開幕
最近、寒くなってめっきり運動しなくなってしまいました
おかげでなんだか太ったような気がします
明日はパソコンを直しに行けるので良かったような気がします
警視庁に全捜査員が戻ってきたのは18時を過ぎ、大会議室で捜査会議が始まってた。
そこにはもちろん比嘉についた若手捜査員と橘を擁護する捜査員と混在していて険悪な空気はひどくなっていた
管理官である、萩原はことを収めようと立て直しを図ろうとするも比嘉が一方的に牽制するため何もできないのが現状である
凶器のメーカーや型番を調べていた吉野は作成しておいた資料を捜査員に配り棒読みで話し始めた
相変わらずのへたくそだと萩原は笑っていたがふと隣を見ると比嘉は少し微笑みを浮かべていて、まるで恋人を見る眼差しでいる
気持ちが悪かった、なぜそこまでして吉野に強いこだわりを見せているのかが萩原はわからなかったいや萩原の右隣にいる刑事部長も同じであった
「以上です」
読み終えた吉野はなぜか目をすぼめ、気まずいようだ。
次に読みあげるのは島津だった、それを知ってか比嘉は島津の話を聞かず吉野が作成した資料を読みふけっている
「このメーカーに問い合わせてみたところ特注品であり特定できるが品番がわかっていないため時間がかかるとのことです。以上です」
人の話聞けよ
小声で呟いたのでその場にいた捜査員は固まったが比嘉は無視し続けた
「お腹痛い」
萩原は自宅から持ってきておいた胃薬を飲み込んで何度か胃をさすった。
一昔ストレス性の胃潰瘍で手術をしていたため胃は今でも弱い。
捜査会議が終わり、皆散って自宅に帰るものやそのまま捜査を続行するものそれぞれであった
もちそん、吉野は帰らないで捜査を行う予定でいる
「浅野さんと春には話しておいたほうがいいかもな。あと萩原さんにも」
捜査資料を片付けて執務室に戻るため、会議室から出ようとした時であった比嘉に呼び止められて話があると言われ、会議室に残ることになった
二人だけの空間となってしまったこの場所で一体何を話すつもりでいるのか不安でしょうがなかった
「そういえば、手紙を机に置いていたのですが。お分りいただけましたか?」
「え!ええ。はい、見ました。面接ですよね?」
いきなり話しかけられたためどう返事をすれば良いかわからずにいたが吉野に向けてくるなんとも言えない笑顔はどこか強い印象を受けた
「時間は昼にしておきました、昼食もついでによろしいですかね?」
「大丈夫です!」
と言うよりも階級が高いため反論できないのが吉野の心の中の心境である
「そうですか。ならどこに行きたいですか。優子さんの行きたいところで構いません。店が決まらないのであれば種類でも構いませんよ」
思いつかなかった。
というよりどこかで食べたいというよりも近場で済ませてしまいたかった
捜査が少し前進し始めているのに一人足を引っ張ってしまってはいけない。ならちょうどいい場所がある。
警視庁の食堂で済ませてしまえばいい。ご飯美味しいし、熱々だし長門がいるからだ
「そうだ。警視庁の食堂以外でお願いしますよ。あそこで面接はしたくないのでね」
こいつ心読めるのかよ!
今まさに口からぼろっと言いそうになったので慌てて飲み込んだ。
エリートの考えることがわからないなと考えていると、どうしても気がかりになったのは榛原のことであった。あの話を聞いた後ではどうも気がひけてしまう
「それなら、警視庁に近い場所がいいです。近くて、安くて美味しい場所が」
精一杯、伝えたつもりであったが比嘉はどこか不満そうだった
大衆食堂が嫌いなのか、庶民の敵め!
今すぐ言ってやりたかった。やはりエリートはわからない
「できれば、誰かに邪魔されず静かな場所でゆっくり話をしたいのです。私はあなたと話がしたいのです。」
もうどうにでもなってしまえという吉野の心境がボロリと出てしまった
「比嘉警視監のオススメの場所でお願いします」
再び笑顔を取り戻しふふと笑うが吉野はどうしても榛原のことが心配でたまらなかった
「榛原警部はどうされるのですか?」
突然の質問に比嘉は驚いていたがまた笑顔になったが少しひきつっていた。
地雷を踏んでしまったようだと直感的にわかりとにかく早く逃げ出したかった。
「彼女は私の代わりに指揮をしてもらう予定です。面接の時だけ。どうして、うちの榛原がきになるのですか?」
比嘉の目が怖かった。笑っているようで笑っていない。
「なんとなくです、気になったものですから。」
そうですか
そういうと比嘉は吉野を見続けた
なんでやねん
言いたかったが言えず蛙が蛇に睨まれたような感じである
「いや、すいません。昔、一目惚れして片思いの女性にとても似ていたのでちょっと見てしまいました。」
なんとも言えないが、反論もできないでいた。早くこの場から逃げ出したかったが会議室の向こうのドアからものすごい視線を感じて怖いのだ
「それでは、またお願いします。では明日11時30分にエントランスで待ち合わせましょう。」
「わかりました。1130(いちいちさんまる)で待機します」
あはははと笑う比嘉に苦笑いで答えてしまった吉野。
比嘉は資料を片付けてカバンに入れるとお疲れ様と言って立ち上がり退出しようとしている
解放されると思い吉野、今日一番の綺麗な10度の敬礼で見送ろうとしたがこれは誤算だった
「そんな、いくら階級が高くても女性を置いて出て行きませんよ。優子さんから先に出てください」
顔を上げるとドアを開けて待っていてくれたのだ。これはレディファーストというのであろうか最後までぬかりなく接しているのに鳥肌が立ってしまった。
「いいいい良いのですか?片付けるので自分はまだ残っておきま『構いませんよ。さあそろそろ出ましょうか?』
「では、すいません。失礼します・・・」
荷物をまとめドアから出ると李からの着信が入っていてかけようとするとまた、不機嫌そうに比嘉が吉野を見ていた
「すいません、私これから捜査に行ってきますのでここで失礼します」
電話がつながったと思い話そうとするといきなり腕を掴まれた感覚があり振り返ると不満げに吉野を見ていた。握っていたのはかつてバスジャック事件で負傷した場所であった
「吉野君、あまり私をガッカリさせないでくれ。捜査・・・期待しているよ」
そういうとそそくさと比嘉はどこかに行ってしまい後味の悪いことになったが次に李の大声が聞こえてきた
「優子!今どけいる。大変なこちなった」
「え。なによ大変なことって?」
事件だろうかと思ったが見当違いな答えであった
「エントランスに美人がいる」
・・・?
吉野が思っていると下川が現状を李の代わりに報告してくれた
「実は綺麗な人がいてさ。声かけにくいからお前がかけてくれ
美人に変に声かけるのはトイレに人が入っているのに勝手に開けようとするのと同じだろ?」
「まったく違う気がします。まぁいいや聞いてみるよ」
会議室を出てエントランスに到着すると物陰から隠れて様子を伺う馬鹿二人がいた、そこにいる男性職員も顔を赤らめている
「あの女性に声かけたらいいの?」
馬鹿二人に荷物も預けて深呼吸をひとつし吉野はその女性に声をかけた
「どうされましたか?」
吉野も驚いた、本当に美人であった
黒髪のセミロングヘアがとても似合い二重でまるで出るにでもいそうな女性だった
「えぇと、こちらに島津隆久はいますでしょうか?」
「島津さんのお知り合いですか?」
吉野は女の勘でわかった。
この人島津さんの彼女さんだろうな
「すいません、島津隆久の知り合いと言いますか。前園夏希と申します」
前園夏希どこかで聞いた名だと思ったが思い出せないでいる
馬鹿二人の方を見るの顔面が真っ赤でいて吉野はさすがに引いてしまった
「前園さん、でしたね。今呼び出しますので」
携帯を取ろうとした時浅野と浅野の後ろにいる誰かがエントランスに来た。
そいつも見事に顔真っ赤である、耳まで赤い
「あっ!隆久くん。久しぶり。会いたかった」
こうなったら男は弱いのですね。真っ黒い笑顔で浅野は島津の背を押し前園の元へと歩まさせた後、浅野は馬鹿二人と共に陰からこっそりと見守った
「なんでやねん」
吉野はただただ馬鹿に効く薬が欲しいと思った
「隆久くんが転勤って聞いて、ずっと心配してたのに連絡くれなかったから何かあったんじゃないかと思ってずっと心配してたんだよ。それなのに・・・・なんで・・・寂しかったよ」
島津をキュッと抱きしめてその胸の中でなく前園、寂しさが今ついに溢れ出してしまったようだ
「夏希。 俺は、迷惑かけたくなくてだな」
「心配したんじゃっで」
こう言われると島津は硬直してしまい手がブルブルと震え始めてしまった。薬でもやったのかと言いたい
「俺が悪りかった。すまん連絡せんじ、俺も本当て会いたかった」
それに応えるかのように島津もぎゅっと抱きしめた
警察官は恋愛に遠い世界と言われる。
たとえ付き合ってしても多忙のせいですれ違いが生まれて別れてしまうというのもよく耳にする。遠距離恋愛ならもっとであろう、しかしそれでもこの二人は続いているのがすごかった
しかし、周りはには飢えた狼がいる。間違いなくこの二人が羨ましくてしょうがないのであろう。今にも殺しにきそうなノリだ
「とりあえず移動しようか。ここは人が多いから、紹介するよ。俺の同僚の・・・・・え?」
馬鹿二人から馬鹿四人に増えその周りに多くの警視庁職員が取り巻き伝統の非リア充音頭警視庁バージョンを踊りだした
こうなると一時間は止まらない
どうしようかと思っていたところその塊は爆散したのである
振り返ると改造したロケットランチャーを持った警視総監が(馬鹿め)とつぶやきながら次弾装填しようとしている
何人か立ち上がろうといた時に再び発射。見事鎮圧したのである
爆散した、職員はその後散っていき馬鹿四人も普段のように島津に接していく
「大丈夫だったの。吉野さん、痛かったんじゃないか?」
「痛かったって何がでしょう?」
「さっきロケラン打たれたんじゃ」
「ロケランって何でそげなものがこけあっとですか」
島津は話がかみ合わなくなっていることに恐怖を覚え
浅野に執務室に戻ることを促した
「そういえば何で僕たち焦げ臭いんでしょうね?島津さんは何でか知ってますか?」
「ううん知らなよ」
下川が前園に興味を持っているが、その前園は恐怖で島津の袖をギュと持ち続けている
執務室に着くとそこには刑事部長、管理官の萩原、そして橘を擁護する片桐や河野といった捜査員10名程度がそこにはいた
「前よりもっと数が減ってる」
下川は驚きを隠せなかった
朝方の段階ではもっといたはずだと思っていたのにここまで減るとは思いもよらなかった。帰った者もいるかもしれないがそれっでも減っている
「すまない、どうやらあいつに惹かれてしまったようだ・・・ところでそちらの女性は誰だ?」
「前園夏希と申します。いつも島津がお世話になっています」
その名前を聞いて刑事部長や萩原は驚き顔を見合わせてしまった
「失礼なことを聞くかもしれませんがもしかして・・・」
それを聴いて前園は暗い表情になり固まってしまった
「そうです。その節はお世話になりました」
吉野は思い出したのである。橘がずっと隠し持っていたバインダーに書かれていたレイプ事件の被害者。そう彼女がその女性であった。なんとも言えない気持ちを捜査員達は感じ取り未だ謎が多く残っているバスジャック事件のことをあのレイプ事件のこともそしてこの連続猟奇事件のことも、なぜか皮肉な部分を見ている感触があった
「あの、気にしないでください。あの事件のことはもう忘れようと思っているので、それに大丈夫です、私には守ってくれる大切な人がいるので。」
守ってくれる人と聞いてその場にいた人間は皆島津の方をじっと見つめた。そして島津もまた頬を染めている
「実は、鹿児島にいた時から結婚しようという話はしていたのですが忙しくてつい。」
こいつはめでたいといものもいれば馴れ初めを聞こうとする者もいる。
島津は強いからなと刑事部長はいい、よどんでいた空気が少し明るい方向に向いてきたのが感じ取れた
「これ、鹿児島名物 かすたどんです皆さんで食べてください」
お腹を空かせていた捜査員たちにとって甘味は格別であった
「いない奴には黙っておこう」
萩原はそう言って黙々と食べる、皆頷いてかすたどんを頬張り一気に飲み込んだ
「もっと買ってきた方が良かったかな」
李は無理無理と言わんばかりに手を振った
「そげなことしても無駄ですよ。見しけた人がだいぶ持って行っ食べちゃうんで直きなくけなっとです。しかしかすたどん。あいがとごあす久しかぶいに食べれたので凄ぜ美味かです」
李の話す鹿児島弁を聞いてか前園は感化されて鹿児島弁がぼろっと出てきたようだ
「鹿児島弁だ。凄ぜ発音いいね。生まれはどこ?」
「自分の生まれは韓国じゃっどん3年ほど前に祖父がいる知覧町に来もした
そこでの言葉がずっとついてしまって」
かすたどんを頬張る李に、前園は可愛く思ってしまいついつい頭を数回ほどなでてしまった
「みんなにとって李さんは弟みたいな存在なんでしょうね。可愛いです。」
照れ気味に笑う李に刑事部長はモテるっていいなと言ったのを下川は驚いた
前園と島津は一度会議室の方で面談させて残りの捜査員で今回の事件を整理する
比嘉に黙って作った資料に目を通す捜査員
ここで浅野は保管庫にあったかつての捜査資料をデスクに広げた
「過去のある事件で使われた凶器の刃物です。これには通しの番号か書かれています。明日このメーカーに問い合わせる予定です。」
新宿署から応援できた河野もまたロープの出所を見つけていた
「こいつは、都内のアウトドア主に登山向けのロープでな、見つけるのに時間がかかったがここでしか売っていないものらしい。そして、バスジャック事件で実行犯が使っていたものと同じものだ。」
情報が集まってきていると思い少しやる気が出始めていた捜査員たちに朗報が届いた。
新宿署鑑識員の高田が第二の事件現場でゲソコンを発見したとのことゲソコンの一部分だけでも犯人の身長が割れるというので鑑定結果に期待を寄せる
「みんなに、話しておいたほうがいいかわからないけど」
そういうと、吉野は橘デスクからバインダーを取り出して捜査員たちに見せた。
「これは、橘さんが残していったもの。これを知るには一度、あの事件の最初の場所に行かないといけないのです。」
つまり、バスジャック事件最初の場所長野に行かないといけないという趣旨であった
「優子にしかわからないことなら行ってきたほうがいいぞ
早いうちに行ったほうがいい」
片桐は一度、バインダーの資料を見るとそれを吉野に返し、その場にいる全員と目配せをした、
何が何でもこの情報を守るということである
さらに吉野はもう一つのことを打ち明けた
それは比嘉による面接のことであった
「こいつは面倒だな」
萩原は、吉野の机に置いていた書類を見ると洗脳といって煙たがった
「行くしかないか」
浅野は、考え込んでしまい本人の自由といってあきらめた
再び空気が重たくなると会議室から島津が驚いた声を出していた
「どうしたんですか?」
下川が会議室に入り事情を聞こうとした時、驚くべき内容に驚愕した
前園にここに来るように連絡を入れたのは比嘉であった。
もちろん、比嘉が直接連絡を入れたわけではなく、連絡を入れたのは笹野であった
「じゃあ橘さんが言ってたSって笹野さんのことか?」
今にも、島津は怒りを抑えきれないようだが前園の一言で落ち着きを表した。
「ずっと私のことを考えてくれるのは嬉しいけど、復讐なんて、敵討ちなんて考えないで私は今が幸せだから」
島津はぎゅっと前園を抱きしめて当たり前と言っていたが
その目に宿っていたのはSATの本質ではなく魑魅魍魎であった
刑事部長はこの時、なぜ島津がここに呼ばれ、また前園が来たのかその真意がわかっていた、
そして、その場所に陽はまた昇る
島津の元にやってきた前園。
笹野、つまり比嘉によって呼び出されたということになります
島津の魑魅魍魎とは一体なんなのでしょうか
刑事部長が感じたものはなんでしょうか
次回は、比嘉と吉野がぶつかります
そして吉野はある場所に向かうことを決めます
逃げ場なんてもうないよ




