第20話 コーラル、やっちゃいます
昼食は美味しそうな匂いのする、コーラルの作ったオープンオムレツだ。
いっぱいの野菜が卵に入っている一品だよ。
野菜はなかに入っているし、卵を使ってあるから、これ一品とパンと飲み物で昼食は終了。
忙しい時に便利なメニューだね。
今日の昼食も、みんな一緒に食堂で食べるよ。
使用人が少ないから、いまは特別なんだ。
コーラルがニコニコしながらワゴンの上に自分の作った料理をのせて運んできた。
大きく丸く焼いたオープンオムレツを、コーラルが切り分けてお皿に盛っている。
白いお皿の上にはケーキみたいに切られたオープンオムレツがのせられて、緑の葉っぱが添えられた。
久しぶりのご飯っぼいご飯だ。
黄色い卵のなかに野菜が色々入っていて、緑色やオレンジ色などが層になっている。
ライ麦パンの茶色も嬉しいね。
飲み物もあるよ。
甘いチャイ。スパイスとミルク、お砂糖と紅茶で出来ている飲み物なんだって。
とってもいい匂いがする。
お腹が鳴りそう。ぐぅぅぅぅぅっ。あ、鳴っちゃった。
「うふふ。どうぞ召し上がってください」
コーラルに笑われちゃった。
食事の前に、みんなでいただきますをして、ご飯を食べるよ。
ボクはさっそくオープンオムレツをいただきます。
ナイフで一口分切って、それをフォークを使ってお口へ持って行ってパクリ。
「おいしー」
卵がちょっと甘くて、中に入っている具材がちょっとしょっぱくて、美味しい。
入っている野菜は、ジャガイモとニンジン、あとは何かな?
アスパラガス?
なんだか分からないけど、美味しいからオッケー。
ボクはライ麦パンも食べるよ。
オープンオムレツを食べて、パンを食べて、チャイも飲んじゃう。
うぅ~ん、甘いし、なんとも言えない複雑なスパイスの香りと味がする。
甘いけど、ちょっと大人なお味?
ココアに比べたら、ちょっと複雑な味だけど、美味しいよ。
お父さまやジェイも気に入ったみたい。
チャイを飲みながらパクパク食べてるよ。
でもコーラルは立ったまま、みんなにお給仕をしている。
ボクはコーラルに聞いた。
「コーラルは食べないの?」
「わたしは味見をしたので、皆さんがひと段落してから残ったものをいただきます」
そうなんだ。
なら、あんまり食べすぎはよくないね。
午後も予定があるから、食べすぎて眠くなっても困るもの。
ボクはしっかり嚙んで、ゆっくりペースにして食べることにした。
お母さまは自分の前に置かれたチャイを見て、心配そうに聞いた。
「これは……妊娠中でも大丈夫なのかしら?」
「ふふふ。奥さま。大丈夫ですよ。わたしは治癒師ですからね。妊婦さんへ体に悪いものを勧めたりしません」
「そうなの?」
お母さまは恐る恐るチャイに口をつけた。
すると表情がパァァァァッと明るくなった。
「あぁ、甘くて美味しいわ」
「それはよかったです。入っているスパイスには、つわりを緩和したり、血行を促進したり、消化を助けたりする役割が期待できます。抗菌作用などもあります。でも大量に摂るのはよくないので、。でも飲み過ぎはダメです。一杯か二杯程度にしておいてください」
「分かったわ」
コーラルはお母さまのお腹を笑顔で眺めてつぶやく。
「女の子ですよね」
コーラルの一声で、みんながシーンと静まった。
え? お腹にいる子どもの性別って分かるの?
「……え? 内緒でしたか? もしかして、わたし、やっちゃいました?」
コーラルは目を大きく見開いて、右手を広げて自分の口の前に置いた。




