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サトリの友達  作者: 李雨
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17/24

悪魔じゃない

「え?」

声を上げる私。


「わっ」

驚いた様子で見返す源くん。



・・・

・・・・

・・・・・


「源くん、それ、作り物じゃないよね?」

どう見ても、しっかり本物っぽい羽を見ながらそう聞いてみる。


「・・・本物だ」


「源くんて・・・・




悪魔だったのっ?」




そう聞いたら、源くんと私しかいない部屋なのに、ぶほっというお茶を吹くような音が聞こえた。

隣の部屋との壁が薄いのかもしれない。気を付けないと。


「おい・・・」源くんの眉尻がへにゃっと落ちた。

「悪魔じゃねーよっ」


「あー。そうだ、しっぽがないっ」


「そういう問題じゃないっ!!」


「え?」


「あんた、種族の尊厳を何だと思ってんだっ。俺は由緒ある妖なんだぞ。」

怒らせたらしい。言葉遣いが悪い。


「えーと・・・じゃあ、カラスの妖精さん?」


「・・・なんだよ、その妖精さんって・・・」

今度は頭を抱えた。


「あのー・・・すみませんが、答えを教えていただきたく・・・」

これ以上、ダメージを与える前に低姿勢で頼んでみた。


「カラス天狗なの、俺」

「あー。それで、『カラス』」

・・・あれ? ってことは・・・・


「うん、生徒会のみんなは俺がカラス天狗なのを知ってる。

その上で黙っててくれる。

お前も黙っててくれるか?」

そう聞かれるから、「もちろん」と答えた。


私、ここ一年の妖怪遭遇率高いんじゃない?

悟もそうだったよね・・・と思ったところで、「ああ、だから、二人は特に仲がよかったのか」と思った。

そして、久しぶりに思い出した悟に、まだ未練があるのを実感する。

だって、源くんがカラス天狗だったってことより、何より、仲がよかったのはそのせいかと思ったせいで、私も妖怪だったらよかった、って思ってしまったもの。

世界に二人っきりの妖怪だったら・・・こんな風に仲良くなってただろうか。

つい嫉妬を含んで、じとっと源くんをにらんでしまった。


「なんか、嫌な目つきなんだけど?」

今背中に寒気が走った、とかいう源くんはすごくカンがいいと思う。

この時ばかりは、悟がいなくてよかった、と思う。

さすがに悟と源くんのBLを連想したとかわかったら殴られる。


「ああ、大丈夫。私、多分『俺は妖怪なんだ』っていうのも、『俺は外国人なんだ』って言われるのも同じだから。」

ちょっと感覚が日本人と違うね、くらいのもんだ。

いや、日本人感覚がある分、源くんの方が付き合いやすい。

「・・・頼むから、『あの子、外国人の血が入ってるんだって』と同じ感覚で、『アノヒト、妖怪らしいよ』って友達にいうのはやめてね・・・」

なんとも言えないような表情で、源くんがそう言った。

無礼な。ちゃんと言っちゃいけないことくらいわかるもんっ。




そんなやり取りがあってから、また季節が一つ変わった。


「は? 今、なんて?」

「生徒会メンバーは、あんた以外、皆、妖怪よ」

生徒会長がそうのたまう。

「今日、エイプリルフールでしたっけ?」

4月ではなかったはずだけど、ここんとこあったかかったから・・・ちょっとおかしくなったのかしら、と思うミナ。

「はぁ・・・つくづく、こっちの予想通りに動かん娘だわね」

「何故、信じない?」

副会長が聞いてくる。

「あまりに妖怪率が多すぎて」

「そりゃ、この学校が妖怪の住処だった森の跡に建ったからな」

「え? 近隣の住民が妖怪ってことですか?」

「いや、さすがにそこまでは」


「それで、どうして今、そんなカミングアウトをしたんですか?」

そこにミナは不自然さを感じた。

だって、生徒会長と副会長は、もう夏には引退してしまう。

「夏に、引退してしまうから、だ」会長が言う。

「え?」

「引退前に、ちょっと皆でおせっかいをしようと思ったんだ」副会長も言う。

何を言ってるんだろう?

「えーと、その、私にカミングアウトしちゃってよかったんですか?」

「お前のことは、カラスのカミングアウトから見てきたからな」

そう副会長がまた答える。

「へ? あの時、部屋には二人っきりでしたよ?」

「我々は妖だぞ。多少の幻惑の法術くらい使える」

「あー、なるほど」

あの時を思い出したらしく、副会長が爆笑しはじめた。

「からすの妖精さん。ぷはははは」

源くんがすごく嫌そうな顔をする。うん、ごめん。

「まさか、カラス天狗に悪魔かと聞くやつが出てくるとはのぉ。これも じぇねれーしょんぎゃっぷ、というやつか」会長がしみじみと言うのを、「いや、こいつの考え方、かなり変だぞ」と源くんが横やりを入れた。


「で、話を戻しますけど、どうして、今? おせっかいって何ですか?」

そう聞くと、皆が真面目な顔をした。



「サトリのことだ」


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