あれ、僕の出番は?
配達の合間。
京の一角で休憩していたナウ兵衛のもとへ、カン十郎が上機嫌な様子でやって来た。
「おっす! ナウ兵衛」
「お疲れ様です。カン十郎さん」
「フッフッフー今日は間違いない情報を仕入れてきたぜ!」
「今日はどんな情報なんですか?」
「今回もこの京の情勢の話だ!」
ナウ兵衛は一瞬黙った。
「え、大丈夫ですか?」
「大丈夫だって! 今回はしっかり裏どりしてきたからよ!」
「そうですか、では安心ですね」
「おう! じゃあ行くぜ! まずは前回のおさらいだ! 義晴さんが京からいなくなった後、最初に京を統治していたのは柳本賢治だ。その後、三好元長が出てきて元長が京の統治をしだした。ただし各地でいろいろと問題は起こっていた」
「はい、その通りです」
カン十郎は満足そうに頷いた。
「だろ? んでここからが最新情報だ! 元長に京の統治を奪われた柳本はどうやら、今は義晴さんとの和睦交渉を進めているらしい。なんで?」
「なんで?って私に聞くんですか?」
「出来事は分かるんだけどよ。柳本は前に元長が進めていた和睦交渉には反対してたのに、なんで今回は自分で進めてるのかはわからなくてさ」
ナウ兵衛は少し考える。
「柳本さんは、義維さんを義晴さんのもとにまとめて、そのうえで晴元さんを細川京兆家の当主にしようとしているんです」
「将軍は義晴さんのままってことか?」
「はい。一方で元長さんは、義維さんを将軍にして、高国さんと晴元さんを和睦させて細川家をまとめようとしているんですよ」
「同じ晴元側なのに、ゴールが違うんだな」
「そういうことです。まあ後は和睦を誰が主導するかという争いもありそうですけどね」
「なるほどな、柳本と元長は同じチームのライバルだったのか」
「まあそんなところです。情報の続きはあるんですか?」
「あ! そうそう、それで今回の和睦交渉は順調みたいでさ。なんか反対してた元長が四国に帰ったんだってさ。どう、合ってる?」
「はい、今回は私の持っている情報と一緒でした」
「おっしゃ! 俺もやれば出来るんだな! 情報屋にでもなろうかな♪」
「それは止めておいた方がいいと思いますよ」
「え、なんで?」
「えっと、情報って集めたり、合ってるか確認したりするの大変じゃないですか?」
「まあ、それもそうだな。ところで、ナウ兵衛はなにか新しい情報持ってたりしないの?」
「うーん、あまり違いは無いのですが、義晴さんの奉行人奉書が柳本さん宛てで出されていたり、義晴さんからの指示で晴元さんが柳本さんに書状を出すように言ったりしているみたいですよ」
「?」
カン十郎は首をかしげた。
ナウ兵衛は言い直す。
「つまりは、義晴さん――朽木谷、晴元さん――堺、柳本さん――京での協力体制で今の京は動いているってことです」
「へー、なるほどな」
「ひょっとしたら義晴さん京に戻ってこれるかもしれませんね」
突然横から声がした。
「だといいなぁ。早く義晴さん戻って来ないかな」
「うあぁ! ビックリした! ウバ之助さんいつからいたんだよ」
見ると、いつの間にかウバ之助が近くに座っていた。
「義晴さんが京に戻ってこれるかもってところだ」
「これはどこかからの情報じゃなくて私の考えなのであまり期待しないでくださいよ」
「わかってるって!」




