36 僕と彼女と緊張の意味
翌日の放課後・・・こんなにドキドキするのは久しぶりってくらいのドキドキ・・・かと言われれば悩むけど、うん、なんか瑠璃さんといるとわりとドキドキさせられるイベント多いから、今さらではあるが・・・まあ、とにかく僕はかなり緊張で震える手を抑えて瑠璃さんと共に瑠璃さんの実家へと向かっていた。
彼女の実家へ挨拶なんて生まれてはじめての経験だが・・・瑠璃さんと一緒にいるときとは別種の緊張感があるね。
瑠璃さんとの緊張が恋愛的なドキドキだとすれば、今感じてるのは・・・そう、未知への恐怖へのドキドキ?
いきなり宴会場のステージに、見知らぬ人を前にアニソンを熱唱するくらいの恐怖がある。もちろんそんな経験はないが・・・あれ?あったかな?保育園くらいの時に旅館に泊まった時にあったような・・・まあ、それは昔のことだからいいけど、今なら絶対に出来ないと断言できる。うん。
「タツ大丈夫?」
そんな感じに内心でパニック&現実逃避をしていると瑠璃さんが心配そうに僕の顔をのぞきこんできた。いけないいけない。
「大丈夫だよ。少し・・・というかかなり緊張してるだけだから」
「そんなに構えなくても大丈夫だよ?」
そうは言ってもね瑠璃さん。普通の男子高校生が彼女のご両親に挨拶なんて・・・そうそうあり得ないイベントだし、緊張しない方が凄いと思うよ。
「うーん・・・あ、ならさ」
そう言って瑠璃さんはゆっくりと僕の隣に並ぶと腕ごと震える僕の手を包み込むように・・・抱きついてきた!?
「ちょっ!?る、瑠璃さん人前で・・・」
「ふふ・・・ダーメ。家までこのまま行くよ。それに今さら腕くらいでタツ緊張しすぎだよ」
「す、好きな子にスキンシップされると自然とこうなっちゃうんだよ・・・」
あれ?なんか今緊張でおかしなことを言ったような・・・とはいえ、抱きついてる瑠璃さんは僕の台詞に何やら嬉しそうに微笑んでいた。
「ふふ・・・そうかぁ・・・私もタツが大好きだよ」
無邪気な笑み・・・これにやられて何も言えなくなる僕。
瑠璃さんの笑みの前には僕は何も出来ないことがはっきりしてるよね。うん。
結婚したら思いっきり尻に敷かれるタイプだろうけど・・・瑠璃さんならいいかなって思う僕も大概かな?
そんな風に隣から伝わる柔らかな感触と体温にさっきまでとは別の意味でドキドキしながら瑠璃さんの実家へと向かっていた。




