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新浜だより 行徳新聞掲載再録  作者: 蓮尾純子(はすおすみこ)
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ぞーっ  1987年9月4日号掲載

新浜だより 行徳新聞再録  1987年9月4日号掲載


   ぞーっ


 禽舎に餌をやるため、いつものように餌皿を置く敷板を洗おうとして何気なく下を見ると、いました!すきまの形にあわせて四角いとぐろを巻いた大きな青大将君。排水口から禽舎にもぐりこみ、次の行動を思案中だったらしい。

 ぎゃあぎゃあ騒ぎたてると、図書室にいた高校生がかけつけてくれた。こういう時ばかりは実に頼もしい。長身のワカメがあっさりつかまえて、「おばさん、ほら」とふりかざしたものだ。逃げたのは私ばかりか二頭の飼犬と猫一匹。おす猫のボンドだけはこわがりもせずにおいをかいでいた。蛇君は手首より細目だが、一八〇㎝はたっぷりあって、まあ大蛇の部類に入りそう。大柄な川上君とワカメが二人して遠くに放しに行ってくれ、一件落着。あーあ、おばさんの権威はどこへやら、当分は中高生どもに大きな顔ができなくなってしまった。みんな青大将君が悪いんだ!

 夏一番の「ぞーっ」は何といっても飛ぶゴキブリ。カサカサ走られるだけでも苦手なのに、特大のが飛んできてくれると、たっぷり三〇分は背すじが寒くなる。ところが、今年は強い味方があらわれた。アシダカグモ。海の駅や旅館のトイレなどで、うすぐらい天井にはりついてじーっとしているばかでかいクモ。クモ嫌いの人だったら、想像するだけでぞっとするしろものだ。でも私は昔から、ヤモリとアシダカグモのいる家にあこがれていた。イモリがいればもっといいのだが、井戸がないのだから仕方がない。電灯に集まる虫をねらうヤモリの愛敬たっぷりのしぐさ、自分の体と同じくらいの獲物と壮烈な一騎打ちを演じるアシダカグモ。同居の相手としては悪くないではないか。それに、いかにも落ち着いた家らしいふんい気がある。

 この夏になって、ひょろ長い足をのばすと七、八㎝もあるうす茶色のクモが網もはらずにうろついているのを見かけるようになった。風呂場やトイレ、時には寝室に出没し、何日か見かけないので死んだのかと思っていると、突然シーツの上を走りすぎたりする。いつも単独で出現するが、二、三匹いるのかも知れない。クモにくわしい友人に聞くと、若いアシダカグモらしいとのこと。今年を無事にすごせたら、来年の今ごろは、天井のうすぐらいすみの方に十㎝くらいもある大グモがべったりはりつき、ゴキブリと大格闘する姿が見られるかも知れない。背すじだけは十分に涼しくしておけそうだ。あとはヤモリ君が引っ越してきてくれればよいのだが。

 水鳥誘致と水質浄化のための実験池がやっと完成。アキアカネがどっさり集まって産卵するような、そんな湿地ができるといいなあ。


註 このクモは結局コアシダカグモだったようです。2年ほど見かけましたがいなくなりました。


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