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犯人像

ゴールデンウィークは消えたのです。

一度捜査官たちは昼食を交代しながら売店に買いに走ったり弁当を鞄から取り出したりしながら事前に捜査の準備をした。

気を失っていた吉野に浅野は丁寧に説明した。

 「君が気を失っていた時に集積所から通報が入ってね、ゴミ袋の中に不審物が入っていたんだ。そして確認したところ…」

 「人間の内臓だったのですね。その内臓は南宗平のものかもしれないっと。」

 「その線で今、捜査を指しているんだけど鑑識の結果と解剖所見の結果を待っている途中」

捜査員は二つの事件の捜査で忙しいのにまだ警察庁に戻らない比嘉に対して苛立ちを感じ始めた。いい加減帰って欲しいと願っているものが多く比嘉のことをあまりよく思っていない大勢の捜査官が比嘉に対してにらみつけたりわざと聞こえる声で(帰れよ)と口々に呟くが比嘉は気にすることなくその場に居続けた。

 「一度捜査会議というものに出てみたかったのだ、ちょうどいい」

比嘉は周りの捜査官の目を気にすることなくホワイトボードに書かれている内容に目を通した。南の事件・今回の集積所での内臓の発見、二つの事件がどこかでつながりを持ち犯人が意図を持って殺害を行った、いや警察に対する挑発と快楽の両方を持っていたと感じていた。

 「こんなに忙しいのに比嘉さんはまだいるんですね」

下川と浅野はコンビニで買っておいた昼食のお弁当に手をつけた。

 「春くん一様彼は客人だからね。他の人もそうだけど不快な思いをさせてはいけないよ。気持ちはわからなくもないけどね。」

二人は手早く食事を済ませて他の捜査員の手伝いを行い島津と李に場所を譲った。

 途中、萩原に浅野が呼び止められ下川が手伝うことになった。

 「そういえば、橘のノブはどこに行ったんだ?」

浅野が周りを見渡すとどこにも橘はおらず浅野は売店にでも行ったのだろうとかと考えたが実際はかなり状況は最悪だった。というのも売店で安くで売ってコロッケパンの購入しに行くことと吉野の夢の内容を書いた「夢日記」が喪失しているということの両方であった。

 「橘のおっさんにとって…この現状は腰に来るっぜ」

もちろん売店の商品は豊富な商品が置かれているため決して困らないのだがこのコロッケパンは今日だけの大特価という某テレビショッピングで宣伝できるって感じの安さが売りだであるため金欠警察官にとってはありがたいがその代償が買いに求める人間の多さであった。

 「夢日記もどうにかしてやらんといけないというのになんでだ。」

全員が帰投し、吉野と下川が一悶着した時に島津が取り押さえ李との謎の同窓会に発展しその後だった。

吉野が橘に提出しようとしたノートが、忽然と姿を消したのだ。

その後何人かで探したが結局見つからなかったのだ。

吉野は今も探しているし一緒に探そうとしたが昼食を買うことを先に済ませて欲しいと言われたため急いで買いに行った

 「ぶっとんだ後は頭痛と食欲不振か…普通ならたまったもんじゃないな。あのときあんな事件さえ起こらなければこんなことにはならなかったのにな。」

橘はかつての事件を思い出しながらも残り10個のコロッケパンに手を伸ばした。

一方、その吉野はノートのないため焦りの色を隠せなかった。夢日記の中には幾多もの事件のヒントになるような内容の夢がびっしりと事細かく書かれていてそれを参考に解決したものが多数あった。

今見ている夢もきっと事件の謎をとくヒントになるやもしれないとわかっていた。

 「あの内容は見られたらまずい。今回の事件で参考どころか何人かこっちの捜査員の名前だって出てきたし、本当に起こったらとてつもないことになる。なんで急になくなるかな?」

ブツブツ文句を言ったところで何も解決はしない。ただ焦りと時間だけが無情にも過ぎていく。顔を上げ軽く伸びをしていると李が心配そうに見ていた。

(本当に心配性だな)思いさらに探していくと前が見えていなかったため誰かとぶつかってしまった。

「アタタタ。すいません大丈夫ですか?」

ぶつかった人に謝ろうとしたら目の前にいたのは比嘉の女性秘書であった。

「大丈夫です。あの…一緒に探しましょうか?一人より二人の方がいいですし。」

「いいのですか?比嘉さんのそばにいなくて。」

すると小声で吉野に対して耳打ちをしてきたのである。

「あの人は事件について夢中ですし多少ほっといても大丈夫ですよ。」

その発言に腹を抱えて笑った吉野。どこか同じ匂いのする女性だと感じ思い切って名前を聞いてみた。

「そういえばお名前は?刑事の性というのでありますかどうも質問しないと気がすまないというか。」

「なんだかわかりますよ。ちょうど気になっていたので私もあなたのお名前をお聞きしてもよろしいですか?」

お互いに笑いあい少し距離を縮めていく。

「自分は吉野優子です。優しい子と書いて優子」

「私は榛原。榛原沙耶です。」

「お互い大変ですね。」

と捜査一課の野郎軍団の愚痴を小声で話すと榛原も比嘉に対する愚痴を漏らした。

「彼だいぶわがままでワンマンなところがあって、なんというかよく言って誰にも屈しない悪く言ってお子ちゃまなところがあるし正直疲れてしまいます。」

男って面倒よねーなんておばさんみたいなこともお互いの口から出てさらに大笑いしてしまった。

「警察庁なんて本当に勢力図とか凄そうですね。」

「長官の意見こそ正しいっていう人もいたらそれに真っ向反対とかいうおじさま軍団が凄いのなんのって感じですかね。それに比嘉さんが突っ込んでいく感じというか。」

「彼は一体いくつなんですか?」

「彼、28ですよ。本当に一気に出世して敵が多いです。」

「28歳なんですか!うっそ私の2つ上じゃないですか。ナンテコッタパンナコッタ。」

本当ですよなんて苦笑いを浮かべて榛原は反対に警視庁の派閥を聞く。

「警視庁もそっちとあまり変わらないですよ。上は上で喧嘩して下は下で喧嘩する。そう言ったものですかね。」

いつの時代も下階級のものが苦労するのはどこも一緒であるとお互いに確信し吉野は気になっていたことを質問した。

「そういえば口についている土のようなものはどうされたのですか?」

その時だった榛原の顔が一瞬強張りどことなく怯えているようなそう言った様子を吉野は感じ取った。

「何か、あったのですか?」

榛原は首を横に振り口元の砂を払いのけ再び吉野の夢日記を探し始めた。

(何かに怯え何かを隠した、とすると)吉野は考えたがとにかくノートを探すことに先決する。

「なかなか見つかりませんね。」

「本当にどこ行ったんだよ。」

見つからないことに腹立たしさを覚えそれでも根気よく探そうとしたが事前会議の招集合図がかかったためノートを探すことを諦め椅子を移動させホワイトボードの前で着席した。

 「橘さんはパン買いレースでデットヒートかましてくるから今回の事前会議は萩原が指揮をとる。」

捜査官が順序よく説明していきホワイトボードに書かれていた南の事件と内臓の発見に共通点を見つけようと必死になった。しかし共通点をさがそうにも肝心の解剖所見が届いていないことからそれ以外での接点について捜査を行った。

「そういえば龍一。南の素性でもわかったのか?」

龍一は今回ばかりはいい情報を手に入れたような顔をしここぞとばかりに大きく首を振った。

「はい。南の関係者に聞き込みを行ったところあいつは、いろんな人間から反感を買っていたようで特にあの店で働いていた従業員からは恨みしか買っていなかったようです。」

普段龍一は鹿児島弁で会話を行うが捜査会議では流暢な日本語を心がけている。

「というのも、従業員に住所やありとあらゆる連絡先を無理やり開示させ通帳の番号も南に教え,その日の売上目標に到達しなかった従業員には罰として客との性行為の強要、罰金と称して通帳からお金を引落とさせたそうです。」

「しかし、よく従業員の話を詳しく聞けたな、どうやったんだ。」

「あの店には、従業員の個人情報の書かれた名簿があり、そこに片っ端から電話をかけました。自分が警察官であることを言ったら教えてくれて、それでも断られた人もいます。

でも確かにいい証言になるものばかりでした。ね!島津さん」

何度も笑顔でうなずいて李の頭を何回も撫でた。

「彼の執念はすごいですよ。本気で犯人の尻尾を捕まえるあの目に自分も負けられないなと思って最初は見るだけだったのですがこっちも意地はって電話をかけまくったんです。」

兄弟のように見えた萩原はよく頑張ったと言わんばかりに笑顔を見せた。

「しかし一つ不自然なことがあって一人分の名簿がなかったんです。」

名簿がないことに不信感を覚えた萩原は眉間にしわを作り龍一に詳しく説明しろとばかりに睨んだ

「自分も最初は変だと思って従業員の女に聞いたところ(三年ほど前まで働いていた男の従業員の名簿で、時々非常勤ながら働いていた。)という証言がありました。」

続けて島津も萩原に対して

「その元従業員のロッカーを調べたところ見つかったのはストリップ用の衣装、湿布薬とサポーターのみで他につながるようなものはありませんでしたが、変わった匂いがしたというのかなんというか」

「どういったものだ?」

「レモンのような…果実酒の匂いに近かったと思われます。」

「果実酒か…よしわかった李と島津は南の捜査を頼む。次に集積所はどうだった?」

はいと手を挙げたのは浅野と浅野のバディの片桐である。

「集積所の防犯カメラに不審な人物が映っていましたが画像が荒く特定は困難であると思われます。」

「さらに、ゴミ袋を鑑識に回したところ指紋は発見した集積所の人間のものだけで犯人につながる指紋は検出されませんでした。」

そうかと残念そうな顔をした萩原は再びホワイトボードに目を移し手詰まりかっと一人虚しく呟くのであった。

その後、南の店の聞き込みや刃物の出所について検討し合ったものの何も発展はなく後日新宿警察署での会議に向けた資料ズックリを行うため解散とした。

「一体どうしたらええんかな?」

一人ため息をつく吉野の前に比嘉がにこやかな笑顔で挨拶をしてきた。

「すいません。また会議があるので私たちは退席いたします。

今度、ゆっくりあなたとお話がしたいのですがいいですか?」

「また今度、そうですか。下まで送りましょうか?」

「いいえ、皆さんお忙しそうなのでいいですよ。本日はありがとうございました。」

「なかなかこちらが配慮できずにすいませんでした。また何かありましたらいつでもいらしてください。」

ありがとうっと吉野に会釈し扉を開け出て行った。

榛原もそのあとを追うように出て行こうとした時に吉野に声をかけられた。

「沙耶さんこれ連絡先です。また今度一緒にご飯食べに行きませんか?」

榛原の受け取った名刺の裏にはメールアドレスとsnsのアカウントが書かれていた。

榛原は嬉しかったのであろう驚いた顔を見せた後嬉しさを笑顔で示しメールアドレスの書かれた名刺を大切そうに名刺入れに入れた。

「嬉しいです。こうやって他の人からアドレスを交換なんて、大学以来です。また今度一緒にランチに行きましょ。」

「待ってます。いつでも。」

すると榛原は初恋でもした女子のように顔を真っ赤にさせてそそくさと出て行った。

「ありゃ?」

首をかしげて吉野はデスクワークとノート探しを再び行った。


比嘉が出て行ってすぐ榛原が来ていないことを認識するとため息をつき左腕を軽く撫でた。

「忘れたなんて言わせはしない。それにこんなに素敵な夢を描いていたなんてね。しばらく借りるよ。」

ゆっくりとまばたきをし再び警察庁に戻ろうとした時であった。あることを比嘉は考えた。

「あの殺しスナイパーまさか…ね。」

ちょうどトイレから出てきた島津は比嘉とすれ違った時一瞬であったが果実酒のような匂いに気がつき比嘉のいる方向に対して振り返った。そして思い出した。彼女が強姦にあった際あることを言っていた「独特の匂いと左眉の上に切り傷があった」という証言を「背が高く体格も良かった。」そして「お前は優子ちゃんじゃない。でもいい子だから少し遊んであげる」そう言われたと証言したことを

島津の心の中にいた悪魔が目を覚ました瞬間であった。

「なぁ比嘉さんよぉ!」

そう言われ不機嫌ながらも比嘉は島津を見た。

「此れは此れは先ほどはお世話になりました。ところで何でしょうか?」

「あんた、一回あった記憶があるんだが覚えているか?」

そう不敵な笑みを見せると一瞬比嘉は島津をにらんだものの再び笑い

「いいえ、今日が初めてですよ。島津隆久巡査部長さん。」

ではまたと軽く会釈をし比嘉はその場を立ち去った。

そして二人の男は感づいたのだ。

(お前が標的か)そう思ったのである。


お久しぶりです。昨日かおとといに投稿しようと思ったのですが文章量がなかなか多かったので結局今日になりました。

ゴールデンウィークはいかがお過ごしになられたのでしょうか?

みなさんにとって有意義なものであればいいですね。

私は寝るかレポートかのどちらかでした。

それではみなさんまた今度。




 

ソノ優シサハ僕ニダゲ見セテヨ 優子チャン

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