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セカンドエンド  作者: 米西 ことる
第5章 氷雨の夜に
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【眼】

少し前、理飛と談笑していた時、昏の髪と目の色が突然変化した。

驚いた理飛は思わず叫び声を上げた。


昏の髪は銀色で、風になびくと虹色の光の粒が舞うように見えた。

彼女の右目は赫色、左目は蒼色をしている。


「ええ、その髪と目の色が地毛なのか?」

理飛は驚いて立ち上がって机を叩いた。


「そうなの。お姉ちゃんに髪と目の色を変える魔術をかけて貰ってたんだけど、効果が切れちゃったみたい。一年くらいはもつはずなんだけどなー」


「時空流に呑まれた影響かもな」



昏は、昔は容姿の違いからイジメの被害に遭っていた。智也はいじめっ子と喧嘩になってよくボコボコにされていた。


それでも、いじめっ子を追い払ってニヤリと笑う智也が、昏には支えとなっていた。


智也が尋ねた。

「理飛、昏の左目は何色に見える?」


「え......虹色?」


「理飛には、そう見えるのか。僕には蒼色に見える」



昏の左目は不思議な特徴があった。

見る人によって色が変わるのだ。

ある人は蒼、ある人は赤、ある人は色が見えないこともあった。



(......待てよ、僕には昏の左目が「蒼』に見える。これは僕の"魂の色"と同じなんじゃ無いか? だとしたら、理飛の言った『虹色』って......)



「綺麗な髪と目だな、すげえ!」

理飛は純粋に目を輝かせて憧れの視線を向けていた。


(考え過ぎか......?)



そこに黒戸様がやって来た。

「あれ、色が元に戻っているね」


昏は元の髪と目の色を知っていることに驚いた。

「え、知ってたんですか!?」


「ちなみに、楓には昏の左目は何色に見えるんだ?」


「......赫色だよ」


楓が昏に向けて手をかざすと、魔術陣が瞬時に展開されて髪と目の色が黒色に変わった。


「これ、お姉ちゃんが作った魔術のはず......」

昏は目を丸くしていた。


「まあ、細かいことは言い。とりあえず今日はゆっくり休んで、夕方になったら、君たちを向こうに戻す」



そして、二人は夕方まで休み、ついにその時が来た。日が暮れ始め、空が黄昏色に染まる。


神社までの階段を登ってくる足音が聞こえた。やがて、足音の主が姿を現した。

それは昨日会った、銀《ごん》だった。


銀は黒戸様に鍵を見せた。

「鍵、持って来たぞ」


黒戸様は今まで見たことないような笑顔を見せた。

「ありがとう。やっぱり、こうやってたまには顔を出してもらわないとね」


黒戸様が祝詞《のりと》を唱えて鍵に魔力を込めると、鍵が白い光を放ち、鳥居の中に吸い込まれた。


その瞬間、眩しい閃光が辺りを包み、鳥居の境界には黒いゲートが発生していた。


「それじゃあ、ここでさよならだ。彩島智也」


「......ありがとう。必ず、計画を成し遂げてみせるよ」


「残念だが、私は、おそらくもう君に声をかけることは出来ないだろう。だから、ここからは君が頑張るしかない」


「......わかった」


黒戸様は少し寂しそうな智也の目を真剣な表情で見つめた。

「確かに、君には未来を変える力がある。それでも、たった一人の人間に出来ることなんて少ししか無い。だから、仲間を頼りなさい。君は一人では無いのだから」


「......助言ありがとう。そうさせてもらうよ」


「みなさん、ありがとうございました」

昏は深々と頭を下げた。


「二条昏、君に課せられた宿命は重い。けれど、君にしか出来ないことだ。最期の結末に、君が笑っていることを願うよ」



二人は最後に全員に手を振り、鳥居の境界に足を踏み込んだ───



二人の姿が消え、辺りは静けさに包まれた。

血のように赤い夕暮れ、逢魔時がやって来る。


「............やっぱりか」


黒戸様の背後には巨大な【眼】が現れていた。


普段は見えないはずの銀と理飛にも、その【眼】だけは見えた。



【眼】は何かの魔術陣のようにも見える形をしていて、赫い光を放っている。


突如、黒戸様の目から血が溢れ、口から血が吹き出た。

ゴホゴホと苦しそうに咳を出し、黒戸様は地面に片膝をついた。


「次ハ、無イゾ」


その言葉と共に、【眼】は消え去った──


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