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セカンドエンド  作者: 米西 ことる
第5章 氷雨の夜に
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四色の目

 電話で朝霧に連絡をしてから、智也はゲートで朝霧探偵事務所へ向かった。


朝霧は事務所の奥の部屋で、電気をつけて読書をしていた。読み漁った本が床に散乱している。


朝霧は本を置いた。

「話があるということだったけど、どうかしたの?」


「実は......」



 智也は深淵教団が魔術連に襲撃を企てていること、十二月の大規模テロを阻止するために紗由理の救出と蛇骨の触媒の破壊が必要なことを伝えた。


「私個人なら、動くことは出来るけど、魔術連全体となると、それは、難しいね......」


智也達はこの反応になるだろうと予想していた。だからこそ、手を打つ必要がある。


「僕は深淵教団の魔術連襲撃計画の秘密文章の在り処を知っています。ですが、それは『使徒の目』が持っています。それを奪取するために付いてきてくれませんか?」


「......君の言っていることが本当なことはわかるが、その情報源のタイムトラベラーとは、一体誰のこと?」


「それは、秘密です」


「............二条紗由理が捉えられて焦る気持ちはわかるが、そんな不確かな情報源で動くのは私としても避けたい.......とりあえず、具体的な案だけ聞かせてくれ。そこから検討する」



その案というのは、深淵教団幹部『使徒の目』の一人、【四色の目】リアム・コルクナーの保管している魔術連襲撃計画の文章を盗み出すことだ。


四色の目は、使徒の目の中で最年少で、最も保管が甘い。


あとはゲートで四色の目の屋敷の近くまで飛び、盗み出す。


具体的な話を聞き、朝霧はとりあえずその案に乗ることにした。

と言うより、智也を単独で行かせる方が危険だと思ったからだ。



四色の目の屋敷へ智也と朝霧は向かうことにした。


時刻は日本時間で21時、向こう側だと昼時だが、四色の目は基本的に保管場所である屋敷内にいないので、二人はゲートを繋げてその屋敷までやって来た。


【四色の目】の屋敷は小さく、比較的新しかった。


二人は透明化と隠蔽魔術をかけてこっそりと屋敷の中へ侵入した。


黒戸様の話だと、屋敷内の書斎のどこかに保管されているそうなので、二人は慎重に屋敷内の探索を始めた。


屋敷内にはいくつか部屋があり、子ども部屋が二つ、少年用とみられる部屋が二つあった。子ども部屋の中にはぬいぐるみや絵本、他の部屋には勉強机や模型など色々なものがあった。


屋敷内に四色の目はいないようで、スムーズに探索は進んだ。


そして、遂に書斎を見つけた。

書斎には様々なジャンルの本が綺麗に整頓されており、調べていると目的の文章を見つけた。


二人は文章を魔術で複製して、慎重に屋敷の外を出ることにした。

その時「ただいま! おかえり!」と声がした。


 玄関口には無邪気に笑う金髪の少年がいた。

その少年こそ、【四色の目】リアム・コルクナーだ。


彼の目は黄色で、無邪気に笑う彼からは暗い感情を感じられない。彼は一人でぶつぶつと呟きながら屋敷の奥の方、智也達のいる方へと歩いて来た。


「ねえ、今日はどこへ行ったの?」

「今日は悪い大人を皆殺しにして来たんだ」

「すごいよお兄ちゃん!」

「へへへ、照れちゃうなー」

「こら、こんな奴を見習っちゃいけない。もっと平和的に解決しないと」

「平和的になんて無理に決まってんじゃん。あいつらは子供の話を聞かないんだ」

「そうだよ、お兄ちゃんの言う通りだよ!」

「はあ、お前らに言っても無駄か」

「当たり前じゃん。僕たちはクラスト兄の話しか聞かないもん」

「いつも言ってるだろ、クラストは死んだんだ。いい加減、お前も大人になれ」

「大人になったら、悪者になっちゃうよ」

「だから、大人が悪いんじゃ無い。ただ、あいつらが悪人だっただけだ」


突然、一人で会話をしていた四色の目が足を止めた。

「大人はみんな悪人だよ。深淵教団の人たち以外信じちゃいけないんだよ。だって......信じたから、クラスト兄は死んだんだ」


四色の目は自分の頭に指を突っ込んだ。

「お前はいらない」


頭から指を抜くと、青色の光が溢れた。


四色の目は手で青い光に何かをすると、再び頭に突っ込んで戻した。

「これで良し!」


二人はその隙に逃げるため四色の目の側を通り過ぎた。


「誰かいるの?」


二人は心臓が跳ねるような思いだったが、気にせず進んだ。


その瞬間、巨大な人骨の腕が現れ、智也達に向かって伸びた。轟音と共に子ども部屋の一つが潰れて瓦礫の山となった。


「お兄ちゃん、私の部屋を壊さないで!」

「ああ、ごめんごめん。今度治してもらうから許して」

「もお!」


二人はその隙に逃げ出した──


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