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拗らせ陰キャの異世界自己防衛ライフ 〜イケメンに転生してもガチ陰キャ〜  作者: 玉盛 特温
第5章 ギルド編

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第227話 迷宮前の温泉休暇

 



「いやあ、なんだかんだ言って、このメンバーで依頼以外で集まるのって初めてかもな」


「そうだな。今日はせっかくの休息だし、ゆっくりして行こうか」


「そうだね。なんせ温泉だもん、楽しみだよ」


 レッド、クラウド、ユイが楽しそうに話している。今、俺たちは王都の温泉街に来ている。確かに、このメンバーでは依頼以外で集まることはほとんどないし、なんだか珍しさを感じる。


「チー先輩、なんだか懐かしい感じがしますね」


「まあ、温泉なんてこの世界では初めてっすからね」


「先輩は前世では温泉とか行ってたんですか?」


「いや、行かなかったっすね。毎日シャワーでしたから」


「ああ、私も同じ感じでしたね」


「お、おう……」


 やべ、シオリーがシャワーを浴びているのを想像してしまった。くそ、これだから童貞は……って、俺もう卒業してるから関係ないか。


「先輩、今変なこと考えてませんでした?」


「考えてたら?」


「ど、どうもしませんけど、私で変なこと考えてたんなら……別に……」


 こ、この文系少女、可愛すぎる。するとユイが間に入ってくる。


「はいイチャイチャしない。あ、ここでは温泉卵が有名らしいよ?あと温泉饅頭もおいしいんだって!」


「へえ、どこの世界でも同じなんすかねえ」


 まあ、卵は好きだし食べてみたいかもしれん。饅頭は、この世界では温泉街くらいでしか買えないっぽいし、甘いのは好きだから、いいかもしれん。


 まあ、この世界は娯楽があまり発展してない分暇だし、前世よりも食に対する興味が強くなってしまう。


「着いたよ!ここだって!サン、温泉初めてなんだよねえ、貧しい村だったし」


 サンが旅館の前ではしゃいでいる。温泉街ってのは、普通の人たちにとっては縁が薄い場所なのかもしれん。今回はチケットで来ているが、普通に来るにはやはり高くて体験するのもレアだったりするのだろうか。


 ちなみに、前世でもよく見かけたような、見た目は普通の古き良き旅館だった。俺たちはとりあえず中に入っていった。


 ---


「ようこそいらっしゃいました。無名パーティ様」


 おうおう、めちゃくちゃ丁寧にお出迎えされている。まあスタッフも仕事だし仕方ないね。そのスタッフは丁寧に俺たちを部屋に案内していく。


 案内された部屋は、6人部屋でかなり広い。座布団と低いテーブルがあるシンプルな作りだ。


「ではごゆっくりとお楽しみください。夕食が出来上がる六の刻までにはお戻りください」


 スタッフはそのまま部屋から出ていく。皆、部屋を珍しそうに見渡している。俺はなんだか、高校の修学旅行を思い出す。みんなで部屋に来ても、俺は一人でずっとスマホいじってたからなあ。たまに殴られたし。


 クラウドはみんなが落ち着いた後、今後について話始める。


「さて、ここからは自由行動だが。どうする?」


 レッドは聞き返す。


「どうする、って?」


「ああ、別に個別で行動するのも構わないが、6人で観光してもいいし、3人ずつでチームを組んでもいいかもな」


「ああ、確かにそれも面白そうだな」


 ユイも混ざって意見を言う。


「う~ん、6人で行動はさすがに多いよね。3人ずつにする?」


「そうするか」


 すると、レッドは提案する。


「じゃんけんでもいいが、あまり関わりの薄い者同士で組んだほうが良いんじゃね?俺はユイとチーとはよく昼飯食ってたし、クラウドとは同じクラスでよく一緒にいたからな」


 キッショ、変な提案すんなよ。まあ、言うてサンくらいだけどな、あんまりしゃべったことないの。サンとクラウドはその提案を聞いて、それぞれよく一緒にいた人を挙げていく。


「サンは同じクラスのユイとはよくいたかも。チーも同じクラスだったけど、あまりしゃべらなかったしね」


「俺は、レッドとサンとはよく一緒にいたな。パーティを組んでからはチーとはよく行動していたが、シオリーとはあまり関わりがないな」


 ユイが意見をまとめる。


「そうなると、チー君とサンちゃんは一緒に組んだほうが良いのかな?レッド君とシオリーちゃん、クラウド君は同じグループがいいね。そしたら、私はチー君とサンちゃんのグループになるね」


「まあ、それが妥当か」


 なんかいつの間にグループで観光することになってた。


 やっぱ修学旅行みたいじゃねえか。まあこの人たちが勝手にグループ決めてくれたので俺にダメージは無かったが、チー牛だった俺は絶対グループ作れずに余って、無理やり誰かが嫌々チー牛の俺を引き入れる感じだったからな。


 いやなことを思い出したぜ……。あ、そうだ。シオリー、俺と同じでかなりの人見知りだけど、大丈夫だろうか。それにシオリーは1人だけ年下だしな。


「シオリー、大丈夫っすか?」


「え?は、はい、一応、同じパーティメンバーですし、多分……」


 そういうシオリーの表情は、緊張なのか、少し暗い。まあ、俺も陰キャだったし、シオリーの気持ちはわかる。少し助けてやるか。


「えっと、普通に男女別で良くないっすか?」


「チー先輩?」


「丁度3対3で分けられるし」


 一瞬、みんな沈黙するが、クラウドは何かに察したようで、俺に肯定する。


「……まあ、そうしよう。チーが意見を言うってことは、なにか理由があるんだろう」


 はあ、怖かった。意見を言うってのは本当に怖い。否定されるかもしれんし、てか注目集めるし。


 女子同士、シオリーもユイと一緒なら問題ないだろう。シオリーは特にサンとのかかわりも薄いしな。シオリーは俺とユイにしか心を開いていない。俺とユイのいないグループで回っても、楽しくないだろうし、女一人というのもな。


 ユイは俺の考えを分かっているかのように笑いかける。


「チー君はやっぱり優しいね」


「なんのことっすかね」


 シオリーも俺の袖をちょこっと引っ張ってきて、礼を言ってくる。


「チー先輩、その、ありがとうございます……」


「だ、だから何のことだか……」


 てなわけで、男女で別れて温泉街の観光に行くことになった。





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