第228話 男グループの観光
男グループ
---
レッドが温泉街を歩きながら、呟く。
「やっぱさ、食いもんだよな、食いもん」
クラウドは少し呆れながら返す。
「まあ、この温泉街は確かにおいしいものが多いと聞くが。食べ過ぎると夕食腹に入んなくなるぞ」
「分かってるよ、温泉卵とか饅頭が有名ってユイが言ってたからな」
なんともレッドらしい。俺もまあ食べてみたいので、とりあえず二人についていく。高級街なだけあって、人は王都の街中ほど多くは無い。陰キャにとってはありがたいものだ。まあ金持ちっぽいやつらは多いが。
「ここが饅頭売ってる店だな」
レッドはとある売店の前で立ち止まる。見る限り、普通の露店だ。ほうほう、あんこはこしあんっぽくて、薄皮でたっぷり詰め込まれていておいしそうじゃん。
レッドは3人分購入し、目を輝かせながら、店員からそのまんじゅうを手に取る。
「これが饅頭か」
「これが饅頭ね」
「…」「…」
『ラン!?』『レッド!?』
饅頭を同時に手にしたレッドとランが驚く。……ランがいるってことは、SSパーティもここに来ているのか?まあ、チハルたちも会長からチケットを貰っていてもおかしくは無いが。
「な、なんであんたたちがここにいるのよ!変態!ストーカー!」
「なんでストーカーになるんだよ!普通にチケット貰ってここに来たんだよ!」
「へ、へえ、あんたたちも貰ってたのね。で、邪魔だから早くどっか行ってくれる?」
「な、なんだこの口悪い女……」
レッドがピキピキと青筋を浮かべ始めたので、俺はレッドをなだめる。
「安心してください、ランさんはツンデレなので」
「だ、誰がツンデレよ!あんた、前にちょっと褒めてやったからって調子に乗ってるんじゃないでしょうね」
「すいません」
「な!?あ、謝らないでよ!調子狂うんだから……」
「ほら、見てください、ツンデレっすよ」
「う!?こ、この、露店ごと燃やすわよ!?」
『それはやめろ!』
ランが暴走してしまう。怖い怖い。クラウドはとりあえず俺たちを落ち着かせる。
「まあまあ、えっと、せっかく買った饅頭たべよう、な?」
レッドも皮肉っぽくランに言い放つ。
「そうだな。お望み通りこの場から消えてやるよ!」
「フン!さっさとそうしなさいよ!」
そしてランから逃げるように露店を後にして歩いていく。なんであんなにキレてんだろ。まあいいや。
俺達も歩きながら饅頭を食べることにする。俺は一口饅頭をほおばる。……おお、うまい。やはり甘いものは止まらなくなる。この身体が前世と変わらず甘いものを受け付けてくれて幸せや。
レッドもおいしそうに一口で食っている。
「おお、うめえな、やっぱこれ。帰りにお土産に100個買ってくか」
「おい、体壊すぞ」
「冗談に決まってんだろ」
「レッドならしかねないからな……しないよな?」
ていうか、レッドとクラウドのやり取りって初めて見るな。学園の2、3年の時は同じクラスだったようだし。意外と仲いいんだな。まあ、俺は相変わらず一人取り残されているが。
気を遣ってくれたのか、レッドは俺に声をかけてくる。
「お前は?美味いか?」
「え?あ、はい」
「だよな」
いや、話しかけられるのは嬉しいが、なんか、仕方なく感というか、気を使われている感を感じてしまう……。わりい、やっぱコミュ障つれえわ……。
------
「よし!ここにいくぞ!」
『却下』
「うるせえ!行くぞ!」
レッドが今度指さしたのは、娼館だった。こういう店ってこっちの世界でもあんだな。あとレッドにこういう性欲的なものがあったなんて意外だった。剣以外興味なさそうだったのに。レッドがちょっとキレ気味になっている。
「お前ら彼女持ちにはな、俺の気持ちなんてわかんねえだろ!俺だってああいうことくらいしてみてえんだよ!俺だって男だぞ!?」
「いや、分かりますって、でも俺を巻き込まないで、もしユイとシオリーにバレたら殺されますって」
「うるせえ!来い!」
話聞いてた?
「まあまあ、チー、こうなったらレッドは止められないよ。諦めよう。大丈夫。ば、バレなきゃいい」
「クラウドさん?」
クラウドまでこうなるとは。サンという彼女がいながら……。でも、いや、俺だって男だ。ユイやシオリー以外の女体だって興味はあるさ。でも、怖い……ユイと、シオリーとの関係が壊れるのが……。
でも、ここで断れば、レッドとクラウドにノリの悪い奴と思われ、友情にひびが入るかも……。く、くそ。
「……はい」
「よし!行くぞ!」
「あのうるさいんで叫ばないでもらえます?」
「うるせえ!」
念のため、俺は察知能力を極限まで高め、近くにユイ達がいないかを確認する。大丈夫だ。友人と一緒なら怖くない。
ちなみに、こういう施設なら女性トラブルで社会的に死ぬ可能性も低い、女性も仕事でやっているからな。そこは大丈夫だ。風俗ってのは弱者男性にとって救いの場だからな。イケメンは風俗行かなくてもほとんどリスクなく猿みたいに越し振ってるのイライラするけど。
まあ今はそんな事考えるな。俺たちは結局娼館に入っていった。
------
うん。気持ちよかった。俺は巨乳好きではないが、あえて巨乳というものを初めて体験した。ユイの美乳とシオリーの貧乳は体験しているからな。
これはこれでいいものだった。うん。本能には逆らえん。レッドは非常に幸せそうな顔をしていた。クラウドはいつものようにクールな顔だ。
俺たちは店を出る。だが、油断していた。今回はユイ達だけじゃない、SSパーティも来ていることを。
「あら、あなたたち」
「……」
丁度、店を出たところでリンに出くわしてしまった。リンと俺たちの目が合う。沈黙が続く。
「まあ、男の子だもんね。内緒にしといてあげるわよ」
『ありがとうございます』
リンは天使だった。




