回帰、そして...
鳥居の門をくぐり、二人は目を瞑った。
不安からか、お互いの手を強く握り、時空間の激流を未来の方向へ進んでいく。
そしてしばらく経ち、空中に黒い穴が開き、そこから二人は勢いよく外に放り出された。
二人は事前に防御魔術をかけられていたため、無事に着地した。
轟音と共に土煙が舞い、二人は慌てて周囲を見渡した。
土煙が晴れた頃、今いる場所がどこかの教会であることがわかった。その教会は十字架の代わりに目のマークで装飾されている。
昏は慌てていた。
「どこ、ここ?」
縁の強いモノの近くにタイムスリップする算段だったが、二人はこの場所は一度も来たことが無い。
二人が混乱していると、女の声がした。
「おや、まさかここに来てしまうとはね」
その声は因縁の相手、智慧の魔女だった。
二人が振り返ると、そこには魔女がいた。
魔女を見た智也は、昏の制止もきかず、迷わず魔術を使って攻撃した。
しかし、魔女の左肩から白い結晶の羽が現れ、それを盾のようにして防御された。
「いきなり攻めて来るとはね......ただ、決着には少し早いから、私はここで去るよ」
魔女は指をパチリと鳴らし、即座にゲートを生み出してそれに入った。
「待て!」
智也は追撃を試みるが、逃げられてしまった。
しかし、慌てていたたのか、智慧の魔女は小さな何かを落としていた。
それは木を彫って作られた、あまり上手くない出来の木製の指輪だった。
混乱している昏が訊ねた。
「智也、あの人は一体誰?」
「......黒幕だよ」
「でも、いきなり......」
昏は殺意を露わにしていた智也の表情を怖がったようだ。
「......ごめん」
しばらく経ち、冷静になった智也は現在位置を確認することにした。
場所はヨーロッパ地方の西側、山奥の場所だった。
「少し、ここを探索してもいいか? あいつの手がかりがあるかも」
「わかった。行こう」
二人は慎重に教会内の探索を始めた。
かなり大きな教会で、建築されてからかなりの月日が経っていると推察できる。
聖堂内にはには赤色のステンドグラスがはめられ、人型の十四の神の石像が彫られている。
「何の宗教なんだ?」
聖堂の奥、埃の状態を見ると、何かが動かされた跡があった。少し調べると、隠されていた扉を見つけた。
二人は中へと入った。
そこには異形を模った石像があった。
皮膜に無数の目がついたような異形の石像を前にして、二人は少し動揺した。
隠し部屋の中は書斎となっていたが、本棚にある本は僅か数冊しか残っていなかった。
残っていたのは全て魔導書だったが、見たことのない言語で書かれていた。
充電が残り僅かなスマホの翻訳機を使ってみるが、該当する言語は無かった。
智也はそこにあった三冊を持って変えることにして、二人は智也のゲートで家に帰ることにした。
現在、8月13日 午後21:00
深淵教団による魔術連襲撃まで残り一週間ほどだ。
智也は昏を家まで送ると、すぐに朝霧の元へ向かった──




