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サトリの友達  作者: 李雨
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ダブルデート(ミナ)

デートの約束を取り付ける前の気持ちなど。

さっきから、溜息ばかりつかれている。


ミナはなぜか泣きたくなった。


自分と彼が偽物の恋人だってことは、言い出したミナが一番よくわかってる。

ただ、彼があまりに優しいから、今度のこともきっと簡単にOKをくれると思ってた。


今日、学校で休み時間にユキに相談されたこと。

最近カレシになった相田君が、ミナのことを好きなんじゃないかと思う、と。

それを聞いて嬉しくなかったとは言わない。

異性がいい感情を持ってくれていると知って喜ばない女はいないだろう、余程嫌いな異性は別にして。

ただ、それが友達のカレシとなると、ちょっと困る。

「イイヤツだな」程度に思われるなら嬉しいのだけど。


相田くんはこの前まで、ミナが片思いをしていた人。

それでも、そんな人に好かれているかもと思って浮き立つような感情がないことに、すこし驚くと同時に嬉しく思った。

自分はどうやら、いつの間にか、あの出来事を過去にできていたらしい。

ただ、ユキはそれを信じられないらしい。

まぁ、自分の相方は一番かっこいいと思うのが、恋人ってもんだろう。

そして、自分は彼女の思いを知らずに、ずっと好きだと言い続けていたのだし。

相田くんがミナに気をとめるようになったのは、やっぱり、ユキの友達だから。

そうじゃなかったら、きっとそのままスルーされていたと思うのだ。


「だからね」とユキは言う。

「あなた達とダブルデートして、あなた達が仲がいいのを見せてくれればあきらめるとおもうの」

あきらめるってなんだ?と思う。

もう相田君の浮気は確定なのか・・・?

あまりに必死なユキを見て、つい「いいよ」と応えてしまった。

もしかして、私が相田君を好きだなんて言ってなければ、ユキはこんな風に疑わなかったんじゃないか、と少しだけ思ったこともあって。


悟とだったら、どこへ行っても、そんなに嫌な気分にはならないだろう、とも思った。

最近、お昼休みはずっと一緒にいるせいか、ぎこちなさはない。

いろいろ話して、お互いのこともわかってきて、一緒にいるのが楽しいと思える友人だ。

きっと、遊園地に遊びにいくのも楽しいだろう、と思った。

彼なら、またいつもの苦笑を浮かべて、「いいよ」と言ってくれるだろうと思ってた。


なのに・・・。

思いっきり嫌がられている。

自分と遊びにいくのはそんなに嫌なことなのか、と思うとちょっと落ち込む。


そして、結局、溜息をつきながらも、少し早目に来るように、と条件つきで、了解をもらった。

当日、早めについたら、お弁当をつくるのを手伝ってくれた。

その後、ユキがなぜ手作りのお弁当持参で、なんていったのか分かったのだけど。

だから、すごく助かったと思う。

その時に言われた。

「人ごみが・・・」

ああ、と納得する。

彼はサトリなのだ。

人の気持ちが読めてしまう人なのだ。

もし、

もし、胃袋がちょっとだけ空いた状態で、

何かを食べようと口を開けた途端、いろんなものが選びもできずに勝手に流れ込んで来たらどうだろう。

もういらないと思っても、それが止まなかったら?

そして、きっと彼の場合、それを脳みそに置き換えた状態なのだろう。

止めようもなく流し込まれる情報ものは、きっととてつもなく気持ちの悪いものなんだろう。

それを、全然考えてやれなかった自分を恥じた。

ごめんと謝れば、先日のように困った溜息ではなく、優しく微笑んだ顔が見えた。

「初めてのデートなんだから、楽しもう」とまで言ってもらった。

それが、私の気持ちを軽くするために言われたものだろうということも、わかってしまったけれど。



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