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セカンドエンド  作者: 米西 ことる
第6章 魔女の狂騒
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蒼白の断片

智也の内側から蒼白の光が滲み出す。瞬く間に閃光が周囲を包み、智也は目を瞑った──




 再び目を開くと、そこは血のように赤い空の下、逢魔が時の境内だった。


僕の手にはアルファスの短剣が握られている。


前方を見ると、そこには昏がいた。銀色の髪が赤い光を反射して風に揺られ、赫と蒼の優しい瞳がこちらを見つめている。その瞳に映るのは、切望と諦念に似た感情。救済を求めるように微笑んでいる。


昏は手を広げ、覚悟は出来たと呟く。

深く、肉を裂くような感覚が腕に伝わった。

生暖かい赤い水滴が指を伝って地面に落ち、ポタリという音と鉄のような嫌悪感を覚える匂いが鼻を刺した。


短剣が、昏の心臓を貫いていた──


◆


再び、目が開く。そこは、さきほどまでいた救世団の本拠地だった。


「今のは、二つ目の世界線で起きたことか……?」


足に力が入らなくなり、智也は倒れた。意識が遠のき、やがて消失する。




目が覚めると、そこは智也にとって見覚えのある天井だった。


「智也、目が覚めた?」


その声は、昏だった。


「昏……!!」


思わず、智也は距離を取った。手に残った嫌な感覚が消えずに残り、昏の表情を見るだけで怖くなっている。


「僕が、自分の意思で、やったのか……?」


「智也、どうかしたの?」


昏が智也の方に伸ばした手を、智也は弾いた。


「だめだ、近づかないでくれ……」


震える智也の姿に、昏は近づけなくなった。


「ねえ、何があったの?」


智也の目は、他者を恐れているのでは無く、自身を恐れているのだと、昏は勘付いた。


「智也、ちゃんとこっちを見て」


「だめだ……」


「いいから!」


昏は智也の肩をガシりと掴み、無理やり視線を合わせた。


「怖くなんか無いし、嫌ってもいないよ。私の目を見て。お願いだから、離れようとしないで……」


昏の表情は辛さを悶えるようだった。いつでも、悲しい時でも元気なフリをして振る舞ってきた彼女が見せた、隠しきれない悲しさが、目を通して伝わってくる。


「…………ごめん、昏」


「落ち着いた? なにか、あったの?」


「……嫌な夢見たんだよ。僕が、昏を殺す夢。感触が今も手に残ってるんだ」


昏は手を握った。


「これで上書きされた! 大丈夫だよ」


目から水滴が溢れた。


「……ありがとう」


智也の手に、不快な感覚は残っていなかった。


◆



落ち着きを取り戻し、智也はしばらく窓の外を眺めていた。


(どの世界線でも、昏を殺すのはノックスだった。でも、蒼白の世界線だと、僕が、昏を殺している……その共通点は)


アルファスの短剣、神殺しの力を持つ唯一の武器。それを持つことが出来た者。第一の前兆アルファスの子孫であるノックス・ドーム、そして、第三の前兆──智也だ。


(昏は、どの世界線でもアルファスの短剣で殺されている──)








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