ダブルデート(ミナ)2
終わってみれば、今回のデートって本当になんだったんだろうって思う。
帰り道、悟の隣を歩きながら、ミナは反省していた。
結局のところ、最後に彼がいった通りなのだ。
相田くんはかっこいいと思う。
きっとモテるだろう。
そんな彼をカレシに持ってしまったユキは、彼と話し合って疑惑を消すか、彼を信じるしかないのだ。
それができないのなら、どのみち最後は破局しかない。
相田くんが口に出す名前の女の子全部が、ミナのように協力的になるとは思えないし。
じゃあ、今日のダブルデートは失敗かと言えば、それも違うような気がする。
ミナは悟とでかけられて楽しかった。
ユキも、たぶん、悟だから、言われたことを受け止めたと思う。
ミナでは、嫉妬が邪魔をして素直に聞いてくれなかったかもしれない。
「親友なんだから」と当たり前のようにいろんなことを頼み込んだユキに、「じゃあ、お前はその親友に何をした?」と聞いてくれた。
聞いて初めて、ミナはそれをユキに言える立場だったんだ、と思った。
守ってもらえたことが、素直に嬉しかった。
ちらりと隣をうかがう。
少し疲れた顔をしている悟が一番、今日は貧乏くじだったんじゃないだろうか。
来るときに預けた荷物を取りに悟の家に寄る。
ほとんど作ってもらったのだから、とお弁当箱を洗う。
その横で、悟がお茶を淹れてくれた。
ソファに移動して、お茶を飲みながら、今日のことを考える。
「今日は、ありがと。」
とりあえず、最初にお礼を。
「身体の具合、どう?」
「帰ってきたしね、もう大丈夫」
顔色がかなりよくなっていた。
「あのね・・・心って、読んだり読まなかったりできるの?」
今日のことを思い出して聞いてみる。
「うん。今日は読んでなかっただろ?」
「じゃあね、・・・これから、私の心、読まないで?」
そう言うと、ああ、やっぱり、という顔をされた。
「心を読まれるなんて、気持ち悪いもんね・・・」
そうつぶやく悟に、彼女は否定を返す。
「違うよ。何を言われるかわかっちゃうのって、悟が楽しくないじゃない」
何をするかわからないから、目の前で起こることに驚いて、気持ちが動くじゃない?
だから、読まないで済むなら、読まないで一緒にいることを楽しんでほしい。
そういうミナを、悟は黙って見返した。
すこし、いつもとは違うまなざしで見られた気がする。
「あ、読みたいときは読んでいいからねっ。隠すことって多分ないから」と言っておく。
「今日の遊園地は結構楽しかった」と言われた。
「なぁ? 観覧車のジンクスって何?」思い出したかのように聞かれた。
「恋人とあの観覧車で夕日を見ながらキスしたら、ずっと一緒にいられるんだって」。
ああ、言いながら恥ずかしい。
これって、まるで私がそれを望んでるようにも聞こえる。
「・・・向き合う二人が同時に夕日を見るなんてことができるのか?
・・・そもそも、キスは目を閉じてるぞ?」
そんな真面目な突っ込みが悟から入った。
ちょっと、あのほっぺたへのキスも効力があればいいな、と思った。
私、もしかしたら、悟のことを好きになっているのかもしれない・・・・・。




