヤンマが水面すれすれに飛ぶのが見えた。ぎょっとした。ここ数年来、かなり熱心に丸浜川の様子を眺めたり、生物の記録をとっている。水がまっ黒な時もなわばり飛行のギンヤンマの雄をよく見かける。しかし、産卵を見たことは一度もない。
観察台から望遠鏡でのぞくと、連接したギンヤンマのつがいは岸近くに寄せられた枯れアシのかたまりに止まっていた。雄の胸は水色だが、雌は黄緑色で、腹も雄より明るい茶色をしているので、一見して見分けがつく。ふ化して日が経っているのか、雌の羽は渋をつけたようにやや不透明になっている。雌はしきりに尾の先をリズミカルに水につけていた。明らかに産卵しているのだ!とびあがりたいほどうれしかった。
昨年の今ごろにくらべると、今年の丸浜川は格段にきれいだ。五月には底が見えるほど水が澄んだ日が何日か続いた。四月からこのかた、観察舎の前では水が黒変していない。これまでは、猫実排水機場でのポンプ排水が三日以上行われず、水位が高いままだと、三~五日目に水がまっ黒に変色した。今年は黒くなるかわりに濃い緑色になる。六月十四日には猫実排水機場の水も緑色だった。
緑色は藻類の色。緑藻、藍藻、珪藻など、目に見えないほど微細な植物プランクトンが大発生していることを示している。プランクトンの発生は表面からせいぜい数十センチ程度で、底はあいかわらず無酸素状態に近いのだが、緑色の水はあまりくさくない。日中は酸素がたっぷりあるので、他の生物も生きることができる。ギンヤンマの産卵は、必ずしも勝ち目のない無謀な賭けというわけではないのかも知れない。
五月下旬には、たっぷり三ミリもある大型のミジンコがたくさん見られた。ふつうのミジンコは一ミリもないので、初めて見た時はエビか何かと思ったほど。おそらくオオミジンコという類なのだろう。ルーペで見ると背中の卵胞がくっきりと透けて見える。この大きなミジンコは酸欠に弱いらしく、ほんの二週間ほどで見られなくなってしまった。見慣れたタマミジンコ類はたくさんいるが、今ひとつ迫力に欠ける。
マスクラットの交尾、ついに確認。カダヤシも、でっかいアカミミガメも、ウシガエルも健在。あとはバンやカルガモのヒナがちゃんと育ってくれればねえ。
六月十五日、朝からしきりにホトトギスが鳴いている。渡り途中のものだ。目的地の山でも青葉がみごとなことだろう。
行徳野鳥観察舎は新館造成から十年目を迎え、このほど全面改修工事を行うことになりました。まことに申し訳ございませんが、八月一日から十月末日まで休館させていただきます。あしからずご了承ください。




