第3話 蜂に液体をかけると
「ケーペキ先生!!蜂です!!教室から出してください!!」
「お願いします、先生!!」
ケーペキ先生は「全く、蜂如きで……」と呆れている。
「皆さん、蜂は騒がなければ刺したりしてきしません。だから大丈夫です。」
「そう言ってる先生が防御呪文使ってるのはなんなんですかぁぁ!!」
ケーペキ先生は杖を取り出して自分の周りだけ蜂から身を守るバリアを張っていた。
「追い出せって、どうやって追い出すんですか。素手で触れと?私はそんなの嫌ですよ、絶対に嫌ですよ。どこからやって来たか分からないハエを触るのでさえも嫌なのに、中身が分からない液体をぶっかけられた蜂を触るなんて、さらに嫌に決まってるでしょう。汚いです。とにかく不衛生です。」
ケーペキ先生は「授業を続けます。」と言いチョークを手に取った。
「次のページを開いてください。」
「こんな状況じゃ誰もページを捲る気なんてなりませんよ!!」
「悪ぃなお前ぇら。オレは寝る。」
「アンタ本当に悪いと思ってるの?絶対思ってないわよね!」
「はぁ、ったく。しょうがねぇなぁ。雌ブタ、蜂をハエに戻す治療薬だ。」
レントは赤い液体が入った小瓶をポケットから取り出してアイリスに向けて投げた。
アイリスは「たまには良いとこあるじゃない!」と危うくキャッチし、蜂の近くまで走って蓋を開ける。
アイリスは「ていうかアイツのポケットどうなってんのよ。」と思ったが、今はそれを考える時間も無い。
「蜂よ、さらばだー!!」
アイリスは赤い液体を蜂に思いっきりぶっかけた。
近くにいたクソマージメのノートや教科書にも少しかかってシュワシュワいってるが気にしないでおこう。
蜂から赤い煙がモクモクと立ち込める。
「これで終わったか!?」
「殺ったか!?」
全員の視線が煙の中にいる蜂に集まる。
「いや……まだだ!!」
煙からは黒くて小さなハエではなく、先程の蜂より立派な羽を持ち、約二倍大きくなった蜂が現れた。
「……ハエに戻るんじゃないの!?イケテール!アンタ私に何を渡したの!!」
「あぁ悪ぃ。さっき渡したのは『ランダムで選ばれた虫の姿に変化する薬』だ。全18種類だ。オレも使った事があるはソイツは見た事が無ぇ。多分、シークレットプレミアムのヤツだ。良かったな、運が良くて。」
「何も良くないわよ!!なんてモン渡してくれたわけ!?」
「そう怒るなよ。その薬はハエになる確率が56%で1番高くて、その次が37%でカメムシだ。」
「そんな情報どうでもいいわ!!で、今のアレは何なの?」
「アレはシレンオオバチだ。確率は限りなく0に近いから買った時に店員に「シークレットプレミアムは出ないと思ってください。」って言われたな。」
「シレンオオバチ……?」
アイリスは「前もどこかで聞いた事ある名前だな。」とそう遠くない過去を思い出した。
「……もういい。アンタとは関わりたくない。さっさとこの蜂を外に出して。」
「残念だがソイツは無理だ。素手で触るのは危険だからな。」
シレンオオバチはブーンブーンと羽音を立てて教室内を物凄い速さで飛び回る。
みんな授業を忘れて自分の席から離れ、蜂から逃げていた。
「先生助けて!!死んじゃう!!」
「大丈夫です。死にません。」
「アァァァァこっちに来るぅぅ!!来るな、来るな!!あっち行け!!」
「お前ぇら、下がってろ。」
レントは蜂に対する恐怖を一切見せないまま蜂の近くまで歩いた。
「イケテール!刺されたら死ぬぞ!!」
「イヤ、離れて!!」
泣き叫んでいる生徒も少なくない。
レントは杖を取り出した。
「『ヴォルドン』」
そう唱えると、杖の先から赤い光が勢いよく飛び出して、シレンオオバチにヒットした。
シレンオオバチはその瞬間、動きを止めて床にポトっと落下した。
「……イケテール君、今の呪文は……!」
「お前ぇ達に使うつもりは無ぇ。だから気にすんな。」
クソマージメ君はレントを警戒するように睨んでいた。
レントは「『杖よ、このシレンオオバチを外に出せ』」と言い、シレンオオバチの死骸を校庭のどこかに捨てた。
アイリスは「アイツ、本当に11才なの?」とレントを疑っていた。
「安心しろ。この呪文は虫限定で生物を殺せる呪文だ。」
「だとしても他に方法は無かったの?」
みんなはが落ち着きを取り戻した頃に授業終了のチャイムが鳴った。
「ったく、昼寝の時間が随分無くなったじゃねぇか。どうしてくれんだ。」
「お前が言うな!!」




