閑話 暗躍の予兆
「・・・・・」
深夜・・・雲雀瑠璃は自室で、達也が拾った猫がつけていた首輪を弄っていた。しばらく首輪の周りを眺めて・・・革のそれをペンチを使って無理やり開くとーーー
(ビンゴか・・)
ーーーそこには瑠璃の予想通りのもの・・・盗聴器が仕掛けられていた。
瑠璃は達也が猫を拾ったという話を聞いてから実際に猫をみて確信できていた。こんな不自然なタイミングでの捨て猫・・・しかも達也の家の前に置いてあるからには何か罠があるだろうと読んでいたが・・・
(茜さんが狙い・・・いや、多分狙いはタツか・・・)
無機質なそれを眺めて瑠璃は思考する。茜の方ならおそらく茜の彼氏がもう解決に乗り出しているはず。しかし瑠璃が達也の家に行った時にまだこれがあったということは狙いは間違いなく達也だろうと思った。
(多分こないだから色々ちょっかいをかけてきてる奴らなんだろうけど・・・盗聴器なんかどうするつもりだったのかしら?)
無論、ただの変質者が茜の私生活を盗聴するために仕込んだ可能性もあるだろうが・・・
(それなら盗撮をする可能性が高いし、それはあの茜さんの彼氏が見過ごすとは思えない)
達也の周辺の全てを把握している瑠璃は当然ながら茜の彼氏である正一の存在も知っているが・・・だからこそあの彼氏ならそんな問題が起こるまえに解決するだろうと読んでいた。そうなれば必然的に達也が標的だろうことは間違いないだろうが・・・
(これは宣戦布告なのかしら?)
いつでもこの手の行動は容易だというような挑発の意味があるかもしれないが・・・しかし、それにしても狙いが見えない。こないだ達也が襲われた時にも感じたこの違和感・・・
(私を表舞台に出してタツに何かしようとしてるのはわかるけど・・・)
正直、真由美が裏で全て操ってるという結論なら一番手っ取り早くすむのだが・・・
(あの子がそこまで頭の回転がいいとは思えない)
言ってはあれだが、真由美はわりと脳筋思考気味というか、この手の絡めては使ってこないので、まず間違いなく第三者によるものだと推測ができるが・・・
(舞屡隊の件にしても、真由美の裏切りにしてもかなり色々うろうろしているみたいだけど・・・)
相手の狙いが自分と達也であろうことを察していても、予測の出来ないトリッキーな絡めてに瑠璃は頭をかかえてしまう。
(もう少し馬鹿な子ならこんなにてこずらずにすんだんだけどね)
そこまで考えて瑠璃はため息をついた。
(うん・・・とりあえずタツにこれ以上アクションがあれば・・・いよいよ本気で潰す必要が出てくるわね)
そう考えて瑠璃はその盗聴器を窓の外へと投げた。




