第14話 長い夜の終わり
リーズは「えっ」と驚いてアイリスとレントを見た。
「二人とも付き合ってなかったの?」
「今までのどの部分を見たらそうなるわけ?」
「二人とも仲良いから。」
「だって、アイリス♡」
「そうそう。言うじゃないか。喧嘩するほど仲がいいって。」
「待って、話逸れてるから。オカルターさん。聞きたい事があるんだけど、最近私達のクラスで流れてる噂知ってる?」
「噂?」
「夜中になると2階のとある部屋からキィィーンって音がするらしいんだけど。」
「……あぁ、アレね。私がやってたから。」
「そう、それなんだけど……え?ちょっと待って。オカルターさんがやってたの?」
「うん。占いをする時にクリスタルチューナーっていうのを鳴らすんだ。」
「アナタだったの!!?」
アイリスは目を丸くしてリーズを見つめた。
「……オカルター、お前ぇのせいでオレたちの睡眠時間が削れた。どうしてくれんだ。」
レントは「連中から貰った液体をあの時使わなければ」と後悔している。
「液体……?」
「知らなくて良いよ。」
「クリスタル……なんだっけ?」
「クリスタルチューナーの事?」
「そう!それだ!!クリスタルチューニ!占いをするのは構わないが、同室の人に迷惑をかけてないだろうな?」
「それ僕の名前なんだけど。」
「んーどうだろ。分からない。」
リーズは欠伸をし、目を擦った。
「でも、他の部屋の子が聞こえるって言ってたから、控えめにする方が……」
「そうだね、防音魔法を使ってみる!」
「部屋に明かりを点けられなかった奴が何を言ってんだか。」
「アンタは黙ってて。」
「じゃあ私はそろそろ寝るから。じゃあね、アイリスちゃん達。」
「うん、次から占いする時は気を付けてね。」
「そこにいる長い黒髪の女性にも気を付けてね!」
リーズはそう言い階段をかけて行った。
アイリス達は「黒髪の人?」「そんなの居るわけないじゃない!」と思いながら後ろを振り返った。
目をかっぴらいた黒髪の女がジッとこちらを見つめていた。
「……出たぁぁぁぁ!!」
「本物!!アレこそ本物!!」
「アァァァァ!!!待って!僕を一番後ろにしないで!!」
「君達!!早く逃げるぞ!!」
「おー本当にいる。すげー。」
「イケテール君!!君が戻らないと僕は鍵を閉められないんだ!!」
「鍵閉めても無駄だと思うんだが。」
「余計な事を言わないでぇぇ!!!」
最後の最後に恐怖の体験をした4人は、布団に入っても眠れなかった。
_______翌朝
「おはよ〜」
「スターマジック君、おはよう。昨日は、じゃなくて今日は……散々だったな。」
「そうだね。……あ、確認したい事があるんだった。」
アイリスはそう言ってリーズと同室の子に声をかけた。
部屋に戻ってからアイリスはリーズと同室の子を名簿で確認したのだ。
「あの、リーズ・オカルターって子と同室ですよね?」
「あ、はい。」
茶色のショートカットの子はコクンと頷いた。
「夜中にキィィーンって音がしませんでしたか?」
そう聞くとその子はえっと驚いた。
「え、そうなんですか?全然聞こえませんでしたよ?寝てたので。」
「あ、それなら良かったです。では……」
アイリスは思った。
「幸せ者だな。」と。
自分の陣とった席に座ろうとした時、教室に入ってくるレントと目が合った。
目が合っても無視というのは後で気にしてしまう為、アイリスは一応声をかけた。
「……おはよ。」
「はよ、雌ブタ。……あれ?昨日より顔浮腫んでんね。」
アイリスの右ストレートはレントの綺麗な顔にクリーンヒットしたのだった。




