第5話 廃校舎編·始
「……ここだな。」
アイリス達は廃校舎の前までやって来た。
先頭はなぜかレントが務めている。
「……ほっ本当に入るの?」
「チューニ。先生が言ってただろ?中を巡回しろって。」
廃校舎は何年も掃除されていないせいか30年以上誰にも買われていない事故物件のような外観だった。
「じゃあ入るぜ?お邪魔しまーす。」
レントの後ろに続いてアイリスは廃校舎の中に入った。
床は歩く度にミシミシいう為、幽霊などとはまた違う別の恐怖も感じていた。
「狭そうな見た目して中は広いの何なんだよ!!」
「ねぇここ……出たりしないよね?」
「へっ変な事を言うなよ!」
「しょうがないじゃない!だって、あんな外観の上に期待を上回るこの中の暗さと古さ。疑うに決まってるわよ!」
チューニとシェリーがなぜか喧嘩を始め、廃校舎の中は二人の声がこだましていた。
アイリス達は下駄箱のすぐ近くにある階段を上り始めた。
「メーチャ君、シェリーちゃん、安心して。何も怖くないわ。」
「そうだ。オカルターさんの言う通りだ!!みんなでいれば怖くない!!」
2人のみんなを安心させようとする声かけに、チューニとシェリーは段々落ち着いていく。
その時だった。
ガッシャーン!!
「アァァァァ!!?出た!?出たよな!?」
「ちょっと、ここ本当に大丈夫なの!?」
「それより何の音よ!?」
「あああ何何何!!?もう無理だよぉぉ!!」
「さっきまで何も怖くないって言ってたじゃない!!」
大きな物音にみんなが叫ぶ。
リーズはシェリーの隣を離れないようにした。
「だだだ大丈夫だ!!みんな落ち着け!ただの噂だ!!出るわけ無いじゃないか!!」
クソマージメがそう言った時、レントが「おい、見てみろアレ。」と言い、階段の踊り場を指差した。
そこには以前、寮で見た黒髪の女性のアレがジッとこちらを見つめていた。
大きな目をさらに大きくして。
「アァァァァァァ!!!出た!!前見た奴!!」
「キャァァァァ!!」
「みんな逃げるんだぁぁぁ!!!」
「え、逃げんの?」
全員が階段を猛ダッシュで下りる。
「こんな事になるなんて……!念の為に持って来ておいて良かった!!」
リーズはなぜか持って来ていたカバンから塩の入った小包、藁人形、ニンニクを取り出し、黒髪の女目掛けて全て投げた。
「死ねぇぇぇぇぇぇ!!!アンタなんか消えろぉぉぉ!!!」
「いやアンタの方が怖いわぁぁぁ!!」
チューニは猛ダッシュしながらツッコんだ。
「取り敢えず1階だ!廊下を走っていればきっと別の階段がある!!」
クソマージメの言葉にみんなは1階の廊下を走る。
レントは言った。
「お前ぇら怖がりすぎだろ。普段の何倍もブスになってるぜ、雌ブタ。」
「アンタマジで黙って!今は命かけて走ってんの!!」
「君達!!こんな時に喧嘩はやめてくれ!!」
先頭を走っているアイリスとレントは別の階段を見つけて上り始める。
3階まで上り、アイリス達は少し休憩した。
「ハァ、ハァ、この廃校舎、もうおかしいよ。戻ろう?」
「でも先生に結果を伝えなきゃ……」
「もうさっき見ただろ!!黒髪の女を!!それを言えばいいよ!」
チューニは「もう帰りたい〜」と泣きそうだ。
「取り敢えず、3階は見ておこう。」
アイリスは真っ暗な廊下を杖に灯りを灯して照らした。
すると、何かが奥の方で動くのを見つけた。
「キャッ!?」
「どうした?」
レントはアイリスの隣に立ち、杖の先を見た。
何かが動いてるのを、レントも見たらしい。
「……お前ぇら。この階も安全じゃっぽいから戻るぞ。」
「えっ!?」
「まだいるのぉぉ!?」
チューニは「もう嫌だ〜怖いよ〜」と言いながら立ち上がった。
すると、奥で動いていた何かもこちらに向かって来た。
「アァァァァ!!まだいる!!まだいる!!」
「もう嫌ぁぁぁぁ!!!」
アイリス達は1階まで駆け下りた。
「みんな!!きっと玄関の方にはいない筈だ!!」
「お前フラグ立てんなよ!?」
アイリス達は「やっと帰れる!」と玄関の近くまで走って気付いた。
「……何かさ、見覚えの無い物が置いてあるんだけど。」
「あー……アイリス、私にも見えるわ。」
ドアを塞ぐようにして花嫁の人形が立っていた。




