閑話 雲雀瑠璃の守りたかった温もり
本日3話目です。
瑠璃さん・・・
「そう・・・それで?真由美の足取りは分かる?」
達也を救った後・・・雲雀瑠璃は事後処理のための電話で部下に、幹部の一人である桜井真由美の動向についてきいた。
『それが・・・真由美様は昨日から連絡が取れず、自宅にもいないようで・・・』
「自宅にも?真由美は確かひとり暮しよね?」
『はい。一応、調べたのですが部屋にはおらず、携帯もどうやら置いて出たようで・・・』
「そう・・・」
部下の報告に瑠璃は予想通りだとため息をつく。
『姐御。やっぱり真由美様は・・・』
「確定・・・ではないけど、あの子が何かを知ってるのは間違いないわ。私の情報を流した可能性もあるし・・・ひとまず足取りを早急に突き止めなさい」
『はい!あ、それと・・・達也様の護衛についていた者ですが・・・』
「容態は?大丈夫なの?」
『命に別状はありませんが・・・かなりボコられたようで、達也様を守れず不甲斐ないと嘆いておりました』
「そう・・・失態ではあるけど、私達にあの状況で居場所を伝えたことは上出来よ。それに・・・お陰で何人かは裏切りものを特定できたんてしょ?」
『それはもちろん!』
そう・・・何故、護衛の着いていた達也が簡単に拐われたのか・・・護衛の情報を流した人間がいたからだ。
強襲をうけた護衛の人間は、なんとか瑠璃達にその事を伝えはしたが・・・圧倒的な人数差に一方的に弄ばれてしまい、現在は病院で治療中なのだ。
とはいえ、それで今回・・・瑠璃の部下の裏切りものを何名かあぶり出しが出来たので結果的にはよかったが・・・
「なら、次はないと伝えて・・・今はゆっくり休んでいろとね」
『姐御・・・はい!』
瑠璃のその厳しくも・・・気遣った言葉に部下は歓喜したように答えて電話はきれる。
電話を終えてため息をつく瑠璃。
(あと少し遅れていたら・・・)
ゾッとする想像に瑠璃は体を抱き抱えるようにして蹲る。
(もし、タツに何かあったら私は・・・)
その想定に・・・達也がいなくなる可能性に瑠璃は心底恐怖していた。
「タツ・・・」
愛しい人の名前を呟く・・・と、ふわりと肩に何かをかけられた。
見ればそれは達也の部屋着の上着で・・・そこには達也本人が心配そうに立っていた。
「瑠璃さん大丈夫?」
「・・・大丈夫よ。ありがとうタツ」
肩に添えられた手に自分の手を重ねる・・・触れあう体温が自然と固まっていた心を解していく・・・
「終わったなら、中に入りなよ。この時間は少し寒いし、瑠璃さんが風邪引いたら困るからね」
ニッコリとそう言われて・・・瑠璃は心底思った。
(あぁ・・・この笑顔を守れてよかった・・・)
自分の好きになったこの笑顔を守れて・・・
春先とはいえ時刻は夕方・・・少し風が肌寒く感じる中・・・瑠璃の心には確かに守れた愛しい温もりが確かに熱を帯びていた。
触れあう体温が心から嬉しく思える瑠璃は・・・いつものように達也に頬笑みかけるのだった。




