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第12話 みんなで晩御飯

 ふにゃふにゃになっちゃったボクは、コーラルのほっぺぷにぷに治癒魔法により、いつもの元気を取り戻した。

 これが治癒魔法ですよぉ~、と言われても、なんとなーく納得できない。

 けれど、美味しそうな匂いのするお弁当の誘惑に負けるほうが先だ。


「ご飯を食べるなら、席に着きなさい」


 お父さまに言われて、ボクはコーラルの膝から立ち上がると、自分の席へと座った。

 

 普段はお父さまにお母さま、そしてボクが食堂のテーブルで食事を摂る。


 でも今は特別だから、ジェイとコーラルも同じテーブルの、少し離れたところへ座った。

 使用人同席は珍しいんだよ。

 でも今は貧乏だからね。普通じゃなくていいんだ。

 

 お弁当箱には、それぞれ美味しそうな料理が詰められて空中をふわふわ漂っている。

 とってもいい匂いがするよ。

 でも数が多いから、もうちょっと命令しないといけないみたい。

 

「お弁当箱と水筒は、それぞれの前へ!」


 ボクの命令を聞いたお利口さんなお弁当箱は、それぞれの前に飛んで行ってテーブルに着地。

 うん、みんなお利口さんだね。

 

 お父さまの前にはオレンジがかった色褪せた茶色のお弁当箱がトンと降りた。

 中身はなんだろう?


 パンはなんだかふわふわしている。


「これは……重曹パンかな?」


 ふわふわしているけど、蒸したパンじゃなくて焼いたパンだ。


「わたしが持ってきた食材のなかにあったからですかね?」


 コーラルが首をかしげながら言っている。


「旦那さまが、一番回復が早いみたいです。もう普通食でいいようです」


 治癒師は簡単な健康診断くらいはできるみたいだ。


 お父さまはこの中で、一番若い成人男性だから、回復が早かったのだろう。


 ボクは……なんかよく分からない。

 自分のことだけど、魔力消費の具合とかも分からないし。

 子どもだからかな。


 手持ちの食材を使えば魔力消費が少なくなるっていうから、マジックスキルも気を使って使える食材を積極的に選んでいるみたい。


「ゆで卵にニンジン……これはキャロットラペかな? 干しブドウとアーモンドも入っているようだ。蒸した鶏肉……ソースにはバルサミコ酢が使ってあるようだ。オレンジのスライスも添えてある」


 ふむふむ。お父さまのお弁当は、昼食に引き続き鶏推しみたい。


 ニンジンや卵、鶏肉も、コーラルが用意してくれた食材のなかにあったから、それを使ったのかな?


「わたしの用意した食材が減っていますから、使ったみたいですね」


 コーラルが食材の載ったテーブルとお弁当を見比べながら言っている。


 美味しそうな食材は他にもいっぱいあるから、やっぱりお父さまの健康を考えたメニューになっているみたい。


 お母さまの前にあるのは緑色のお弁当箱と水筒だ。

 

「わたくしのお弁当も、キャロットラペみたいね。キノコのソテーも入っているわ。パンは昼食の時と同じ干しブドウの入った蒸しパンみたい」


 野菜のたっぷり入ったキッシュ風の卵焼きも入っている。

 お弁当は卵も推しみたい。


 ジェイの白に近い灰色のお弁当箱のなかは、やっぱりサンドイッチ。

 なぜかな?


「全粒パンのサンドイッチで中身は……サーモンとキャロットラペのようです」

 

 ああ。コーラルが持ってきた食材のなかにサーモンがあったもんね。それでかな。

 ジェイは忙しいからサンドイッチなの?

 栄養は水筒に入っているスープで補う形みたい。

 

 コーラルの前には珊瑚色のお弁当箱。


「わたしのお弁当は、ライ麦パンにキャロットラペ、スモークサーモン、ハンバーグにオレンジみたいですね」


 なぜ⁉ コーラルのお弁当が、一番ボリュームがあって美味しそう。


「特に体調も悪くないし、食事も普通に摂ってましたから、普通食なのは分かりますが。量が……。わたしが治癒魔法で体力使うからですかね?」


 あ、そういうことか。


 本人も不思議がっているけど、たっぷりの量の美味しそうな普通の食事は羨ましい~。


 ちなみにボクのお弁当は、ホウレンソウの蒸しパンにスクランブルエッグ、キャロットラペにオレンジって感じみたい。


 育ち盛りなのに~。ちょっと寂しくない?


「夜ご飯は消化がよいように、ということかしらね?」


 お母さまが口元に右手の人差し指を当てながら首をかしげている。


 ああ、そうか。健康を意識すると、そうなっちゃうのか。

 

 ボクは水筒の中身を飲んだ。ココアだ。あまぁ~い。


「坊ちゃま方は食事を充分に摂られていなかったようですから、本格的にご馳走が食べられるのは明日以降ということではないでしょうか? わたしは、庶民ながら普通にご飯を食べて過ごしていましたから」

「そういうことかしらね」


 コーラルの言葉に、お母さまがコクコクとうなずいている。


 そういうことなのかな?


 ジェイが水筒の中身を飲んだ。


「ん。夜のスープはサツマイモのようです」


 それも美味しそうだね。

 サツマイモか。

 健康的だけど、おならが出そう。ぷぷっ。


 ボクたちは手を魔法でキレイにして、みんなで一緒にご飯を食べた。

 

 コーラルの水筒の中身はカボチャのスープで、お母さまの水筒の中身は昼間と同じアーモンドミルク。

 お父さまも昼間と同じでお茶だったから、残念がっていたよ。


 ボクたちは今後の作戦を話し合いながら、楽しくお弁当を食べたんだ。


 食事を終えたら、ボクはおやすみなさいの時間だよ。


 お父さまとお母さまにおやすみなさいをして、ボクは自室に戻った。

 

 寝る前に、コーラルがボクの体の状態をみてくれたよ。


 治癒師であるコーラルは、お医者さんみたいなことができるみたい。


 ボクの体は腹ペコ病以外、健康だって。


 コラールはボクのお腹の調子をみながら、順調なら明日くらいには沢山食べられるようになっていってたよ。


 楽しみだね。


 明日はコーラルを手伝って植物の手入れもするよ。


 だからボクはコーラルにおやすみなさいをして、ワクワクしながら寝たんだ。

 

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