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青の魔法  作者: 鈴見澄香
1年生·第2章
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20/22

第6話 廃校舎編·収

 「……僕の記憶だけかもしれないが、入った時には花嫁の人形は置かれていなかったぞ?」


 「大丈夫だ……僕も同じ。」


 「私も、初めて見た。」


 「いや……に、人形だし?」



 アイリス達は皆で人形に近づいた。

 


 「はぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!あぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!ギャァァァァァァ!!!!」



 すると、人形が突然叫び出し、レントを除く全員が悲鳴を上げた。

人形の叫び声は超汚い高音だった。



 「アァァァァァァッッッ!!!喋った!!!コイツ喋ったぁぁぁ!!」


 「逃げなきゃヤバいヤツよねこれ!!キャァァァァァァァ!!!」


 「おっ喋んのか。」


 「待って!!私を置いて行かないでぇぇぇぇ!!!」



 全員で来た道を戻っていく。

 アイリスは足を動かす事だけに集中していた。



 「もう少ししたらさっきの階段あるよ!!」


 「君達、一旦待て!!大丈夫だ、落ち着け。ただの人形だ!追ってきやしない!!」



 クソマージメは皆を安心させようとした。

 だが。



 「お前ぇら、良い知らせだ。あの花嫁が全力疾走してきてるぞ。」



 レントの声で全員で後ろを見る。


 花嫁は髪を振り乱し「待っでぇぇぇ!!!追いでがないでぇぇぇ!!!あぁぁぁぁぁ!!!」と叫びながらこちらに向かって走ってきていた。



 「アァァァァァァッッイヤァァァァァ!!!」


 「もう帰りたいのにぃぃぃ!!!」


 「アンタこれのどこが良い知らせだと思ったのよ!!」


 「あっクソマージメ!!!お前またフラグ立てたな!?」


 「フラグ回収したって事!?」


 「すまない!メーチャ君!!ゴットマネーさん!!」


 「だからメーチャじゃない!!キョークドだ!!ていうかそれよりトイレ行かせて!?マジ漏れるんだけど!?」



 アイリス達は階段の存在を忘れ、廊下を走り続けていた。


 だが、無限に続く廊下というものは存在しない訳で。

 先頭をレントと共に走っていたアイリスは真っ先にその事に気付いた。



 「みんな……もう進めない。行き止まりだよ……」


 「そんな……」


 「ウソよ…ウソって言って!!」


 「アイリスちゃん!!」


 「君達!花嫁がすぐそこに……!」



 花嫁は「待っで……追いでがないで……やっと……」と呟いている。



 「誰かぁぁぁ!!!助けてぇぇぇ!!!」


 「もうヤバい!!本当に僕漏れちゃうから!!花嫁はさっさと帰れ!!」



 みんながジリジリと後ろに下がって行くが、遂に背中に壁が当たってしまった。

 もう、逃げられない。


 その時だった。



 「『チェリス』。」



 レントが前に出て、花嫁に向けて杖を振った。

 すると、杖から出た緑の閃光が花嫁の胸に直撃し、人形は倒れた。


 辺りはシーンと静まり返る。



 「レントォォ!!ナイスだ!!で、トイレはどこ?」



 チューニはトイレを探しに旅に出た。



 「イケテール君……!君のような人間でも役に立つ事はあるのだな!!」


 「クソマージメ、そんなモンあるに決まってんだろ?」


 「いやそれディスられてるから!」


 

 皆がホッとしてようやくいつもの空気に戻った。


 リーズとシェリーは寄り添い合っている。



 「……そういえばアンタ、どうして呪文で倒せるって思ったの?」


 「は?んなの決まってんだろ?……ていうかお前ぇ気付かなかったの?人形に呪文かけられてるって。」


 「そんなのあの状況じゃ気付けないわよ!……え、ちょっと待って。ちなみにいつから気付いてた?」


 「最初からに決まってんだろ?このオレを何だと思ってんだ。」


 「そりゃドSでノンデリで人を……って、気付いてたなら何であの時倒さなかったのよ!!」


 「いや、だって。お前ぇらすぐ逃げるし。それに、すぐ倒すのはつからねぇ。放っておいた方が面白そうだったからに決まってんだろ?」


 「最初はともかく最後のは何!!面白そうだったからって何よ!!無駄な体力消費したわ!!」



 アイリスは「ハァ」と溜め息を吐いた。


 ちなみに、『チェリス』というのは人形にかけられた呪文を全て解除する呪文らしい。


 「アンタが最初に倒してたら私達は今頃、寮に帰れてたのよ?このドS。」


 「それは悪かったな。ドSで。……まぁでも、オレは楽しかったぜ?」


 「え?」


 「お前ぇのブスヅラを拝められて。」


 「拝められてって何よ、拝められてって。ちょっとアンタ表に出なさい?一発やるわよ?」



 自分がイケメンである事を鼻にかけるレントに、アイリスは「性格ならアンタの方がブスよ!」と心の中で愚痴った。



 「まぁまぁ落ち着け、雌ブタ。」


 「アンタそれもうわざとよね?」


 「お前ぇら分かってんのか?」



 レントの声のトーンが変わった。


 全員がレントの方を見た。

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