マスクラット 結婚? 1989年(平成元年)5月26日号掲載
新浜だより(行徳新聞再録) 1989年(平成元年)5月26日号掲載
マスクラット、結婚?
丸浜川のマスクラットが二ひきになりました!
マスクラットは小さな猫くらいもある大型のネズミで、沼沢地で暮らしている。戦争中、航空兵の防寒帽用の毛皮獣として飼育されていたものが野生化し、あちこちで見られるようになった。ところが堤や田のあぜに大きな穴をあけてしまうため、害獣として目の仇にされた上、蓮田の埋立で生活の場を失って、絶滅が心配されていた。
丸浜川にマスクラットが一ぴき住みついたのは昨年のこと。調査用のボートをつないである観察舎玄関脇のあたりで巣穴を見つけ、泳ぐ姿を時たま見かけるようになった。
初めてマスクラットを見た人は、たいていびっくりして、「カワウソですか?」とか、「ビーバーみたいなのがいましたよ」とか言われる。泳ぎが上手で水の中にいることが多く、しっぽが縦に平たい。巣穴には玄関と勝手口、裏口と三つの出入り口があることが多いが、その口も水の中に開いている。主食は植物で、脚の若芽やガマの根、ハスの葉などが好物らしく、ザリガニもよく食べる。堤に巣穴を掘るだけでなく、アシの茎などを積んで、こんもりとしたわら塚のような巣をつくることもある。
夜行性というより薄暮行動型で、日が沈んだ直後や夜明けごろに巣穴から出て餌をさがす。日中はあまり目につかない。秋ごろからほとんど姿を見なかったので、どこかに移動してしまったかと思っていた。
ひさびさに見かけたのは四月十七日のこと。アヒルを追いかけて岸に追い上げ、怒ったアヒルが首を低くして威嚇しているところだった。元気でよかったね、と声をかけたくなった。
四月二十三日の日曜、丸浜川で泥を巻き上げて一直線に泳ぐ姿を見つけた。まるでつながるように、ぴったりくっついて泳いでいるマスクラットが二ひき!ふざけっこをしているのか、ちょっとつかみあったり、じゃれあったり、これまで見たこともないような仲むつまじい様子。
二ひきは見るからに新婚早々のカップルという感じで、水上で交尾をしているように見えた。岸に上がってからもくっつきあって、草の間に姿を消した。
それからも何回か二ひきを見かけた。いつ見てもぴったりと寄り添っていて、雌雄のつがいとしか思えないのだが、どちらも長いことひとりで暮らしていたのだろうから、仲間ができてうれしくてたまらないだけなのかも知れない。
「それから二ひきは子供たちに囲まれ、いつまでも幸せに暮らしました」
そうなるといいなあ。




