表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
サトリの友達  作者: 李雨
16/24

別れ

「もう、俺たち、これ以上フェイクを続けるのは止めよう。あれからかなり経つ。ミナの事情は解決したはずだよ」


悟の口からその言葉が紡がれるのを、ミナは他人事のように聞いていた。

・・・ショックが大きいと心がバリアを貼るって本当だったんだ・・・。

なんだか、水の中にいるみたいに、声が直接触れてこない。


「料理も上手になるまで、と思っていたけど、もう十分上手になったし、料理教室ももうやめよう」

「俺が心変わりしたことにしてくれていいから」

「もともと、別れたくなったら別れる約束だったよな」

そんなことを言ってくる。

違う、とミナは思う。

『好きな子ができるまで』と言ったはずだ。

じゃあ、源くんの前だから言わないだけで、好きな子ができたってことだろうか。


心がイタイ。

ミナは凍ったように動けなかった。

ぐるぐると言われた言葉と、考えることが頭の中で回っている。

普段なら、そんなときにはこっそりと能力をつかって悟がフォローを入れてくれてたのに、今はそれすらない。


もしかして、別れたくないという気持ちが一つの可能性を引っ張り出す。

「み・・・源くんとは何でもないよっ?」

源くんが、生徒会に誘ったってことで何かあると思われたんだろうか?

それとも、嫉妬してくれたんだろうか?

そのことに縋るミナに、返ってきた言葉は冷たかった。

「そんなことはわかってる。九郎は軽く見られるが他人の彼女だと思うやつを誘惑はしない」


俺が別れたいと思ったということだ、と告げられた。


そして、そのまま、背を向けて去ってしまった。

源くんは、それを見て慌てた様子で、「悟っ」と呼びながら後を追っていった。


残されたミナだけが、その場所で周りが暗くなって見回りの先生に肩を叩かれるまで立ちすくんでいた。


結局、ミナは生徒会に入った。

源くんが、自分のせいだと思ったのか、何を考えたのか、強く引っ張ったのだ。


・・・なんなんだ・・・?


それでも、失恋して家で一人落ち込むより、学校内を走り回ったほうが、気も紛れるというもので。

悟のことを考えたくないから、仕事を持ち帰ることまでした。

空いた時間が悟を思い出させて怖かった。



ところで、生徒会メンバーは、結構皆自由だった。

頭髪にしても、いろんな髪型があるし、生徒会長ヒメの先輩は黒い長い髪がきれいな美少女だったけど、副会長アカは髪の毛が赤くて、がっしりした力持ちっぽい体形の美形。源くんですら、「カラス」って呼ばれてるけど、短めの黒髪にほっそりした体形の美形。

書記シロに至ってはアルビノっていうのかな?

全体的に色が白いけど、美形。

・・・この生徒会で、美形でないの、庶務の私だけじゃない・・・?


そして、初めまして、の挨拶の代わりに、決まって「誰の紹介?」って聞くのだ。

そして、「源くんの」と答えると、これもまた決まって、「九郎カラスのカノジョ?」と聞くのだ。

同じ学年のくせに、源くんに対する生徒会の役員たちの信頼はすごいもので、源くんの紹介ってだけで胡乱げなまなざしが消える。

そして、どこで知り合ったのか、「悟のモトカノ」と源くんが言うと、それだけで、どうやら一定のランクの信用を得るようなのだ。


「で、悟はどうしてる?」そんなみんなの問いかけには、

「んー。まぁ、ちょっと前進ってとこかなぁ。なんせ、モトカノ作ったくらいだし」

って源くんが堪えるんだけど。

意味が分からない。

一体、どこに前進したんだろう?

モトカノって私だよね?

私、フェイクだって、説明したし、何もされてないよ?


「皆さんは、幼馴染とかですか?」

聞いてみると、はっとしたような顔をして、「まぁ、そんなもん」とだけ返ってきた。

「カラス?」と生徒会長が声をかけ、源くんが「うん」と答えた。

何なのだ・・・・?


生徒会の仕事というのは実にいろいろあって、しかも、みなさん、学業もおろそかにしてなかった。

全国で10位以内に入ってらっしゃる人ばっかりとか・・・。

そこでも、私だけ・・・だ。


生徒会長の権限は大きくて、毎日のパトロールの地域は生徒会長が決める。

というか、生徒会長が決定事項として発表することは、ほかの役員は何一つ文句を言わない。

それでいて、専横しているという感じではなく、「この人なら、間違いない」と言う感じの信頼が透けて見えるからすごいものだ。

そんな中、私はひたすら、いろんな役員から指示を受けて、校舎内を走り回った。


季節が変わったころ、ある日生徒会室に行くと、源くんだけだった。

いや、多分、源くんだと、思う。

だって・・・



源くんは、黒い羽を生やしていたのだから。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ