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イスファターナ戦記  作者: 結月詩音
五章 変革の鐘
61/125

差し出された手

お待たせしました!


 その日、リフキアは宮殿内の図書館でまるで何かに当たるかのように本を読み漁っていた。

 都から戻った次の日、帝から直々の命令で仕事を減らされた。それは咎められたわけでなく、むしろ労って与えられたものだったが、リフキアにはそれがとても悔しかった。ようやく皇族として一つの大事を成す機会と経験を得られたのに、結局はそれをすることは叶わなかった。しかも、外されたその仕事はおそらくシウォンに当てられる。

 兄に近づきたいと努力した日々が、結果として兄の足枷になった。他のどの思考を持とうと思ってもそうとしか考えられないくらい、今回の復興の作業に力を入れていたのである。

 そしてリフキアが今、何をしているかというと、あらゆる分野の本を並べて読んでいるのである。建築という、いわば自分の得意な分野以外に何かを手にしたくて。

 

 「リフキア」

 

 すると、少し離れたところからリフキアは名を呼ばれた。

 

 「兄上…」

 

 兄、シウォンがこちらに向かって歩いてきていた。リフキアは慌てて立ち上がって礼を施す。

 

 「久しぶりだな」

 

 シウォンの後ろでナフカとキシュが頭を下げる。リフキアはそれに応じるとシウォンに尋ねた。

 

 「どうしてこちらに?」

 「お前がここに籠っていると聞いたからな」

 「もしや、私の宮殿に?お手間を取らせて申し訳ありません」

 「いや、気にすることはない。気まぐれに歩いていただけだからな」


 シウォンはリフキアを上から下まで眺めて最後にリフキアの頭を撫でる。

 リフキアは瞬間にそれを拒絶したい意志が働いた。

 

 「兄上」

 

 リフキアはシウォンの手を止める。その時見せたリフキアのやるせない表情にシウォンは少し顔をしかめた。

 

 「都の復興の件、お手を煩わせたこと申し訳ありませんでした」

 

 リフキアは深々と頭を下げる。するとすぐに返事が返ってきた。

 

 「馬鹿者」

 

 シウォンはリフキアの頭をこつんと叩く。

 

 「お前は俺の予想以上の働きをしてくれたよ。今俺は都の何にも口出ししていない。その必要がないからだ。なあ、ナフカ」

 

 シウォンはナフカをちらりと見る。

 

 「はい。殿下、いずれご報告をと思っておりました。都の作業業者はご存じですね。ムーアンという人物が代表を務めている…」

 「もちろんだ」

 「ムーアンとその部下達を筆頭に作業が着々と進んでおります。彼らは今、殿下が作られた計画をもとにカディーヌ河の調査を始めたそうです。都の人々も殿下が離れられてから今まで以上に復興に取りかかっているとか。彼らの行動の根底にはリフキア殿下。あなた様があるみたいです」

 「私…」

 

 リフキアは首をかしげる。

 

 「リフキア殿下はきっと都に戻ってこられる。その時にがっかりさせることがないように、そして殿下の国への思いに応えるために。そう、皆が申しているようです」

 「…み、みんなが」

 

 リフキアは信じられずに驚きを全面に出す。一瞬にしてリフキアの頭には都で出会ってきた人々が思い出された。同盟に疑念を持ち、まして水路計画にあれだけ難色を示していた彼らが、ナフカの報告には復興のために力を尽くしているという。

 リフキアの頬にいつの間にか涙が流れていた。

 

 「正直なところだな。今回の仕事はお前の腕試しの要素が大きかった」

 「…」

 「今後十年をかけて国内および国外の改革を進めるに当たってお前がどこまで使えるか。そしてお前の存在を国内に知られること。この二つが目的だった」

 

 そう。はじめはそれだけだった。途中でシウォンが引き継いですべてを終わらせるつもりだった。しかし、リフキアがシウォンに提示してきたものはシウォンの計画以上のものであり、極めつけ『この国の未来への投資』などと言われたときには、全身が奮い立つ思いだった。

 同盟は今のイスファターナではまだ形式的なものだ。それは社会が変わっていないからだ。いずれ社会が変われば不満が起こることはもちろんだろう。その前にシウォン達はそこに何が基づくかを国民に伝える必要があった。

 イスファターナ皇国、ソウェスフィリナ王国両国の因縁は実に数百年に及ぶ。そこに積み重なった感情は消えることはない。それをゼロにすることはできなくてもきっかけを作るのがこの同盟。そして同盟の先に何を見るか。それを国民に伝える必要がある。

 

 リフキアの今回の行動はそこに偶然にも重なっていた。シウォンも帝も予想していなかったことだ。都の人々はリフキアの思いに応える結果となった。人心を掴んでみせた。

 

 「…つまり、お前は十分に期待を越えてくれたんだよ」

 「…で、ですが!」

 

 リフキアは全面に悔しさを露にした。きっとシウォンであればもっと上手くできたこともたくさんあっただろう。今回の都での自分の行動が誉められたものであったとは思えない。

 リフキアの頭に浮かんでくる様々な思いをシウォンは遮った。

 

 「その思いは今燃やし尽くすものじゃない」

 

 シウォンはリフキアの手首をぎゅっと握りしめた。

 

 「今後もきっとやりきれない思いはたくさんするだろう。現に半年前のお前はそうだったはずだ。だが変われた。今回お前は最後まで携われなかったが、都の人間には残るものがあった。人の自分に寄せる思いを忘れるな。それを裏切るな。お前がいるその場所は、光が当たれば当たるほどに自由とはかけ離れていく。お前の今感じているものこそが、そこで必要とされる力だろう」

 

 リフキアの頬に流れていた涙は次第に大粒のものに変化していく。

 

 「…その自由の限られた世界で生きていく覚悟があるか、リフキア」

 

 リフキアはすぐにはその言葉の意味をすべて理解することは出来なかった。すると、シウォンが言葉を続ける。

 

 「俺にとって一番信頼できる人間にまであがってこい。ナフカでもなくキシュでもなく、お前にしかできない力で、俺が一番信頼できる人間に」

 

 リフキアは言葉を失った。

 ずっとシウォンの背中を追ってきた。背中を追い続けていた人が振り返ってくれた瞬間だった。

 リフキアは全身に震えが伝染していくのを感じたが、その震えを必死に止めると力強くシウォンを見た。

 

 「宣言しよう。俺はいずれこの国の帝となる。その時、お前がどこにいたいのか。いつかその答えを示してくれ」

 

 リフキアは感激のあまりシウォンの言葉にしばらく言葉を返せなかった。そして、ようやく喉の奥から振り絞って声を発する。

 

 「兄上…皇太子殿下。お言葉光栄に存じます。そのご期待に必ず応えることをお約束します」

 

 シウォンは小さく微笑んだ。そして、ちらりと高く積まれた本を見る。そしてしばらくじっと見つめると何やら選別を始めた。

 

 「これとこれ、それからこの辺りか。これ以外は読む必要もない。代わりに、俺の部屋にある本を取りに来い。もっとマシなものを貸してやろう」

 「…へっ」

 

 リフキアは未だ感激の余韻に僅かに浸っていてこれまたすぐには返事ができなかった。

 

 「どうなんだ?俺の部屋に来るのか、来ないのか」

 「い、行きます!」

 

 そうしてリフキアはバタバタと本を片付けると、シウォンと共に皇太子宮殿へと向かったのであった。

 その様子をナフカとキシュは微笑ましく見守っていた。


 

 ▽▽▽▽▽

 

 

 「シウォンはリフキア殿下に道を示されたようだな、ナフカ。お前の予想とはどうなんだ?」

 

 シウォンが部屋でリフキアに本の紹介をする間、部屋の外でナフカとキシュは待っていた。

 

 「俺の予想?何のことだ」

 「言ってたろ、リフキア殿下の存在が強くなるほどシウォンの立場が狭くなると」

 「…ああ、それのことか」

 

 ナフカはようやく腑に落ちたと軽く頷いた。

 

 「言葉の通りの意味だよ。それは今も変わってはいない」

 「殿下の様子ではシウォンの味方でいそうだが」

 「…シウォンが今後戦わなくちゃいけないのは間違いなく皇妃様だ。殿下の実の母であられる。リフキア殿下がそれに抗うことができるかはまだわからないだろう」

 

 キシュは眉をひそませた。

 

 「…やはり皇妃様と対立するか」

 「こちらにその気が無くても向こうがそうだからな。どのみち、シウォンが帝となる限りは避けられないだろ」

 「…嫌な争いだな」

 「気持ちのいいものなんて無いさ。それに、俺はシウォンの望みが叶うことの方に一票を投じたい」

 

 キシュが首をかしげるので、ナフカは小さく微笑んだ。

 

 「自分が帝になるだけなら、何もリフキア殿下を無能と呼ばれていた頃から目覚めさせることもなかったわけだ。リフキア殿下を目覚めさせ、最悪の可能性を作って、さらに今日、リフキア殿下に手を差し出した。それはなぜだと思う?」

 

 キシュは考えながら言った。

 

 「それは…あいつはあれで意外と優しいし…」

 「それだな。優しいんだ。一方的な力を持ったままシウォンが帝になったとすると、リフキア殿下はきっとその後の人生までも閉ざされたものだったはずだ。帝位継承権を持つ人間としては派手に動くこともできず、皇族の地位を簡単に捨てることもできないから、その名前は殿下を縛り続けたはずだ。シウォンはリフキア殿下に自分で選択する機会を与え、生きた屍ともいえる状況から救ったわけだ」

 「自分の身を危険にしてか」

 「そうだ。このままいくときっとリフキア殿下は皇妃様と考えを分かつ日が来る。その時の殿下の選択が、シウォンにとっても分岐点かもしれないな」

 

 するとキシュが口を開く。

 

 「結局、シウォンの望みって?優しいのは認めるが、答えになってないぞ」

 「そうか?」

 「ああ」

 

 ナフカはキシュの剣を指した。

 

 「ん?」

 「キシュ、争いがない世界って続くと思うか?」

 「…」

 

 キシュは言葉を返せなかった。

 

 「どんなに歴史書を読んでも答えはないんだ。大カルデミナ帝国であった時代の他に、争いがない世の中なんて。それが俺のなかで不安の種でもある」

 「…」

 

 キシュも歴史についてはナフカやシウォン程ではないが学んでいる。言われて気付いたことだが、確かに戦いの無い時代なんて長い歴史の中の一部に過ぎない。現に、軍がイスファターナにあるということが争いの歴史を物語っている。

 

 「俺は、シウォンなら戦わずに生きる道をつくることができるかもしれないと期待している。いや、期待したいんだと思う。となると、その分、国同士の関係は密にならざるを得ない。帝となったシウォンが他国に赴くことだってあり得るだろう。俺は、シウォンはリフキア殿下に第二の帝となるくらいの存在にまで上り詰めてほしいのではないかと、そう考える。自分の留守を任せられる存在は、俺やキシュには成り代われないものだ」

 「…そうだな」

 「あくまでシウォンが貴族を後ろ楯にするつもりが無いのなら、だけど」

 

 今度はキシュにも気付きがあったようだ。

 

 「それは、リフキア殿下が宰相になり得ると?」


 キシュの問いがあまりに突飛なものだからナフカは思わず笑った。

 

 「そうだな、それもあり得る。臣下に降った皇族が宰相になるのは前例がある。不満も出ないだろう」

 

 ナフカは一息つくと言った。

 

 「深く考えるのはここまでにしよう、キシュ。考えても実際は違うものだしさ。俺はさ、一人の人間としてシウォンがリフキア殿下の手を取ったことが嬉しかったんだ。俺も、ある人に手を伸ばされなかったらきっと生きてこられなかったから」

 「…それはシュワーム様のことか?」

 「…さぁ、どうかな」

 

 ナフカが自分の過去を話すことはしない。キシュもそれを聞こうとはしないが、おそらく壮絶な何かがあったのだろうと思っている。

 

 「ま、俺も嬉しいかな。兄弟がいたらあんな感じなんだろうな。俺には出来なかったことだ。シウォンには上手くいってほしいよ」

 

 キシュも少し自分の過去を振り返る。病で家族を失ったキシュには妹がいた。家族を失わなければ、剣を取ることもしなかった。ここにすら立っていないだろう。

 思えばこの宮殿には複雑な過去を持った人間が多い。偶然か必然かはわからないが、意味があるのだろう。

 

 「ナフカ!」

 

 ナフカは部屋から呼ばれて扉を開ける。

 

 「いかがいたしましたか」

 「アイゼンを呼んできてくれ。思いの外量が多かった」

 

 リフキアの手には顔が隠れるほど山積みされた本が握られ、持ち運ぶのはそれ以外にもたくさんあるようだ。

 

 「何も一度に全部運ばなくてもよろしいのでは?ヴェルヴァイナ武官を呼ぶのは構わないのですが」

 

 ナフカがそう言うと、シウォンもリフキアも全くその考えが無かったようで、「あ」と一言声を揃えると、互いに顔を見合わせた。

 

 「何でこんなことにも気づかなかったんだろうな」

 

 シウォンが言う。

 

 「はい…」

 「それだけ一生懸命だったのでしょう。さ、どうします?一度に運んでしまいますか?」

 

 ナフカが尋ねると、シウォンとリフキアはまた本を選別し始めた。キシュも部屋に入ってきて、その様子を見るやナフカに視線を送って笑っていた。

 

 「キシュ、ヴェルヴァイナ武官を呼んでほしいんだが」

 「ああ、さっき外で聞こえたから兵に呼びに行かせたよ」

 「助かる」

 

 やがてバタバタと急いで来たのだろう。アイゼンが息を切らせてやって来た。

 

 「し、失礼いたします」

 「アイゼン!」

 

 リフキアはにこやかに迎えた。

 

 「殿下、こちらにおられましたか…」

 

 どうやら昼休憩でヨルナの元に行っている間に、リフキアは図書館に行ったらしいのだ。

 

 「すまない、探させてしまったか」

 「ええ。できれば行き先くらいは兵に告げておいてください」

 

 ヨルナが休暇を出されて今はアイゼン一人でリフキアの身の回りのことから護衛まで行っている。アイゼンの唯一の休みは昼休憩と夜の睡眠時間位である。

 

 「本当にすまなかった。迷惑をかけるつもりじゃなかったんだ。次からはそうするよ」

 「お願いしますね」

 

 そんな二人の様子を見ていたシウォンがアイゼンに尋ねた。

 

 「アイゼン、ヨルナの様子は?」

 「はい。順調に回復しています。毒による副作用もなく、フレルド…亡くなった組織の人間でヨルナを逃がそうとした者ですが、彼が毒を飲んですぐのヨルナを見つけて迅速に吐かせたのが大きかったと医官様が仰っていました」

 「フレルドというのはリフキア、お前が帝に墓を造る許可を願い出た者のことか?」

 

 リフキアはうなずく。

 

 「はい。彼はヨルナを助けてくれた以外にも情報を我々に託してくれましたから」

 「そうだったな。今度私も礼を言いに行くとしよう。ヨルナはお前にとって必要な人間なんだろう?少し変わってはいるが…」

 

 最後の部分は少し小声でシウォンは言った。だから、リフキアには最後までは聞き取ることが出来なかった。

 

 「それで、アイゼン。ヨルナは復帰できそうか?」

 「と言いますと…」

 

 途中まで言いかけて、アイゼンはシウォンの意図を察したらしい。

 

 「今のところ、問題は無さそうです。一つに、彼女自身が休暇明けのことを楽しみにしております。二つ目に、医官様の指示で精神面の緩和療法から、体調を見ながらですが、少しずつ剣を使って稽古をしたりしています。特に恐怖症を起こしたりは無い様子ですので、おそらくあと三日で医庁からは出られるということです。その後は薬で管理することになるかと。いずれにしろ、近衛武官としての隊務に支障が出ることは無いかと思われます」

 「それは、彼女を庇ったりなどということ無しに、事実だな?」

 「はい。事実でございます」

 

 シウォンは安心したようで息をつく。

 

 「そうか。彼女自身が狙われた事件であったし、私も心配していたところだ。まあ、隊務に支障があるなら彼女から近衛隊辞退でも宣言してきそうな性格ではあるが、念のため確認をしておきたかった。ともあれ、無事で何よりだ。私も何か復帰に際して意見が出たときには、そなたの言葉を信じて力になろう」

 「ありがとうございます」

 

 そうしてリフキアとアイゼンはシウォンから貸し出された本の一部(それでもかなりの量だが)をもって宮殿へと帰っていった。

 自身の東の宮殿へ帰りついたリフキアは、執務席に着くとアイゼンに言った。

 

 「アイゼン」

 「はい」

 

 普通に返事をしたアイゼンだったが、リフキアの表情に姿勢を改めた。

 

 「アイゼン、ここに来てくれ」

 

 アイゼンは示された執務席の前に立った。

 

 「今日、お前が来る前に兄上に言われた。兄上の側近達ではなく、一番に兄上の信頼を得る人間になれるか。兄上が帝となるときに私がどこにいたいか。いつかその答えを示して欲しいと」

 「…それは」

 「アイゼン。私はもう日陰に立つことはしない。陽向で兄上の隣に立てる人間になろうと思う。そのためになら、努力も惜しまない。私のこの道についてきてくれるか」

 「…」

 

 アイゼンはしばらく言葉が見つからなかった。やがて、アイゼンは今の場所からリフキアの隣に向かって、そして剣を床に置いて騎士の忠誠の姿勢を取った。

 片膝を床に付き、頭を伏せる。その行程を終えて、ようやくアイゼンは言葉を発した。

 

 「私も、ここにはいませんがヨルナも、殿下の進む道の隣を歩くために今後は精進いたします。殿下の目指される道、必ず掴みましょう。殿下ならばきっと掴めると我々は信じております」

 「…っ、私は嬉しかったんだ。そう、兄上に言ってもらえたことが」

 「我々も嬉しく思います」

 

 リフキアは満面の笑みを浮かべて、それから持ってきた本を一つ手に取った。

 

 「アイゼン、ここ十年近くのイスファターナの経済状況がわかるデータを財務部から貰ってきてほしい」

 「比較なさるのですか」

 「本で学んだだけでは何にもならないからな。それから…」

 

 リフキアは少し照れた様子で言う。

 

 「剣の稽古をつけてほしい。苦手とは言わないがお前達ほどには扱えない。だから、剣の腕も磨きたい」

 「では、普段の執務と勉強の合間に行いましょう。一度に急にでは難しいので、ヨルナが帰ってきてから順立てて」

 「ああ」

 

 この日シウォンから差し出された手は、その後のリフキアの大きな励みとなった。リフキアが今日のことを日記にこう記している。

 

 『兄上に共にあることを許されたような気持ちだった。この日、憧れの人はいつか隣を歩く人に変わった』

 

 しかしながら幸せな時は必ず終わる、という言葉に言われるように、この日はリフキアがいつか大きな決断を下さなくてはならないことを静かに予期させてもいた。

 イスファターナは後に『改革期』と呼ばれる大きな渦に足を踏み入れることとなるのであった。

次話はまたしばらくお待ち下さい。

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