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セカンドエンド  作者: 米西 ことる
第5章 氷雨の夜に
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魂の魔眼

魔術連幹部クラーク・スマートは一人で魔術連のある部屋に訪れていた。


その部屋はとある人物の使用している研究室で、生命の再生力と魔術を融合した再生医療魔術を研究している。


クラークは研究室の壁に魔術を使って秘匿された扉を生み出し、秘匿された部屋に足を踏み入れた。


その部屋の中で、一つの大きな布を被せられた培養槽を見つけた。クラークがその布を取ると、そこには緑色の液体に浸された培養槽の中で眠る人間の女性の姿があった。


「なんだ、これは......」


一瞬、その女性の目が開いてクラークの方を見た気がした。


クラークは部屋を物色して幾つかの資料を盗むと部屋の外に誰もいないのを確認して外に出た。


その時、クラークの心臓あたりに刺されたような痛みが走った。クラークは驚いた表情で自身の胸の辺りを見ると、左胸から血が染み出していたが、突き刺さっているはずの物は見えなかった。


首元に棘のついた何かが絡みつき、首から出血し、喉を潰されて声が出ない。

『やっぱり、あんただったのか......』


次第に体が麻痺していき、そのまま彼は絶命した。




その直後に紫色の蝶が死んだクラークの額に止まり、消えた。


クラークは息を吹き返した。



[現在]


クラークは同じ魔術隊のハイパーと共に行動していた。二人は楽しそうに談笑しながら魔術連の地下にある戦闘訓練場に足を運んだ。


「珍しいな、クラーク! お前が俺と模擬戦をしたいだなんて! 戦闘は専門外では無かったのか?」


「面白い魔術を覚えたんで、使ってみたかったんだよ。肉ダルマみたいなお前になら使いやすいだろ?」


「まあな! 俺の筋肉はチョモランマ超えだ!」

ハイパーは筋肉を見せつけた。


それと同時に、ハイパーは魔術を発動した。

彼の得意な魔術は身体強化魔術。


身体強化魔術は体内に魔力のコアを生み出し、そのコアを起点として全身に毛細血管のように魔力回路を張り巡らせることで骨と筋肉を保護し強化する。


コアの数が多いほど強くなるが、常人の肉体では一つが限界。それ以上増やせば体を動かすだけで骨が折れ、筋繊維が引きちぎれる。


しかし、この男ハイパーはそのコアを"五つ"生み出せる。それにより、彼は近距離戦最強のパワーとスタミナ、そして防御力を持つ。



クラークは笑った。

「ははは、それなら、遠慮なく......」




「流刃」



ハイパーの肉体が肩から脇腹にかけて斬り裂かれ、鮮血が舞った。


「なっ......、」


クラークの灰色の瞳が紫色に変わっていた。


「お前、クラークでは無いな、誰だ?」


「......流刃」


再度繰り出された不可視の斬撃がハイパーの首を切断する直前、突如としてハイパーの姿が消えた。

「おっと、時間切れか」


訓練場に四人の人影が現れた。

朝霧、アッシュ、レミシア、ニゾルデだ。


ハイパーは朝霧の空間魔術により避難させられていた。


「遅かったじゃねえか。優秀な駒が"二人"も減っちまうところだったな」



レミシアが叫んだ。

「もうクラークのふりをするのはやめろ。私には魂の色が見える。あいつの魂は灰色だった。だが、今のお前の魂は"紫"。中身が違う!」


クラークは笑った。

「驚いた。まさか、魂を知覚できる奴が、俺以外にいるとはな!」



クラークの顔の輪郭が崩れ、赤い蝶へと変わっていく。体から剥がれるように赤黒い血肉で出来た蝶は空を舞っていく。


体全てが蝶と化し、蝶は再び1ヶ所に集まるとそれは赤い糸となり、血管となり、骨となり臓器となり、やがて一人の男の姿になった。


男は能の翁のような顔をしており、袴を着ていた。


「俺は深淵教団【魂の魔眼】龍岳。お前ら、全員ここで死ぬぜ」



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