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新浜だより 行徳新聞掲載再録  作者: 蓮尾純子(はすおすみこ)
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丸浜川で  1987年7月24日号掲載

新浜だより(行徳新聞再録) 1987年7月24日号掲載


   丸浜川で


 八日ぶりの恵みの雨が、午後になって上がった。大急ぎで夕方の餌をやり終え、それっとばかりにDOメーターをかかえて自転車に乗った。ひと雨降ってから次の降雨まで、水中の溶存酸素量を連日測定しようと計画していたが、雨がなかなか降らないので実行できずにいたのだ。

 猫実排水機場前のしゅんせつと砂入れの工事が続いているため、丸浜川の水位はこのところずっと低い。おかげで水が黒くなったり、ひどく臭くなることはない。

 塩浜橋から行徳高校の裏にかけては水深が浅くなり、藍藻類が水底をおおっていた。ハクセキレイがしきりに餌を探している。設置後十四カ月になる養魚用水車「せせらぎⅠ号」はまっ黒に汚れているが、故障もなく元気にまわっている。

 水車のそばに下りてみると、フロートの上に何か丸いものがある。驚いたことにバンのたまご、それも三つ!初めは雨で巣が流され、ひっかかったのだろうと思ったが、よく考えてみると、フロートのまわりのゴミよけのわくをこえて巣が乗るわけがない。アシの茎などが雑に積まれ、タマゴは脇にころがっていた。おそらく水位がもっと低く、水車の水しぶきがほとんど上がらない時期に産卵したのだろう。バシャバシャとしぶきに打たれ、やむなく巣を捨てたに違いない。

 しかし、まあ、何と度胸のよいバンなのだろうか。勢いよくまわる水車のプロペラから五〇センチと離れていないフロートに上がったばかりか、たまごまで生むなんて。もっと早く気がついていれば、片輪だけ回転を止める工夫をしてやったのに。バンが水車を受け入れて利用してくれたことにあきれたり、感動したり。

 観察舎を過ぎて鴨場脇にくると、低く飛んでいるツバメの群れに行きあった。五十羽は下らない。ねぐらに入る前なのか、ユスリカなどの餌を探しているのか。そろそろ黄昏時だ。

 福栄公園の下で最後の測定を終えると、七時だった。中ぐらいのウシガエルが体を半分浮かしてこっちを眺めているのを見つけた。カニが何匹も逃げる。ベンケイガニ類らしい。昨年はほとんど目につかなかったが、今年はどうにかやっていけるのだろうか。

 帰り道、薄暗くなった空に、今度はアブラコウモリの群舞を見た。四十頭ぐらいはいただろう。コウモリを見上げながら、自転車を走らせていると、顔にユスリカがぴしぴしと当たった。ここ何年かなかったことだ。

 丸浜川の水はいつ見てもきたない。おわい色、黄緑、ねずみ色、まっ黒‥‥‥それにしても、どうも今年も生物がもどっているような印象が強い。水車の効果ももちろんだが、水位が低く、一部の深みを除く全域で活発な汚れの分解が起こっているためではないかと思う。川の復活、どぶ川が息を吹きかえすこと。不可能ではないだろう。



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