06 こうして不思議なことが始まった
人生にとって、一体何が正しいのか?
昏黄とした夕日は答えを出してくれず、流れ散る雲は説明してくれない。ただ、絶望的なまでに耳障りな嗡嗡という音だけが、耳の奥で鳴り続けている……
真っ暗な部屋の中、河馬はゆっくりと重い瞼を開けた。目の前には、絶望的に流れる空白だけが蠢いている。心の奥の説明のつかない震えが体を寒気させた。なぜだろう、まだ初春なのに寒く感じる。誰にも答えは出せない。
「寒い……」
河馬は呟いた……
飢えの感覚が体内を勝手に駆け巡り、絶望的なほどの重苦しさを感じさせる。河馬は手で台所のカウンターを支え、最後の豚肉の缶詰を開けた。
部屋の中の匂いがもうどんなものか嗅ぎ分けられない。開けた肉の缶は腐肉の残渣を伴って、床の上で無造作に苦しげに揺れている。飲み干したコーラの瓶、汁をこぼしていないインスタントラーメン。
河馬は豚肉の缶詰を食べ終え、あてもなく周囲を見回して、なんと飲み物がないことに気づいた……
「水……」
少し錆びた水道管をひねり、寝ぼけた口をその下に当てたが……太陽のない絶望的な家の中、厚いカーテンがすべてを遮り、すべてを暗闇に包んでいた。ただ、パチパチという音だけが耳に伝わり、不快感を覚えさせる。
「ぽたぽた……」
わずかな水滴だけが口の中に落ち、濃い錆の味がした。
この味は……
あまり良くない。
「けほけほ……」
河馬は手で口を覆い、数回咳をした。どうしたんだ……水道会社まで俺に反抗しているのか?なぜ……周囲を見回すと、コーラの瓶の中の汁さえも一滴も残っていない……
ああ……ああ……これは本当にまずい。
では……
河馬は玄関を見た。
コンビニに買い物に行くか?
少なくともミネラルウォーターを一本買わないと。
でなければ自分は喉が渇いて死ぬだろう。しかも缶詰ももうない……
河馬はそのドアを見て、無数の恐怖を感じているようだった。
出なければ、雨水を飲むのか?雨水は飲めないだろう……
ただ……
その渇きの感覚は、本当に耐え難い。
やはり行くしかない……
そうでなければ、ほんの少しの飢えと渇きにも耐えられない。
財布の中には……まだいくらかお金がある。それほど急いではいない。
もし本当にお金がなければ、実家に……
やめよう……後で考えよう。
うー……
出るのか?
ドアの外でパチパチという音がしている。本当に出たくない。雨だろうか……
出たくない。
「けほけほ……」
くそ、やはり出るしかない。
河馬はその寒さを感じ、やはり上着を一枚追加しないと、と思った。
玄関に立ち、少し身支度を整えた……あのぼろぼろの上着を着ると、少しは遮られる気がした。
また頭を掻いた。ここ数日、外はうるさいようだ。
一体どうしたんだ……あの店が開店したのかもしれない。爆竹、あり得る……ずっと雨なのかもしれない。
指がドアの軸に触れた瞬間、説明のつかない慌てた気持ちを感じた……
なぜ?
何が怖いんだ?
違う……
外の人たちは、もしかして……
もうみんな、前に自分が刑務所に入れられたことを知っているのだろうか。
そう……たぶんそうだ。
いやいや……
知ったからどうだ?自分に指図してくるだろう、事情を聞いてくるだろう。
まさか……
それなら、もういいや。聞かれたら聞かれたでいい。自分と何の関係がある。
ああああ……
一体どうすれば。
河馬は天井を見た。
「もういい……もう起きたことだ……」
このことのせいで……明らかに……
渇きがこんなに苦しいのに、もう死んでも部屋の中にいると決めたのに。しかし……今……
はは……もしかしたら自分は本当に、死ぬ決心すらできないほどの臆病者なのだろう。救いようのない人でなし……
いやいや……ただの小さな問題だ。
その説明のつかない不快感を抱えながら。
そっとドアを開けた。
屈辱だろうか?
光が瞳に伝わる。白い光、まるで雪のように……外は、やはり雨だった。すべてが煙雨に包まれている……
ただ、それらの火薬と積み重なった……何だ?
河馬は首を振った。気のせいだろう。
一体どうしたんだ?
しかし目の前の光景は本当に河馬を驚かせた。
見渡すと、元々まばらだった通りには、今では白い紙が空を舞っているだけ。ひっそりとした建物は、冷たい空気の中で一層孤独に見える。堅い地面には薄い水の膜が張り、耳に残るのは雨粒の音だけ。
白い空、伴うのは薄暗い黒煙と黒雲。いつもながらの静けさと不安を感じさせる。
「一体何が起きたんだ?」
河馬は両手をポケットに突っ込んだ。
どうしたんだ?
これはお正月か?
そうだろう、たぶん。あるいは今日は寒すぎて、誰も出てこないだけだろう。
黙ってうつむき、階段を歩いていると、時折地面に小さな穴のようなものがあるのに気づく。
河馬の足が危うくぐらつきそうになった。
ここにどうして穴が?
おかしい……
でも、まあいい……こんなおかしなことは、自分とは関係ない。
通りを遠く眺める。
本当に、誰もいないようだ。雨粒が地面に落ちるだけが、不快感を覚えさせる。
もういい……
自分は水を買ったら部屋に戻ろう。
そう、これは自分とは関係ない。
でも、今日はやはりあまりにも閑散としている。
雨だとはいえ……
でも……何と言っても、自分の家は幹線道路ではないが、少なくとも下の庭には時々何かを植えている人がいるはずだろう。ああ……たぶん。
ゆっくりと通りを歩く。地面には様々な痕跡が溢れている。まるでゴジラに踏まれたかのようだ。雨粒が自分の体に落ち、不快感を覚えさせる。
雨粒は残骸の周りや、少し崩れた電柱の上に落ちている……
周りのガラス?どうして割れている?
猫に引っかかれたのか、それとも自分の精神に問題があるのか?
まあ……いいや、地震だとしてもどうということはない。
自分のような人間、死のうが生きようがどうでもいい。
では……コンビニへ。
口ではそう言いながら、なぜか心に圧迫感がある。
なぜ?
生命への渇望か、それとも孤立した個体が種から見捨てられた絶望か。
誰が知るか……
まあ、これは絶望的な話題だ。ひきこもりにはあまりにも深遠すぎる。自分にはもっと単純で乱暴な……例えば終末が来て美少女と何か関係を持てば超能力が得られる、みたいな……
へへへ……思わずヨダレが垂れた。
気持ち悪い……心の中でそう評価してしまう。
でも……そうでなければ……
自分はどうすればいい?
自分はただの普通の人間で、何も変えられない。
雨の冷たさで、頭をマフラーの中に縮める。
「は……」と息を吐いて歩き続けようとする。
今、誰にも見られていないことを幸運に思うべきだろうか。
たぶん……
こんな寒い日は、みんな家の中にいるだろう。
あるいは、すべては自分が夢の中に生きているだけかもしれない……
夢の中……
ぼんやりと、本当にそう思えてきた。
夢なら、このまま眠り続けたい。
……
しかしその時――「パン!」
何かわからないものが、突然河馬の顔に貼り付いた。雨水の冷たさと、泥の匂いを伴って。湿った紙……
これは何だ?
ううう……ゴミにまでいじめられる。
なぜ?心がとても悔しいと思わないか?
ゆっくりと紙を顔から外した。さっき空を舞っていたものと似ている。
これは……
何?
河馬は人でなしだが、少なくとも字は読める。
その……内容はこうだった。
「何とか法に基づき、……」河馬は一瞬固まった。こんなものは自分とは関係ないと思ったが、後ろの内容が、「……組織の宣言と危険行為に対し、臨戦状態に入ることを宣言する。3月17日に、全員避難……完了?避難できなかった者は自宅に留まり、救援を待て……住所。何とかを信じれば、必ず何とかを克服できる……」
紙は湿っていたが、字ははっきりと読めた。
うわ……一体何が起きて……
そしてその時。
「轟!!!」
……何?
巨大な轟音が河馬の背後に響き渡った。
全身が宙に浮くような感覚。
空全体を明るくし始める光彩を伴い、押し寄せる勢いで、いつ死んでもおかしくないような音を傾け始める。その音は河馬に天地がひっくり返るような衝撃を与え、瓦礫と土埃の飛散と落下が続く。
全身が飛んだようで、視界はすでにぼやけている。
どうしたんだ?
巨大な衝撃力が自分を跳ね上げ、そして激しい衝撃で地面に叩きつけられた。
「ああああ……」
失神の感覚が漂い、自制できない。
……
どうした?
あああ……
どうしたんだ?
一体どうした?
wtf?
河馬はこの質問をしたくてたまらなかった。
しかし、今は……自分の体を制御するだけで精一杯のようで、あの巨大な残響が耳を空鳴させている。
そして……
「ダダダダ……」
爆竹のような音が脳裏に伝わる。遠くから来るようで、近くにもあるようだ。
これは……
これは……
まさか……
――銃声。
銃声、なぜ銃声がする。
何が起きた?
何が起きた?
犯罪集団?犯罪集団ならこんな大規模な銃声はないだろう。
違う……違う……
河馬は頭を抱え、うずくまった。恐怖に震えているようでもある。
どうしたんだ?
違う……違う……
これは夢?
夢……
そう、これはきっと夢だ。
河馬はそう自分に言い聞かせ、ゆっくりと瓦礫の塊をどけ、努力して立ち上がった。
夢なら、きっと大丈夫だ。
「ぷっ……」巨大な音が目の前で爆発した。
鮮血が河馬の頬を染めた。一人の女性のような人が慌てている。
何の支えもなく倒れていった。抵抗もない。
ただ銃声だけが……
一体何が起きた。
目の前で一つの鮮やかな命が散っていくのを、ただ見ていることしかできない。
この人はいつ現れた?
ああ……さっきの衝撃で、隣の建物の壁が砕けたのだ。
このもの……は……人?
河馬はぼんやりしていた。
そうだろう、毛皮のコートを着た女が土埃にまみれて血の海に倒れている。鮮血がセメントの灰と混ざり大地に広がる。刺すような色、濃厚な血の匂い。
そして硝煙の煙が、目の前の銃口から伝わってくる。
銃を手にしたその人は、フェルト帽をかぶり、うつむいている。
目の前で銃を構える人を見て、一言も発しない。
今、この人は銃を自分に向けている。
自分も死ぬだろう……
河馬は彼を見た。
一言も発しない。
心臓の鼓動……
ついに……
俺も死ぬのか?
心臓の鼓動……鼓動……
なぜ?これは夢じゃないのか?
鼓動……鼓動……鼓動……
夢だよな……それともこれで終わりか。
「どく……どく……」
鼓動……うう……河馬は目を閉じた。
まるで運命を受け入れたかのように。
「どく……どく……どく……」
しかし、本当にここで死ぬのか?
そうだろう……しかしなぜ?彼は人を殺すのか?わからない……善悪はない。彼が引き金を引けば自分は終わりだ。理由はない。あるとすれば、銃が彼の手にあるということだけだ。
ここで死ぬ……
それとも、見逃してくれるのか。
ただ目を開けた瞬間、彼はこの人が一歩前に進むのを見た。
終わった……
またしても猛然と……
「轟……」
一声の轟音が再び灰色の煙を巻き起こした。
その音に自分は失神しそうになる。
しかし……
煙塵が河馬に当たる瞬間。
煙幕、そしてまばらな衝撃。
「走れ……」
瓦礫が頭に当たる痛みも構わず、他の何も構わず。
河馬には今、その思いしかなかった。
すべてが、河馬を走らせる衝動を生み、原始的な潜在能力がかつてないほど刺激された。
走れ……走れ……走れ……
脳裏には今、その思いしかない。
走れ!
河馬の両脚が絶えず震えている。
そしてあの人は、「パン!」と一発撃ったようだった。
河馬はそれがどんな銃かわからない。
知りたくもない。
感じられるのは、あの人が自分に当たらなかったことだけ。
そして自分は、かつてない場所へと走るしかない……
戻る場所……
アパートか?
戻れない。あの人が戻る場所にいる。その場所はきっと見つかる。
どこへ行けば?
心の中に一万のそんな思いが、葛藤と彷徨いを生む。
あるいは、なぜこうなる。
どこへ?
どこ?
「パン!パンパンパン!!!」
巨大な音が背後で響き、自分は直接路地に飛び込んだ。
どこへ?どこ?
俺は……
本当に死ぬのか?
いや……
いや……
俺。
「おい、止まれ。止まらなければ、撃つ!」
そんな声が河馬の目の前に突然響いた。
河馬は猛然と気づいた。自分はとんでもない場所に来てしまったようだ。
これは……店の裏口?
普段は荷物を下ろす場所だ。
今は……
目の前のこの人も銃を構え、煙草をくわえ、とても疲れた様子で河馬を見ている。
河馬は彼を見た。複雑な視線。虎穴を出てまた狼穴に入ったようなものだ。
目の前のこの人は三十歳前後のようで、河馬に向かって言った。
「小僧、入れ……」
彼は左に首を振り、店の内部のある位置を示した。
河馬はただ呆然として、まだ反応できていないようだった。
「1を数える。動かなければ、撃つ……」
「……1。」
河馬は慌ててその位置に走った。
仕方ない、銃は相手の手にある。
何だこの人、3も数えずにいきなり1だ。
しかし今はそんなことを突っ込んでいる場合ではない。この人が本当に撃つかどうかわからない。
まるで、この世界の誰もが狂っているかのように。
あるいは……世界全体が狂ってしまったかのように。
「兄貴、間抜けが一人いた。やるか……」
声が伝わり、内側へ届く。
「もちろんやれ、いちいち報告するな……」
声はすぐに棚の向こうから伝わってきた。
その人は河馬を見て言った。
「恨むなよ……聞こえただろう。」
その冷たい銃口を見て、このまま……
死ぬのか?
いや……まさか……
これも……
その人は自分に一歩近づいた。
そして銃を構え、狂った衝動が自分をさらに逃げさせようとする。
「やめろ……」
突然、視界の端に一人の人物が現れた。
そして自分も立ち上がって逃げようとしていた……
その人……
「どうしてここにいる。」
河馬はその人を見て、ぼんやりしていた。まさかこうなるとは思わなかった。まさか彼だとは思わなかった。
「おじさん?」
この人はかつて拘留所で見た人だった。
「知り合いか?どうする?」さっき銃を自分に向けた人が、おじさんを見てそう言った。
「阿福……連れて行け。顔を立ててくれ。彼にはかつて恩がある。放っておけない。」
おじさんは自分を見て、最後にはため息をついて言った。
そう言い終わると、もう自分には構わなかった。
代わりに阿福が、河馬をちらりと見た。
来い、と河馬が無視するのを見て。
阿福は直接河馬を蹴り、銃を河馬に向けた。
「行くぞ。それとも、ここで死にたいのか。」
河馬は「あ」と声を上げた。
首を振ると、阿福は向きを変えた。
河馬は慌てて阿福について建物を回り込み、人目につかない場所へ行った。
そこには数人がいた。
おじさんもそばにいて、その集団が河馬を見ている。
彼は手短に河馬のことを説明しているようだった。
そして……
彼が率先して拍手をした。
音はまったくしなかったが。




