表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
サトリの友達  作者: 李雨
PR
14/24

また雨が降っている。

縁側の、お前と一緒に並んで座るはずだった場所。

そこから、お前が一番好きだったアジサイが見えるはずだった。

俺が好きなお茶をお前が入れてくれて、俺が「ありがとう」を言って。

そしたら、お前が俺に向かって微笑ってくれるはずだった。

そうやって、ずっと二人で生きていくはずだったのに。

いくつもの「はずだった」が目の前にちらつく。

遺骨になってしまった彼女を傍に置いて、泣いた。


自分の、執着が、彼女を、こんな目に、合わせてしまったんだろうか。


彼女にも幸せになってもらいたい、嫌なことを忘れてもらいたい、そう思っただけだったのに。


どんなに考えても、答えは出なかった。

そして、出ない答えを彼女のいない縁側で、ずっと考えていた。



「また、あの夢・・・」

最近、あのころの夢をみることが多い、溜息をついてそう思った。



「江戸」と呼ばれていた時代が「明治」になり「大正」になり「昭和」になった。

そのころ、発展してきた産業やら何やらで、住んでいた山が売られることになった。

先見の能力のある長が山の権利をもっていたため、山を売る時に、一部を自分あやかしたちの土地とし、学院と家やマンションを数件建てることを条件にしたらしい。

悟は、ひたすら籠りたかったので、箱のような「マンション」というものを選んだ。

そして、そこで、「平成」になるまで独りでいた。

ただ・・・環境が変わったのが良かったのか、家を引っ越してからはひきこもりつつも、多少、交流するようになり、やっと学校へ入学してきたのだ。

「もう恋なんてしない」そう決めた。

なのに、そのすぐ後には、入学式の日に神社であった娘に惹かれた。

冗談のように好意を伝え、本気にされず、そのまま友人になるはずだったのに。


どんどん、娘との距離が縮むのに比例して、夢をみる機会が増えている。

「紗枝・・・これは、お前の恨み言だろうか・・・?それとも、忠告だろうか?」

今は亡き妻に言うようにそうつぶやく。


暗闇は、あのころと同じで、何の返事もしなかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ