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サトリの友達  作者: 李雨
12/24

ダブルデート(ミナ)2

終わってみれば、今回のデートって本当になんだったんだろうって思う。

帰り道、悟の隣を歩きながら、ミナは反省していた。


結局のところ、最後に彼がいった通りなのだ。

相田くんはかっこいいと思う。

きっとモテるだろう。

そんな彼をカレシに持ってしまったユキは、彼と話し合って疑惑を消すか、彼を信じるしかないのだ。

それができないのなら、どのみち最後は破局しかない。

相田くんが口に出す名前の女の子全部が、ミナのように協力的になるとは思えないし。


じゃあ、今日のダブルデートは失敗かと言えば、それも違うような気がする。

ミナは悟とでかけられて楽しかった。

ユキも、たぶん、悟だから、言われたことを受け止めたと思う。

ミナでは、嫉妬が邪魔をして素直に聞いてくれなかったかもしれない。

「親友なんだから」と当たり前のようにいろんなことを頼み込んだユキに、「じゃあ、お前はその親友に何をした?」と聞いてくれた。

聞いて初めて、ミナはそれをユキに言える立場だったんだ、と思った。

守ってもらえたことが、素直に嬉しかった。


ちらりと隣をうかがう。

少し疲れた顔をしている悟が一番、今日は貧乏くじだったんじゃないだろうか。


来るときに預けた荷物を取りに悟の家に寄る。

ほとんど作ってもらったのだから、とお弁当箱を洗う。

その横で、悟がお茶を淹れてくれた。


ソファに移動して、お茶を飲みながら、今日のことを考える。

「今日は、ありがと。」

とりあえず、最初にお礼を。

「身体の具合、どう?」

「帰ってきたしね、もう大丈夫」

顔色がかなりよくなっていた。

「あのね・・・心って、読んだり読まなかったりできるの?」

今日のことを思い出して聞いてみる。

「うん。今日は読んでなかっただろ?」

「じゃあね、・・・これから、私の心、読まないで?」

そう言うと、ああ、やっぱり、という顔をされた。

「心を読まれるなんて、気持ち悪いもんね・・・」

そうつぶやく悟に、彼女は否定を返す。

「違うよ。何を言われるかわかっちゃうのって、悟が楽しくないじゃない」

何をするかわからないから、目の前で起こることに驚いて、気持ちが動くじゃない?

だから、読まないで済むなら、読まないで一緒にいることを楽しんでほしい。

そういうミナを、悟は黙って見返した。

すこし、いつもとは違うまなざしで見られた気がする。


「あ、読みたいときは読んでいいからねっ。隠すことって多分ないから」と言っておく。

「今日の遊園地は結構楽しかった」と言われた。

「なぁ? 観覧車のジンクスって何?」思い出したかのように聞かれた。

「恋人とあの観覧車で夕日を見ながらキスしたら、ずっと一緒にいられるんだって」。

ああ、言いながら恥ずかしい。

これって、まるで私がそれを望んでるようにも聞こえる。


「・・・向き合う二人が同時に夕日を見るなんてことができるのか?

・・・そもそも、キスは目を閉じてるぞ?」

そんな真面目な突っ込みが悟から入った。


ちょっと、あのほっぺたへのキスも効力があればいいな、と思った。


私、もしかしたら、悟のことを好きになっているのかもしれない・・・・・。

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