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43 僕と親友とルリ

「おう親友!」


瑠璃さんが何やら用事があるとめずらしく早々に家を出ていってから、タイミングを見計らったかのように入れ違いでそう挨拶をして勝手に部屋に上がり込んでくる順一・・・お前はもう少し遠慮を覚えてもいいのでは?僕のプライベート空間なのにこうも勝手に入ってくる人間がいるとあまり落ち着かないものだが・・・いやまあ、最近はもはや瑠璃さんの第二の部屋と化してきてる気もしなくはないが・・・うん、そこはスルーで。だって瑠璃さんだもん。


「お?その猫どうしたん?」


勝手に部屋に入ってきた順一は僕の膝の上でまったりしている猫・・・先ほど命名されたルリが大人しくしているのを見て面白そうに聞いてきた。


「家の前で捨てられてて拾った猫なんだけど・・・」


「ふーん・・・名前は決めたん?」


「一応・・・ルリって名前・・・」


そうぼくが言うと順一は心底可笑しいというように笑っていた。


「彼女の名前を猫につけるとは・・・あつあつだねー」


「否定はしない・・・」


いや、正直僕もどうかと思わなくはないが・・・茜姉さんと瑠璃さんが盛り上がってそうなったんだから仕方ない。何よりも茜姉さんが「それなら確かにたっくんになつくののも頷けるよー」と言って僕に彼女の前でキョドりまくらされたのが堪えて何も言えなかった。


しばらく笑っていた順一はしばらくして落ち着くと猫のルリをみて撫でようと手を伸ばしてーーー


「シャー!」


ーーーおもいっきり威嚇されていた。


「よしよし大丈夫だからね」


しばらく威嚇していたルリを撫でて落ち着かせるーーーにしてもメス猫なのに順一になつかないのは珍しいな。

イケメンな親友は異性どころか種族の壁をも越えてモテるようでメスの動物が順一になつかないのを見たことがないくらいなんだけど・・・


「んー・・・やっぱり猫でもお前の彼女とは相性悪いみたいだな」


「その言い方はやめろ」


まるで猫も彼女扱いに聞こえるからマジでダメだよ・・・考えすぎかもしれないが、なんとなくそう思う。ただでさえ僕には女装とシスコンというジョブがついてるのに動物愛護までつくともはや人として終わってしまう気がする・・・え?だいぶ手遅れだって?


いやまあ・・・シスコンはもはやどうしようもないし、女装に関してももはや週一でメイド服を着ることが確約されているので手遅れかもしれないが・・・うん、僕はノーマルだということを強調しておきます。


「にしても・・・随分お前になついてるな。拾ったのいつなの?」


「昨日だよ」


「・・・なつきすぎじゃね?」


うん、確かにその疑問はあるけどね。前から人に慣れていたにしてもなんでこんなになつかれているのかもはや疑問しかないレベルだよ。


「まあ、茜姉さんが初日に風呂に入れて失敗してからなついたみたいだけど・・・」


膝の上で上機嫌で僕に撫でられているルリを見るーーーなんかこの言い方だと瑠璃さんを膝の上に乗せてプレイボーイ気取りしてるみたいに聞こえるけど、断じて違うと否定しておく。


「うーん。なるほどな・・・」


「それで・・・何か用事でもあっんじゃないの?」


こいつが来ると大抵は何かあったときだというのが経験則としてあるのでそう聞くと順一は「おおそうだ!」と言って猫のルリから視線を僕に向けてきた。


「これを渡そうと思ってさ」


渡されたのは何やら黒い物体ーーー何やら先端が尖っているクワガタみたいなそれはーーー気のせいでなければテレビとかでたまに見る所謂スタンガン的なもののように見えるが・・・


「これは?」


「スタンガンだ!」


まんまだった。え?なんでこいつはこんなものを僕に渡してきたの?なんなの?


「あのさ、これをどうしろと・・・」


「いやー親友の心配をした俺がネットオークションで仕入れたものだよ。密林さんはすぐに動いてくれて便利だな」


すげーAmaz◯nさんそんなものまで扱ってるんだー・・・


「というのは半分冗談で、メイド喫茶の店長の白石さんに頼まれて持ってきたんだよ」


「白石さんに?」


なんだあの人がこんなものを僕に渡したのかまったくわからず首を傾げていると親友は説明してくれた。


「まあ、簡単に言えば護身用だよ。メイド喫茶の子って可愛い子が多いからよくお客にストーカーとかよくされたりするらしくて・・・それで白石さんはあそこの従業員にこれを支給してるそうだ」


「そんなことまでしてるんだ・・・」


なんというかスタンガンというものを実際に目にしたことがない僕としてはそもそも実在してることに驚いたくらいだけど・・・うん?でも待てよ


「何故男の僕がこれを渡されるの?」


そう聞くと親友はニヤニヤしながら言った。


「いやー達也のメイド・・・竜子ちゃんが予想外に反響が良くてよくお客に竜子ちゃんのことを色々聞かれるらしくてね。だから心配した店長からの贈り物だよ」


・・・黒歴史がどんどんと増えていく件について・・・ど、どうしよう・・・僕汚れちゃったよう瑠璃さんーーーあ、でも女装して瑠璃さんとデートした時点でもはや変わらないか。そんなことを思いながらとりあえずスタンガンを受け取ったのだった。

使う機会がありませんように・・・

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