第11話 見せよう、マジックスキルお弁当箱!
「では坊ちゃま。さっそくですが、マジックスキルお弁当箱をみせてもらっていいですか?」
コーラルに言われて、ボクはコクリとうなずいた。
水筒君に気付かれたボクは、庭から屋敷へ戻った後にコーラルから追及されて、ジェイの助け船も空しく、全て白状させられてしまった。
ボクが言わなくても「それは女神さまの祝福ですね」とか言ってたし。
普通の力でないことは分かっちゃったみたい。
治癒師であるコーラルは魔法にも詳しいから、結果的にはボクにとってもよかったんだけどね。
魔力の使い過ぎは危ないとか、魔力の増やし方とか、いろいろとコーラルが早口で教えてくれたけど、ボク眠くなっちゃったから半分くらい聞いてない。
コーラルは、この屋敷で働くことになったから、ゆっくり教えてもらえばいいや。
ボクは基本、呑気にやっています。
だってジェイが勉強も、鍛錬も、厳しいんだもの。
ずっと頑張ってたら疲れちゃう~。
なーんて思っているけど、コーラルも厳しく鍛えるタイプの人かもしれない。
コーラルは食堂の片隅にあるテーブルの上に食材を並べた。
「食材があれば魔力消費が少なくなるのなら、こちらをお使いください。わたしの残り少ない所持金で、お得に買い揃えた野菜や果物、肉や魚です」
「おお」
ちょっと恩着せがまし言い方ぁ~、と思ったりしたけど、いま我が家は貧乏だから仕方ないね。
それにしても調理されていない食材って、ボク初めてみたかもしれない。
特に肉。君って調理されていないと生々しいね。
調理した後は美味しいけど。
……あ、やば。よだれでちゃう。
「さぁ、坊ちゃま。やっちゃってくださいっ!」
コーラル、なんだか表現が物騒だね。
でもボク、やっちゃうよ。
ボクは椅子からおりると、天井に向かって右腕を伸ばした。
そして右手の人差し指をたてて叫んだ。
「マジックスキル、お弁当箱! みんなの分をよろしく!」
叫びにこたえるように、ボクの指先からキラキラした光がピカァと現れた。
何もない空間に現れた【お弁当箱】は5個。
ボクの髪と瞳の色と同じ深い青色のとオレンジがかった色褪せた茶色のお弁当箱。
お母さまの緑色、ジェイの白に近い灰色。
コーラルのお弁当箱は珊瑚色だ。
それぞれのお弁当箱の同じ色の水筒も浮いている。
あ、ボクの水筒だけは何故かボクの隣に浮きっぱなしだから出てこなかったよ。
「お弁当展開! 対象者はお父さま、お母さま、ジェイッ、コーラルッ。そしてボク!」
それぞれのお弁当箱と水筒がピカァァァァッと光った。
ボクの隣でふよふよ浮いている水筒も、もちろん光ったよ。
眩しいねぇ。
「「「「おぉぉぉぉぉぉっ!」」」」
大人たちの唸るようなどよめきで部屋が揺れる。
はっはっはっ。驚け、驚け、ボクすごい!
テーブルの上に置いた食材も光っている。
ふわっと魔力が抜けていく気配がするけど気にしないよ。
今夜のお弁当展開は数が多いけど、食材が用意されている分、魔力の消耗は少ないはずだ。
はっはっはっ。今日のボクは勝者なのだ!
「坊ちゃま。顔色がよくありませんが、大丈夫ですか?」
お弁当が出来上がった途端、ジェイが血相変えて駆け寄ってきた。
あぁ、やっぱりボク、まだ魔力が足りないんだな。
「大丈夫です。わたしが癒します。えいっ」
ふにゃふにゃとジェイの腕に抱きとめられたボクを、コーラルが癒す。
……って、ほっぺをぷにぷにされているだけのように感じるのは気のせいかなぁ?




